金子 豪選手 (東京都市大塩尻)

寸評

　初出場の都市大塩尻。その原動力となったのは2人の投手。左の技巧派の相原と今回紹介する金子豪だ。がっしりとした体格から力のある速球と縦に鋭く落ちるスライダーで救援投手として活躍してきた。 （投球スタイル） ストレート　136キロ 常時130キロ～135キロ スライダー　120キロ前後 縦のスライダー　125キロ前後 　北信越大会では常時130キロ前後・マックス134キロ。それから目に見えてスピードが伸びたようには感じない。まだ細かなコントロールに欠き、ランナーがいない時は落ち着いても、ランナーがいるとボールが高めに浮く傾向も変わっていない。変化球は縦に鋭く落ちるスライダー、スライダーで勝負していく投手。緩急を使えないのが課題。 　配球パターンは縦のスライダーを軸に投球を組み立てていき、ストレートを見せ球にしてカウントを稼ぎながら、最後は縦のスライダーで勝負していく投手だ。制球力はあまり良くなく、予選では17イニング三分の2を投げて14四死球と多い数字。絶対的な制球力はなく、打ち崩しやすい要因は多い。 　クイックは1.1秒～1.2秒台と素早いクイックはできている。牽制を入れるタイプではなく、ランナーが出てから制球力を乱すのを見るとランナーが出てからの投球に課題を抱えている。フィールディングの動きは普通。 （投球フォーム） ノーワインドアップから入る。左足を真っ直ぐ上げていき、右足は真っ直ぐ立つ。左足をショート方向へ伸ばしていき、タイミングを崩そうと接地のタイミングを遅らす工夫も見える。左腕のグラブを真っ直ぐ伸ばして正対させている。左肩の開きが早く、出所が見易くなっている。 コンパクトにテークバックをとっていくが、その動作は担ぐ動作に見える。つまり回旋にスムーズさが感じられず、肩、肘の柔らかさを感じない。そしてリリースに入る。やや球離れが早く、あまりスピンのかけたストレートは投げられず、最後のフィニッシュでは膝の割れが見える。 実にコンパクトにまとめたフォーム。開きの早さが見られ単調なリズムで投げるので慣れ始めるとそれほど苦にする投手ではないように感じた。

将来の可能性

　北信越大会から目に見えた成長は見られず、まだ制球力・フォーム・投球術など課題は多い。投球フォームで引っ掛かりがあるフォームなので、リリースまでにスムーズさがほしい。まずは腕の振りを鋭くしていくことが上のレベルで活躍するカギとなりそうだ。 　大学で続けていけるレベルにあるが、強豪大学ではなく、地方の大学で地道に実力を付けることになるだろう。数年後には驚くような成長を見せることを期待したい。