九州国際大付、171センチの小さき左腕エースが快投 ケガ、コロナを乗り越えて目指すは日本一



香西一希(九州国際大付) ※写真は過去の大会より

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第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:九州国際大付2-1明徳義塾>◇11日◇2回戦◇甲子園

 春のセンバツに続いて甲子園にたどり着いた九州国際大付(福岡)。対して、高知県が誇る高校野球界の名門校として知られる明徳義塾。ともに名の知られたチーム同士のプライドのぶつかり合いは、九州国際大付が2対1で勝利した。

 同じ縦じまのユニホームのサウスポー同士が、これまで磨き上げた巧みな投球術で火花を散らした。名門校同士の一戦にふさわしい投手戦は、九州国際大付香西 一希投手(3年)に軍配が上がったが、それはまるで全国の投手へ手本となるような投球だった。

 直球は120キロ台がほとんどで、130キロに届かない。171センチと上背も決して大きくない。150キロに迫るような剛速球でねじ伏せるわけではなく、角度を付けるような球質で抑え込むわけではない。

「コントロールと緩急、遅い球をいかに有効に使うか。そこを課題にやってきたので、この試合では発揮できたと思います」と、相手打者を惑わす巧みな投球術があった。

 110キロ台のカットボールに、100キロ台のスライダー。そして90キロ台のカーブと、直球とは最大30キロ近くの球速差があるなかで、カットボールとスライダーを使い分ける。我慢強く最後まで丁寧に低めに突いていくことで、明徳義塾打線に長打を1本も許さなかった。

 これにはバックからも賞賛の声が届いた。
「(香西らしく)打たせて取る投球で、完ぺきだった」(野田 海人捕手=3年)
「さすがだなと思っていました」(佐倉 侠史朗内野手=2年)

 センバツ8強で終えてから「夏は優勝する」ことを合言葉に練習してきた。しかし左足首の捻挫、さらに福岡大会中に新型コロナウイルスに感染し、一時戦線離脱。決勝戦で復帰したが、この夏の背番号は「1」から「11」に変わった。「背番号は関係なく、任せてもらった場面で投げるだけ」と勝利に徹する気持ちで、この舞台に挑んでいた。

 そしてもう1つ、「チームを離れている2人が戻ってくるまで頑張りたいですし、世の中が大変な中で野球ができていることへの感謝の気持ちをもってやりたい」という特別な思いも1つ加わった。

 福岡大会はエースとして背番号1だった香西に、思いが「1つ」加わり、背番号「11」となった甲子園で次戦も快投を見せることを期待したい。

(記事=編集部)