昌平vs東農大三
優勝候補・昌平が東農大三を寄せ付けずコールドで関東へ!
甲斐ソロ本塁打
<秋季埼玉県高校野球大会:昌平7-0東農大三(7回コールド)>◇26日◇準決勝◇県営大宮
優勝候補・強打のシード校の昌平と、勢いに乗る東農大三との一戦である。
東農大三は不動のスタメン。一方の昌平は前の試合からの変更点として前回6番の岩間 翔大外野手(2年)が5番に上がり、死球を受けた影響からか前回5番の小林 驍汰内野手(2年)が7番に入る。前回8番の酒井 啓多外野手(2年)が6番に上がり、前回7番の平田 春樹内野手(2年)が8番に入る。
先発は昌平・渡邊 俊輔投手(2年)が連投、東農大三は金井 俊輔投手(2年)と両エース左腕が登板し試合が始まる。
試合は序盤から昌平ペースで進む。
昌平は初回、東農大三・金井の立ち上がりを攻め、先頭の甲斐 陸斗外野手(2年)が二塁ゴロエラーで出塁すると、続く金子がきっちりと送り1死二塁とする。ここで3番・磯木 一路内野手(2年)が右前適時打を放ち幸先良く1点を先制する。
投げては昌平・渡邊俊が2回以降、立ち直る。2回表は東農大三打線から3者三振を奪う。
すると昌平はその裏、この回先頭の酒井が左翼線へ二塁打を放ち出塁すると、続く小林がきっちりと送り1死三塁とする。ここで8番・平田が左中間へ適時三塁打を放ちまず1点。さらに続く渡邊俊の内野ゴロの間に1点を追加すると、1番・甲斐が左翼席へソロ本塁打を放ち、この回3点を奪い早くも4点差をつける。
この場面、東農大三・金井は初回1点は失ったが後続を連続三振で切り、2回の昌平が下位打線ということで、何とか立ち直りたいと思っていたであろう。だが、昌平打線にそれをさせてもらえなかった。
2回表裏の攻防により、昌平は勢いに乗っていた東農大三の勢いを完全に止めることに成功する。
試合の流れをつかんだ昌平は、3回裏にもこの回先頭の磯木が中前安打を放ち出塁すると、続く齋藤 陽貴(2年)のところで昌平ベンチはエンドランを仕掛ける。これは内野ゴロに終わるが、1死二塁すると、続く岩間が右前適時打を放ち5対0とする。
昌平は5回裏にも、この回先頭の磯木が右前へポトリと落ちる安打を放ち出塁すると、続く齋藤も右前安打を放ち無死一、三塁とする。齋藤は二盗に失敗し1死三塁とするが5番・岩間がきっちりと犠飛を放ちまず1点。さらに続く酒井が四球を選び再度チャンスメークすると、7番・小林が左越えの適時二塁打を放ち7点差をつけコールドペースに持ち込む。
投げては昌平・渡邊俊が最後まで東農大三打線を寄せ付けず、7回を被安打6、無四球、10奪三振、無失点で抑え込む。
結局、昌平が東農大三相手に7回コールド7対0で勝利し、決勝進出と地元開催の関東大会への出場を決めた。
昌平は、とにかく渡邊俊に尽きるであろう。連投にも関わらず、経験豊富なエースは前日25日の準々決勝よりも良い投球を披露した。打線も上位下位が満遍なく振れていてどこからでも長打が飛び出す。
「相手はシュート回転する投手だったので、ビデオを見てデータ班のカウント別とかの情報も入れつつミーティングをして、引っ張らずにセンター返しで打っていこうと。左打者の方が打ちやすいかなと思っていたんですが、右打者もよく打ってくれました。残り2試合ベストゲームをしようと話していましたが、ベストピッチ、ベストゲームができたのかなと。旧チームから出場していた金子、齋藤、渡邊俊の3人はレベルの高い会話をしていて頼もしい存在。スーパーシード云々ではなく1位で関東へ行くために目の前の相手を倒す。これに尽きる」(黒坂監督)
「当たり前のことですが、秋の大会は送球ミスが多いのでカバーリングは怠らないようにということがあり、それを怠った時は叱ったりしてきた。渡邊俊はストライクゾーンの中で勝負させましたが、甘く入らずキワキワに決まっていたので、タイミングを外しながら外中心で」(齋藤)
と、投手陣はエース渡邊俊が安定していて、他にもレベルの高い投手が左右に複数いる。打線も強力で好調だ。万全の状態で決勝で浦和学院を迎え撃つ。
一方の東農大三は内容的には完敗であった。
「選手は浮き足立っていた。守備からリズムを作る部分が1回裏でつまずいてしまいチグハグになってしまった。打線は1回は良い形で入っていたが、2回以降守備の尾を引いたかなと。金井も球場の雰囲気と打球の鋭さを見て引けてしまったかなと」(高廣監督)
初回いきなりのエラーで動揺したか、はたまた準決勝の雰囲気にのまれたか、エース金井がこの日やや誤算で持ち味のテンポは影を潜めた。打線も序盤の失点が重く、持ち味である細かい攻撃ができない点差になってしまった。気になったのは1死三塁で9番・渡邊俊を迎えた場面で内野がやや後ろに守っていたことだ。次打者・甲斐が本塁打を放っただけに結果は変わらなかったかもしれないが、打者と状況を見ると3点差とされてしまったのは少し勿体ないプレーに見えた。
「バタバタしてリズムが作れなかった。カウントを取りに行く球を一振りでやられてしまった。チームに申し訳ない。今日のピッチングは全く良くなかったので初心にかえってやることをやっていきたい」(金井)と、涙ながらに語った。敗れたとはいえ、3位決定戦が待っている。OBの飯島 一徹投手(東農大3年)に憧れて東農大三に入ったという彼の次戦でのリベンジに期待しよう。
(取材=南 英博)