利府が公立校対決制し5年ぶり東北大会切符!打撃不振の亀谷が打順変更で奮起



初回に2点適時打を放つ利府・亀谷 晋之介

<第75回秋季東北地区高校野球宮城県大会:利府7-6仙台三>◇26日◇3位決定戦◇仙台市民

 勝った方が秋季東北大会出場。仙台三利府による3位決定戦は白熱の試合展開となった。初回に4点を奪い、中盤で加点した利府が7対6で辛勝。公立校対決を制し、5年ぶりに東北大会への切符を手にした。

 利府は勝ちにこだわり、打線を大幅にテコ入れした。1番を任されながら準決勝まで打率.067と苦しんでいた亀谷 晋之介内野手(2年)が7番に入り、2番・本田 寛明外野手(2年)、3番・阿部 太翼内野手(2年)と2、3番を入れ替え。また万城目 琳久内野手(2年)を6番から5番に上げ、前日は「9番・投手」で先発した小酒井 凱人内野手(2年)を6番で起用した。

 その新打線が初回から機能した。本田の右前打や阿部の死球などで1死満塁の好機をつくると、万城目の適時二塁打で走者2人を返し先制に成功する。さらに亀谷にも2点適時打が飛び出し、初回から4点を奪った。「ずっとプレッシャーを感じていたが、打順を下げてもらって気持ちが楽になった」。久々の快音を響かせた亀谷は、塁上で安堵の笑みを浮かべた。

 その後、1点差とされ迎えた5回には、またしても亀谷のバットで追加点をもぎ取る。2四球で1死二、三塁となり、第1打席同様、スライダーを捉えた亀谷の打球は右中間を破る2点適時三塁打に。貴重な追加点を生み出し、ベンチに向かって大きく拳を突き上げた。6回は万城目がスクイズを決め7点目。打順が変わった2人でチームの全得点をたたき出した。

 投げては、準々決勝の柴田戦で完封勝利を挙げた背番号10の右腕・曽我 颯人投手(2年)が力投。3回に3四死球が絡み3点を失ったが、4回から8回は直球と変化球をうまく使い分け、無失点に抑える。9回は先頭打者からの連打をきっかけに3失点を喫したものの、「今日は自分しかいない」との思いで腕を降り続け、147球完投。最後までマウンドは譲らなかった。

 準々決勝は曽我が完封し、唯一奪った1点は曽我の適時打によるものだった。「上に上がるにつれて、そういう野球では勝てなくなる」(亀谷)。この日は「自分たちが打って勝つ」との目標を野手陣で共有し、試合に臨んだ。その目標を体現した初回の4得点。利府の揚野 耕平監督は「各選手がチームのために、他の人のために、という思いでプレーできるようになってきた」と目を細めた。

 仙台三は「1番・投手」で先発した尾形 遥翔外野手(2年)が粘投し、打線も福島 広貴内野手(2年)が3安打をマークするなど9安打6得点と意地を見せたが、あと一歩及ばず。31年ぶりの東北大会出場はならなかったものの、大会を通じて地力の強さを発揮した。

(取材=川浪 康太郎

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