林 健太選手 (鎮西)

林 健太

球歴:鎮西

都道府県:熊本

ポジション:投手

投打:左 / 左

身長:176.0 cm

体重:70.0 kg

学年:卒業

寸評

熊本県上益城郡益城町。 阿蘇くまもと空港に向かう県道36号線、通称:第二空港線から少し入ったところにある小高い丘の麓に中堅120m、両翼100mと県内屈指の広さと設備を誇る鎮西高校野球部の専用グラウンドである。そのバックスクリーンの後ろ辺りにある入口門をくぐり、車を降りると。 「バチーン!」 グラウンドから一際こだまする捕球音が聞こえてきた。 目を向けると左投手がブルペンで踊るように投げている。 同校の江上監督に案内され、その投手の後ろに立たせてもらった。 左腕特有のクロスファイアーを生かし、エグってくるような球筋がグイーンと伸びてくる。それはまるで構えたキャッチャーミットを襲撃するかのようだ。 身震いするようなゾクゾク感とこんなに凄い投手がいたのだと改めて驚かされた。 しかもまだ2月だというのにこの球、この音、この勢い。 そう、その左腕とは鎮西のエース林健太である。 やがて高校野球生活最後の冬を越そうかとしている林は「初めてまともに充実した冬を過ごしている」という。 そんな林のデビューは早かった。1年夏の熊本大会で早くも藤崎台のマウンドを経験している。それは順調なスタートを切ったかに思えるが、決してそうではなかった。 その後は何度もケガに悩まされ、今まで徹底した走り込みなど充実した練習ができていなかったのだ。ちなみにいっておこう。ケガといっても林のケガは故障ではない。練習中に打球が当たるなどの不慮の事故といった方がわかりやすいか。 そんなこんなで、ある意味、未完成であった林だが、その将来性を見込んだ指揮官には考えがあった。 例えば、昨秋の熊本県大会1回戦の人吉戦。 初回、自らの悪送球など立ち上がりに自滅し、いきなりの4点を失った。 それでも指揮官は我慢強く林を代えなかった。 その後、立ち直った林は、まるで人が変わったかのように最終回までスコアボードにゼロを並べ続けた。結果、点を与えたのは初回の4点だけで、試合は5対4で鎮西が僅差の勝利。林の奪三振は11を数えた。 それはまさに“経験”であった。 そんな経験を積んでいく中、秋の熊本市内大会で最速143キロをマークするなど徐々にその隠れた才能が表面化してきた。 そこでこの“初めて充実した冬”だ。 まるで水を得た魚のように、躍動感まで出てきた。 まだ公式戦で本領を発揮できていない鎮西のエース林健太。 当然、その名はまだ全国的に名が知られていない。 ただ、一ついえることがある。 ようやく芽吹き、まもなく開花。 ある意味、そんな“快投警報発令”というようなニュースが舞い込んできそうだ。 辛抱強く使ってくれた指揮官を“聖地”へ連れて行く。 そんな想いを胸に刻み、今日も黙々と「バチーン!」と捕球音をグラウンドにこだませている。
更新日時:2011.02.26

将来の可能性

寸評にも書いた“エグッてくるような球筋”とは、まるで球が伸び上がるような球質。まさしくキレである。昨秋の段階で、最速スピードは143キロだが、球速帯はまだ130キロ前半から中盤。これが、常時後半になれば、キレがあるだけに体感速度はさらに増すだろう。それだけに春の開花宣言が待ち遠しい。 さらに下半身が出来てきたことで球筋の安定感が増し、多彩な変化球も冬眠から目覚めた生き物のように動きまわっている。ワンランク上を目指す気持ちがなくならない限り、その先にあるものは自然と見えてくるだろう。
更新日時:2011.02.26

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