高知vs土佐
完全復活・森木大智(高知3年)に求められる「高い次元の課題」
高知先発・杉村 優妃(3年)
この試合、3回までに7点を先制した高知。先発の杉村 優妃(3年・右投右打・180センチ77キロ・高知市立西部中出身)も3月初旬の練習試合で最速147キロを計測、この土佐戦でも140キロ超のストレートとキレのあるスライダーを軸に、4回を投げ57球・被安打1・4奪三振・2四球で無失点と無難に試合の流れを作った。
そして5回裏からマウンドに上がったのは森木 大智(3年・右投右打・184センチ88キロ・高知中出身)。準々決勝・高知南戦で1イニングを投げ、自己最速タイ151キロを出しての無失点で左足首負傷からの試運転を終えた豪腕は、この試合でも3回を投げ打者10人に対しわずか34球で4奪三振無四球無失点。加えて「流れにのっていけた」と試合後に本人も語ったように、その内容も圧巻だった。
実に10球団13人が詰め掛けたNPBスカウト陣のスピードガンで最速149キロ・アベレージで145キロ以上をほぼ下回らなかったストレート。140キロ台前半のスプリット、130キロ台後半のストレートに加え「変化球の軸として考えている」カーブも110キロ台後半のカーブも昨秋より明らかに精度が上がったもの。これには「左脚を優しくマウンドに付くことで身体も突っ込まくなったし、丁寧に投げていた」と濵口 佳久監督も高い評価を与えた。
こうして完全復活を強く印象付けた森木。ただしその半面で気になるのは準々決勝に続き喫した「1安打」の内容である。ストレートを狙い打たれた高知南戦に続き、土佐戦で喫した1安打も明らかに真ん中に入った148キロを狙い打たれたもの。この現象に対し、あるNPB球団スカウトは「まずは元気で投げられていることが一番」を前提としつつ、このような感想を漏らした。
「真ん中に入るのは一番よくない。ここから先は両サイドを狙って投げられるようにしてほしいし、その積み上げが次につながる。頑張ってほしいね」
誰もが素晴らしい投手と認めるからこその「高い次元のハードル」。最後の夏にチームとして希求する「全国制覇」とその先のステージで躍動するためにも。森木 大智には細部に渡るさらなる向上心をあえて求めたい。
(文=寺下 友徳)