窮地の高知中央を救った1年生背番号「1」



投げては2番手3回無失点・打っても三塁打で決勝ホームを踏んだ高知中央・井上 陽翔(1年)

 「四国大会出場よりも目の前の1試合を勝つことしか考えていない」。試合前の囲み会見で重兼 知之監督がそう明言した通り、高知中央はこの土佐塾戦でリアリズムに徹した戦い方を志向してきた。

 先発の最速142キロ右腕・吉岡 稔貴(2年・171センチ60キロ・右投左打・南国ヤングマリナーズ出身)はストレートを130キロ前半に抑えて5回まで1失点。打線も4番・八山 滉人(1年・三塁手・右投右打・171センチ71キロ・南国ヤングマリナーズ出身)の2打点などで4得点。主導権を握ったかに思えた。

 ただ、土佐塾も苦戦の中にあっても打席での粘りは見失わず。その成果が実ったのが6回表である。100球を超えた吉岡に対し「ストレートを狙っていく」白壁 大輔監督の指示通り3本の単打と2四球を絡め同点に。なおも一死満塁から1番・徳廣 文太(2年・中堅手・右投左打・土佐塾中出身)の中前打でついに勝ち越しに成功した。

 一転、窮地に立たされた高知中央。そんなチームを救ったのは7回からリリーフに立った井上 陽翔(1年・右投右打・171センチ73キロ・府中広島2000ヤング<広島>出身)である。井上は「開き直ってストライク先行で打たせていこうと思った」マウンドでは3回3安打無失点。さらに5対5の同点で迎えた8回裏の初打席でも「しっかり振っていこう」と右越三塁打。続く1番・山下 真輝(1年・一塁手・右投右打・170センチ67キロ・南国ヤングマリナーズ出身)の勝ち越し打、八山の2点二塁打を引き出した。

 かくして中学時代はヤングリーググランドチャンピオン大会4試合無失点優勝に投手兼4番として貢献した実績をいかんなく発揮し、高知中央の2年連続2回目となる秋季四国大会出場に導いた井上。重兼 知之監督も「彼はたとえ球威やキレがなくても状況が判断できる投球ができるし、私生活でも逃げも隠れもしないものを持っている。だから1番を与えているんです」と大きな信頼を置く1年生背番号「1」の役割は、晴れ舞台になればなるほど輝きを増しそうだ。

(レポート=寺下 友徳