2018年04月14日 高知県立春野運動公園野球場

明徳義塾vs高知

2018年春の大会 平成30年度春季高知県大会 チャレンジマッチ予備戦
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さすらいの四国探題 寺下友徳

レヴェル」が違った明徳義塾・市川 悠太



市川悠太選手(明徳義塾)
 

 冒頭に少し野球外の話をすることをお許し頂きたい。もし、この試合を新日本プロレスの絶対王者・オカダカズチカのマネージャー・外道が見ていたとしたら、試合後にこう叫ぶに違いない。 

 「明徳義塾市川 悠太がなぜ、センバツに出た高知を2安打10奪三振完封できたかわかるか?レーーーーーヴェルが違うんだよ!!!!」 

 そう。この日の市川 悠太(3年・右投右打・184センチ74キロ・高知市立潮江中出身)の124球は高知・四国レベルを遥かに凌駕するどころか、全国でもトップクラスといえるレベル。もちろん、その端緒は2回戦中央学院(千葉)戦では終盤に突如崩れ、3回戦日本航空石川戦では完封目前で逆転サヨナラ3ランを浴びたセンバツ2試合である。

 その証拠に試合後、市川は冷静に振り返る。「今日は最初ストレートとスライダーで組み立てましたが6回で相手にタイミングがあっているのが解ったので、7回からはカーブとシンカーを使いました」

 実はこのカーブとシンカーこそが新春の独占インタビュー<{前編}{中編}{後編}>の後編で語られていた「センバツで使用を考えている2つの新球」の正体。カーブは110~120キロで大きく縦に沈み、シンカーは130キロ前後で沈む。これが自己最速タイ146キロを4度マークしたストレートと、130キロ前後のスライダーに加わり、右サイドから独特の軌道を描くことで高知の各打者は絞り球を失った。「追い込まれるまでの勝負」と高知・島田 達二監督が市川体側を伝授していた中、終盤3イニング5三振がその困惑ぶりを物語っている。

 結果的に市川の新球はセンバツまでのマスターには至らなかった。カーブは冬に完成せずセンバツでは使用なし。シンカーは練習試合で織り交ぜ、一定の感触は得るもセンバツで実際に投げたのは日本航空石川戦・初回の2球のみ。「スライダーがキレていたので頼ってしまった」ことが投球の幅を狭め、そこに昨秋来の課題であったマウンドでの間合いの取り方の不味さが輪をかける。「自分でも焦っていました」。逆に言えばその猛省が、高知戦での進化につながった。

 反面、明徳義塾打線はまだ上向きとは言い難い。「タイミングと後ろ脚で軸を意識する」。ゲームキャプテンの4番・谷合 悠斗(3年・左翼手・右投右打・180センチ85キロ・ヤング岡山メッツ<岡山>)が説明したチームの打撃コンセプトは高知左腕・森 聡希(2年・左投左打・170センチ79キロ・琴平町立琴平中<香川>出身)の最速129キロストレート、110キロ台スライダー、100キロを切るカーブのコンビネーションに苦しめられ5安打。

 得点も2回裏一死から昨秋県大会決勝に続く「森キラー」ぶりを発揮した7番・渡部 颯太(3年・中堅手・右投左打・178センチ80キロ・今治中央ボーイズ<愛媛>出身)が右越に放ったソロアーチと、5回裏一死三塁から打撃を買われ3番に大抜擢された小泉 航大(2年・三塁手・右投右打・171センチ85キロ・明徳義塾中出身)の技あり右前適時打による2点のみ。センバツ2回戦で日本航空石川杉本 壮志(3年)をうちあぐんだ「左投手攻略」は引き続きの課題として残っている。

 ただ、市川自身の投球不安が解消されたことはチームのベクトルを「打撃」と「夏までの2番手投手育成」に結集させる上では非常に大きな材料。市川 悠太の「レヴェルの違い」が周囲のレベルを押し上げ、さらに市川のレベルを高める。そんなサイクルが軌道に乗れば、不本意な春を逆襲の夏に変える明徳義塾のシナリオづくりは、本番の7・8月に完成の時を迎えることになるだろう。

(取材・写真=寺下 友徳

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