試合レポート

アメリカvsキューバ

2017.09.06

アメリカ、150キロトリオの投手リレーで、キューバに完勝

アメリカvsキューバ | 高校野球ドットコム
150キロ級の速球を投げ込むクマ―ロッカー(アメリカ)

 アメリカvsキューバのビッグカード。ネット裏も、一塁側、三塁側も観客でズラリと埋まった。この一戦、日本にとっても重要で、アメリカが勝てば自動的に日本は2位通過となる。キューバが勝つと4勝1敗で3チームが並ぶ形となる。またAグループ全勝通過の韓国は首脳陣、選手共に偵察に訪れていた。

 試合はアメリカの総合力の高さ。特に投手力の高さを見せつけた試合となった。

 アメリカの先発は、 WILCOX Mitchelは192センチ99キロの剛腕。ストレートはコンスタントに145キロ~150キロ。1イニングに1球、2球は150キロを計測しており、まさにモノが違う。138キロを計測したカッターのキレ味も鋭く、数年後にはマイナーや3Aでプレーして、MLBで投げてもおかしくない投手だ。しかし制球力が悪く、2回表、一死満塁から犠飛でキューバが1点を先制する。日本はこのようにしっかりとボールを見極めていけば、チャンスはるかもしれない。

 しかし、Mitchelはしっかりと立て直した。3回以降は、146キロ前後に球速を落とし、制球力重視の投球。スライダーの割合を増やし、キューバ打線に狙い球を絞らせなかった。4回以降は3ボールから追い込んでから最後は148キロのストレートで三振に打ち取るなど、全くレベルが違う。

 一方、キューバの先発・PEREZ REYESは駆け引きで勝負する左腕。球速は常時130キロ~135キロだが、両サイドへのコントロールが安定しており、さらに横に鋭く切れるスライダー、チェンジアップの精度も高く、全体的に低めに集めようとする意図が見える。マウンド捌きを見ても、実戦的な投手だといえる。

 だが2回裏、6番DELGADO Raynelの右前安打でチャンスを作り、7番ケサスの左飛で二塁へ。二死二塁から9番THOMAS Alek Sebastianのタイムリーで1点を先制する。

 さらに3回裏には、 二死一、二塁から6番DELGADO Raynelが2安打目とある左前安打と相手の敵失で二者生還し、3対1と点差を広げる。DELGADO Raynelはコンパクトなスイングから右、左へ打ち分ける右の三塁手。コンタクト能力が非常に高く、打球も速い。また三塁守備が実にうまく、ベース際への打球処理は秀逸、さらに強肩。相当なレベル。

 4回裏もチャンスをしっかりと作り、二死満塁から5番 MC NAIR SEIGLER Anthony Wendallが、痛烈な安打を放ち、二者生還。5対1と点差を広げる。5回裏も、二死二塁から9番の適時打で、6対1と点差を広げ、その後も点を追加し、8対1とした。


 アメリカのWILCOX Mitchelは、7回まで1失点の好投を見せると、8回表からは、クマー・ロッカー(ROCKER Kumar)が登板。全米ドラフト1位候補として期待される剛腕だが、これが今大会初登板。調子はあまり良くなく、いきなり四球。しかし徐々にマウンドとの感覚が定まると、剛速球を見せていく。150キロ~151キロの速球を連発。ロッカーの球速帯を記載すると、

151キロ 2球
150キロ 5球
148キロ 2球

だった。本人からすれば、まだ本調子ではないと思うが、それでも、小さなテークバックから地を這うような球筋で投げ込む剛速球は、やはり評判通りだった。本調子の投球を見てみたい投手だ。ロッカーより内容が良かったのは、日本戦でも投げたジョン・ギンである。今大会の実戦経験があるだけに、マウンドの感覚もかなり慣れている様子。ジョンは、ロッカーよりも速く、153キロを連発。135キロ以上のスライダーも切れがあり、コマンド能力も非常に高く、隙がなかった。今大会でいえば、ジョンがアメリカの投手陣の中で最も速く実戦的な投手ではないか。ちなみに球速帯は以下の通り。

153キロ 2球
151キロ 4球
150キロ 4球
148キロ 3球

キューバ打線を抑え、アメリカに勝利をもたらした。150キロ超えが3人。改めてアメリカの投手陣のの厚さとレベルの高さを見せた試合となった。このアメリカ投手陣を捉えるチームは現れるのか。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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