小牟田 龍宝選手 (青森山田)
寸評
抜群の身体能力を武器に最速150キロの速球をマークする右の本格派。この夏初戦の三沢商相手に完封勝利を上げた。 昨年のエース・堀田 賢慎と比較すると、堀田は剛だが、小牟田は柔。堀田は155キロはいずれ投げられそうな馬力はあるが、小牟田は再現性の高さで勝負する投手だ。つまり投手としてのセンスは堀田を上回るものがあり、また4年前にプロ入りした堀岡隼人に負けていない投手だといえる。 そんな小牟田について迫っていきたい。最速150キロときくが、球速表示ではなく、回転数の高さや回転軸で勝負する投手だといえる。 140キロ前後だと思われる速球で次々と空振りを奪うことができる。何より変化球の精度は非常に高く、手元で鋭く曲がるスライダー、カーブ、ドローンと落ちるチェンジアップで空振りを奪い、三振を量産する。 (投球フォーム) 走者がいなくてもセットポジションから始動する。左足を高々と上げていきながら、右足の膝を適度に伸ばしてバランスよく立つ。 そしてヒップファーストで重心を下げていき、左足はくの字ステップを採用し、フォームに勢いを与えていく。小牟田のテークバックの動きは非常に大きく、背中側に入りすぎる傾向がたまにあるので、注意したい。 堀田と違うのは踏み出し足の勢いを使って真上から振り下ろすことができるところで、堀田はステップ幅が狭く、強引に振り下ろすところがあった。爆発力のあるストレートを投げることができていても、肘に負担がかかりやすい。 一方、小牟田は下半身主導で動き、無理に力が入っている動作が見られず、現時点では故障のリスクは見当たらない。ただ、下半身の柔軟性がなくなったり、下半身の怪我をしたりとして、下半身が使えないフォームになったりすると、すぐに肩、肘にリスクを負いやすい投手なので、全身のケアに配っていきたい。
更新日時:2020.07.15
将来の可能性
まず過去にプロ入りした青森山田の先輩と比較すると、堀岡隼人や堀田は豪腕タイプ。小牟田はセンス型の投手になるのではないだろうか。投球の駆け引き、フォームの完成度の高さは2人より上回るものがあり、近年、投手の競争が激しくなっているが、彼は生き残れそうなセンスの良さがある。投球フォームのメカニズムから見て、大卒2年目の泉 圭輔(福岡ソフトバンク)のような投手になるのではないだろうか。 泉はプロ通算19試合で防御率2.19と安定した数字を残しており、ぜひ制球力、駆け引きにこだわった投手になってもらいたい。 これからの戦いでもさらにレベルアップした投球を見せる事ができるか注目をしていきたい。
更新日時:2020.07.15
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