1つ1つの積み重ねが結実・樟南



樟南5点目

 樟南鹿児島実。長年鹿児島をけん引してきた名門2強の夏決勝の直接対決は、5年前の2016年、延長15回の引き分け再試合で樟南が勝利して以来である。「あの時の再試合も7月26日だった。あの試合のことや、この1年間のいろいろあったことが思い出された決勝戦だった」と樟南・山之口 和也監督は試合後に語っている。

 樟南はエースを中心とした守備(=盾)が持ち味。鹿児島実は強力打線のイメージが強い攻撃(=矛)に特徴があるチーム。長年、鹿児島の頂点を競い合った両者の対決は典型的な「矛盾対決」となり、樟南が勝つのは「ロースコアの接戦」を予想するのだが、この日はまず樟南の「矛」が鹿児島実に牙をむいた。

 1回裏、一死から2番・尾崎 空(3年)がセンターオーバー二塁打で出塁し、3番・下池 翔夢主将(3年)のライトオーバー二塁打で樟南が先手を取った。

 2、3回と走者を出して畳みかけるチャンスを作ったが、連続送りバント失敗、鹿児島実の好守に阻まれ本塁アウト、併殺で打ち取られるなど拙攻が相次ぎ、波に乗れない。

 4回裏も先頭打者がヒットで出て送りバントで二塁まで進むも、捕手がボールを取り損ねたスキに二走が三塁を狙うも三塁タッチアウト。つかみかけた流れを相手に渡しかねない状況になった。

 だが、そこから四球、ヒット、四球で粘って満塁とする。鹿児島実は先発のエース大村 真光(3年)が降板、左腕・赤嵜 智哉(2年)をマウンドへ送った。

 1番・町北 周真(2年)がフルカウントまで粘って四球を選んで押し出し。待望の追加点を得ると、2番・尾崎がライト前2点タイムリーを放った。5回にも6番・長澤 明日翔(3年)がレフト前タイムリーを放ち、貴重な中押し点を挙げて前半で5点と大きくリードした。

 打線の勢いは後半も衰えない。8回には相手のミスも絡んで無死満塁とし、1番・町北のライト前タイムリー、3番・下池主将の犠牲フライでダメ押しの2点を挙げた。

 エース西田 恒河(3年)を中心とした樟南の「盾」も鹿児島実の「矛」を最後まで通させなかった。最速140キロの直球から多彩な変化球を駆使した緩急を丁寧に使い分け、7回まで鹿児島実打線に三塁も踏ませなかった。

 序盤から劣勢続きの中、ショート平石 匠(3年)を中心に2度の併殺を取るなど、堅守から流れを引き戻したかった鹿児島実だったが、エース西田を最後まで打ちあぐねた。

 8回表、一死から8番・小倉 良貴(3年)がライトオーバー二塁打を放って、初めて三塁まで進むも得点ならず。9回は代打攻勢を仕掛け、末吉 涼雅(3年)が内野安打、上西 巧朗(3年)がレフト前ヒットを放って、一、三塁と意地を見せるも、見逃し三振に打ち取られ、最後まで本塁が遠かった。

 終わってみれば「矛」「盾」ともに樟南がライバルを圧倒して5年ぶりの甲子園をつかんだ。山之口監督は「選手たちが実力以上のものを出してくれた」と賛辞。その上で「1つ1つ、できることを積み重ねていった結果」と力強く振り返った。