貴重な経験を積む・大島



大島9点目・中ランニング本塁打

 大島は背番号11の前山龍之助(2年)、枕崎は背番号10の左腕・白澤怜大(3年)、どちらも今大会初先発の投手がマウンドに上がり、スタメンも準決勝までとは大幅に入れ替えての試合となった。

 初回、枕崎は相手のけん制悪送球、5番・古川海(3年)のスクイズで2点を先取した。

 大島はその裏二死から4連打を浴びせ、5番・瀧文汰(3年)のレフト前タイムリー、6番・武田涼雅(2年)の走者一掃センターオーバー三塁打で計3点を返し逆転した。

 3回裏、大島は雨による長時間の中断が再開された直後に6番・武田がレフトスタンドに3ランを放った。

 枕崎は4回、9番・白澤のレフト前タイムリーで1点、5回は5番・古川のセンターオーバーのタイムリー二塁打で2点を返し、1点差に詰め寄る。

 中盤以降は大島打線が爆発。6回は2番・中優斗(2年)がランニングホームランで2点。7回は4安打を集中し、最後は4番・西田心太朗(2年)のライトオーバータイムリーでコールド勝ちを決めた。

 大野 稼頭央(2年)―安田 秀太郎主将(3年)のバッテリー、4番・田尾樹珠樹(3年)と今大会4強入りの中心になった選手を外し、大島はこれまであまり試合に出られなかった選手も多数出場させた。4安打完封された準決勝の「うっ憤を晴らすような試合をしてくれた」と塗木哲哉監督。14安打12得点でのコールド勝ちはもちろん、今後に向けて数々の貴重な経験が積めた。

 武田は6番、ショートで3試合目の先発出場。大会前から調子が上がらず、背番号6をつけていたが常時スタメンを勝ち取れずにいた。2年生だが「同級生のバッテリーが投げているので、自分たちが中心になったつもり」でこの試合に臨んだ。

 初回に逆転の三塁打、3回には雨による1時間50分の中断から再開直後の打席で3ランを放ち、計5打点の活躍だった。「ファーストストライクから積極的に打った姿勢が良かった」と塗木監督。武田は「走者を返せたのは良かったが、その後の守備でエラーをしたのが反省」と満足はしていなかった。

 2年生右腕・前山はこの試合が公式戦初先発。初回3安打を浴び、けん制悪送球で失点するなど、不安定な立ち上がりだったが「捕手の西田が声を掛けてくれてうまく切り替えられた」。雨による長時間の中断もあり、タフさが求められるマウンドだったが、最後まで粘り強く投げ抜いた。

 被安打8、5四死球、5失点とまずまずの内容。同じ2年生左腕の大野の存在が際立った今大会だったが「大野1人に頼っていたら夏は勝てない。自分が9回投げ切れるよう、もっと球速やスタミナをつけたい」と自らの課題を確認できた。

 2週間余りの長期遠征となり、日常生活など野球以外の大切さをチーム全体で経験できた。雨の中断後のグラウンド整備は普段試合に出ている選手たちが担当した。「日頃自分たちがサポートしてもらっていることのありがたさが分かったのでは」と塗木監督。「自分を生かすことも大切だが、彼らが他者を生かすことを覚えたら、このチームはもうひとつ上のレベルにいける」と期待していた。

(文=政 純一郎