「粘り」で頂点つかむ!・神村学園



サヨナラ勝利の神村学園

 両者の粘り強さが発揮され、見応えのある決勝戦だった。

 1回裏、神村学園が3番・前薗 奎斗(2年)のレフトスタンドへの2ランで先制する。

 2回は8番・松岡 輝(2年)の犠牲フライ、4回は4番・甲斐田 紘整(2年)のレフト線二塁打で追加点を重ね、序盤の主導権をがっちりつかんだ。

 樟南は4回表、この回からマウンドに上がった内堀 遼汰(1年)の代わり端に3連打を浴びせ、5番・小峰 康生(2年)のセンターオーバー二塁打で2点を返した。

 神村学園は5回裏、4番・甲斐田の犠牲フライに、相手の悪送球の間に更に1点を加え、再び4点差とした。

 このまま神村学園が押し切るかと思われたが、7回裏一死二三塁のピンチを併殺でしのいだ樟南が再び盛り返す。

 8回は2番・今井玲緒(2年)のセンターオーバー二塁打、5番・小峰のセンター前タイムリーで2点差に詰め寄る。9回は9番・川辺彼方(2年)のセンターオーバー二塁打、2番・今井のレフト前タイムリーで同点に追いついた。

 劣勢に追い込まれた神村学園だったが9回裏、一死から四球で出塁。3番・前薗がライトオーバー二塁打を放つ。返球が乱れる間に一走・寶永陸翔(2年)が判断良くホームを陥れサヨナラ勝ち。2時間35分の苦闘に劇的な決着をつけた。

 「きょうは粘って勝つんだぞ!」
 試合中、小田大介監督は口酸っぱく何度も繰り返した。終盤追いつかれてのサヨナラ勝ちは言葉通り「粘り」の勝利だった。

 樟南の好投手・西田攻略のカギは「好球必打」。打席で待ったら術中にはまる。追い込まれたらボール球を振らされてしまう。早いカウントから、大きな当たりを狙わず、自分の間合いに引き込んで強く打ち返すことを徹底した。

 初回、3番・前薗が初球を迷わず振り抜いて2ランを放ったことで打線が勢いづく。「内角のスライダー。追い込まれる前に小さくならずに思い切り振れた」(前薗)。9回、サヨナラを呼び込む二塁打は「自分で決めようと思うと大振りになる。次につなぐ気持ちで低い打球」を心掛けたら打球がライトの頭上を越えた。目指したのは「三振ゼロで粘ること」(小田監督)。喫した三振はわずかに4つだった。

 守備では樟南の執念の追い上げに苦しみ、同点に追いつかれたが、弱気にならずに粘り強く守れた。前半の攻勢の展開でも勝ちを意識しない。後半追い上げられても弱気を見せない。「ピッチャーが踏ん張ってくれている。チームで野球をやる」(前薗)意識を全員で最後まで徹底できた。

 この夏の代替大会はオール3年生で臨んだため、新チームは経験が不足していた。だからこそ勝ち上がるごとにテーマを決め、一戦一戦で成長することを目指した。「良かったことも、課題が見えたことも含めて貴重な経験ができた」と小田監督。九州大会もまた一戦必勝で成長の機会にするつもりだ。

(文=政 純一郎