日本航空に現れたエドポロ・ヴァデルナの急上昇コンビが見逃せない



エドポロ・ケイン(日本航空)

 日本航空がセンバツ優勝の東海大相模の一戦。非常に見所のある試合だった。日本航空の先発は秋の関東大会でも主力投手だった山形 一心小沢 耕介ではなく、ヴァデルナ フェルガスだ。父がドイツ、ハンガリーのハーフで、母が香港出身の方に生まれた投手で、なんといっても188センチ86キロとグラウンドに立てば、ひと目で目立つ選手だ。この体格だと豪腕だと期待したくなるが、実際は軟投派だ。腕が遅れて出てくる独特の投球フォーム。このフォームは投手を始めた小学校4年生から現在のフォームにいきついたようだ。

 常時120キロ後半〜132キロ程度(最速136キロ)なのだが、出どころが見にくい上に、ボールが散らばるので、打ちにくい。それでも高めに浮くボールは多く、1回表には4番柴田 疾(3年)に痛烈な中前安打を打たれ、1点先制を許す。

だが、初回に1点にとどめたことで、ヴァデルナの中では「いけると思いました」と手応えを感じていたという。

 だが、日本航空もすかさず反撃。1回裏、二死一、二塁のチャンスで打席に立ったのは5番エドポロ ケイン。エドポロは東海大相模の先発・大森 幹大が投じた138キロのストレートを逃さず打ち返し、ライト超えの三塁打で逆転に成功。さらに6番和田 航弥の適時打で3対1と追加した。

 しかし3回表、ヴァデルナが2点を返され、同点に追いつかれてしまうと、再び一死三塁の場面から痛烈な左前適時打を放ち、勝ち越しに成功。5回裏、1番久次米 陸士の適時打で1点を追加した後、再びエドポロに打席が回り、またも左前安打を放ち、ここまで3打数3安打の大活躍。

 

 エドポロの打撃フォームを着目していくと、スタンスはスクエアスタンス。グリップを肩の位置において少し揺らしながら歩幅を狭め、バットを立てて構えている。投手の足の着地に合わせて始動を行い、鋭く腰を回転させてバットスイングを行う。スイング動作を無駄がなく、捉える打球が実に速い。

 打撃の才能開花のきっかけについてエドポロは昨秋の11月の練習試合がきっかけだと語る。
「今まで詰まることに恐れていたんですけど、ある日、詰まって本塁打を打ったことがあったので、詰まってもいいんだ思うようになってから、よりボールをひきつけて打てるようになりました」と結果的にボールを待つ時間が長くなり、高速のヘッドスピードをボールを捉えるようになってから本塁打量産へ。11月からここまでの間で11本塁打を積み重ね、通算17本塁打に到達。ナイジェリア人の父、韓国人の母の下に生まれたハーフで、南大阪ベースボールクラブでは西野 力矢大阪桐蔭-JR西日本)、楠原 悠太関東一)らとプレーした。関西出身の選手が多い日本航空の環境ですぐに打ち解け、関西弁でこれまでの歩みを打ち明けるエドポロは陽気なキャラクターで、試合中になると雄叫びをあげ、気持ちも熱いプレーヤー。豊泉啓介監督によるとだいぶ気持ちが吹っ切れるようになったという。