藤井学園寒川、「加茂育成」春緒戦を打線援護で制す!



藤井学園寒川・加茂優太(3年)

 「冬場は投げない時期を作って下半身を鍛えてきました。春の練習試合ではここまで141キロが出ています。ただ、課題は制球力ですね……」。試合前、藤井学園寒川の最速147キロ右腕・加茂 優太(171センチ72キロ・右投右打・大阪生野リトルシニア出身)の現状について佐竹 茂樹監督に問うと、やや歯切れの悪い返事があった。はたして、試合が始まると……その理由はすぐに解けた。

 

 この日の加茂の投球内容は4回を投げ94球4安打8四死球。奪三振はわずか1で4失点の大乱調。最速153キロ右腕・西 純矢(創志学園<岡山>3年)らとの対戦でストレートへの見極めを鍛えていた丸亀城西がバントの構えなどで揺さぶりをかけ続けたとはいえ、昨年11月の県高野連招待試合・報徳学園(兵庫)と比較しても、下半身が割れないため身体の開きが早く腕が振れず。それでも右腕を無理矢理引っ張ろうとして「フォームが途中で崩れて修正できない」(加茂)悪循環に陥っていた。

 指揮官は今大会の位置づけについて「夏に向けて加茂を先発で経験させる」方針を掲げているが、このままでは厳しいのは自明の理。周囲はまず「チームに迷惑をかけている」本人の意識をポジティブな方向に変え、体重移動を第一に考えてストレートを投げ込む方向性を打ち出してほしい。

 4回表を終えて0対4。しかし、藤井学園寒川打線はここから奮起した。この春にマウンド復活を遂げた丸亀城西左腕エース・藤田 翔希(3年・左投左打・165センチ83キロ・三豊市立三野津中出身)に対しては「昨秋対戦した時は登板機会がなかったが、一塁からの返球を見て速いボールはないと確信していた」佐竹監督の読み通り、2巡目以降は徐々に絞り球をロックオンすることに成功。

 4回裏に9番・橋本 健汰(3年・右翼手・右投右打・164センチ62キロ・寝屋川リトルシニア<大阪>出身)の右前2点打で迫ると、続く5回裏には打者10人で7得点。逆転して藤田をマウンドから降ろした直後には「(2番手の)千葉(雄天・3年・右投右打・173センチ69キロ・奈良中央リトルシニア<奈良>出身)が踏ん張っていたので応えたかった」1番・髙野 佑大(3年・捕手・右投右打・168センチ66キロ・滋賀南リトルシニア<滋賀>出身)の高校初アーチとなるグランドスラムで試合を決めた。

 終わってみれば7回コールドで難敵を下した藤井学園寒川。今後「次の機会」を与えてくれたチームメイトに加茂が呼応する好循環が生まれれば、この苦戦は彼らにとって大きなターニングポイントとなるかもしれない。

(文=寺下 友徳