中山 翔太選手 (履正社)

短評

　185/90　の恵まれた体格を活かした、パワフルな打撃が売り。しかし選抜では打率.176厘と、その力を充分発揮するには至りませんでした。しかし秋は、チームNO.1の打率.453厘と圧倒的な存在感を示しました。 　　 （第一印象） 　　 　ボールを捉えた時の打球の強さが目を惹く一方で、大型ゆえの脆さも同居した選手との印象を受けました。 　　 （守備・走塁面） 　　 　残念ながら一塁までの到達タイムは計測できませんでしたが、新チーム結成以来の34試合で2盗塁と、けして足を売りにするタイプではありません。 　　 　左翼の守備も、打球への反応・追い方などもイマイチで、見ていてやや危なかっしく感じます。肩も基準以下であり、守備・走塁のレベルはかなり低そう。 　　 （打撃内容） 　　 　売りは破壊力のある打撃で、長打力と勝負強さが自慢です。 　　 ＜構え＞　☆☆☆ 　　 　前の足のカカトを浮かせて構え、グリップの高さは平均的。腰は据わりませんが、背筋を伸ばして構えます。全体のバランスとしては並ですが、両目で前を見据えることは出来ています。 　　 ＜始動＞　遅め 　　 　ボールをよ～く引きつけて叩く遅めの始動を採用しており、天性の長距離砲といった感じがします。ただ実際のところは、それほど打球が上がるタイプというよりも、強烈な球足で抜けてゆくタイプの強打者に見えます。 　　 ＜下半身＞　☆☆☆ 　　 　始動～着地までの「間」がないので、打てるタイミングは限られていそう。いかに自分の狙い球を、逃さず叩く鋭さが求められます。それでも真っ直ぐ踏み出した足元はインパクトの際にブレないので、引っ張りだけでなくセンターから右方向への打撃も可能なはず。センター前に、しぶとく追っつける打撃も見せてくれました。 　　 ＜上半身＞　☆☆ 　　 　始動が遅い割に、打撃の準備である「トップ」の形を作るのが遅れがち。バットの振り出しも、体から離れて振り出されるので、ボールを捉えるまでにロスを感じます。それでもバットの先端であるヘッドは下がらないので、外の厳しい球や低めの球に対し、上手く拾うことが出来ています。 　　 ＜軸＞　☆☆☆ 　　 　足の上げ下げが小さい割に、頭が結構動いているのが気になります。体が突っ込んで、自分からボールを追ってしまう欠点があります。それでも体の開きを我慢し、軸足の形が大きく崩れないのは好いところ。ボールをポイントまで引きつける意識を徹底できれば、調子の波も少なくなるのではないのでしょうか。

将来の可能性

　守備・走塁のレベルが低いのは気になりますが、打撃では存在感のあるものを魅せます。夏にはぜひ、その打棒で全国のファンを驚かせて欲しいと期待します。こういう強打者タイプは、これからいかに上手く育てて行けるのかが日本球界の課題。ぜひ、大成して欲しい一人だと思っています。