Interview

常総学院高等学校 内田 靖人 選手

2013.10.17

1次ラウンド 台湾戦(4番・DH)  4打数2安打
1次ラウンド メキシコ戦(4番・DH→三塁)4打数1安打
1次ラウンド ベネズエラ戦(4番・DH→一塁)4打数0安打
1次ラウンド チェコ戦(4番・三塁→一塁)4打数1安打1打点
1次ラウンド カナダ戦(4番・DH) 3打数0安打1打点
2次ラウンド 韓国戦(4番・DH)  4打数3安打
2次ラウンド キューバ戦(4番・DH)4打数2安打
2次ラウンド アメリカ戦(4番・一塁)4打数1安打3打点
決勝     アメリカ戦(4番・DH)4打数1安打

 以上は選手権のあとに行われた「18U世界野球選手権」の成績で、通算では35打数11安打と当たり打率.314、5打点と日本の準優勝に大きく貢献した。
 タイミング、引き手・利き手、金属・木製など話題はバッティング技術のさまざまな面に展開し、そのつど的確に話を返してくれた右のスラッガー。内面の充実こそこの選手の最大の魅力なのだと知ることができた。

高校通算37本塁打のバッティングのポイント

――小学生や中学時代の内田くんは、どんな選手だったのですか?

内田 小学校のときはホームランを打っていなくて、打ち出したのは中学校になってからです。

――ホームランの魅力にとりつかれたのはいつぐらいから?

内田 人より体が大きかったので、体を生かしたバッティングというか、野球を始めてやっぱりホームランを打ちたいというのはありました。

――小・中学校のときは何センチぐらいあったんですか。

内田 小学校の時は、170cmぐらいで、中学の時は180cmです。

――やっぱり最初から大きかったんだ。体重は?

内田 実は高校入学当初は太っていたんです。常総に入って10kg近くやせて、そこから筋肉をつけて身体を大きくしていきました。

9月のU18で活躍した内田選手(常総学院)

――太って、やせて、また太って、というのは理想ですよ。高校通算ホームランは何本ですか?

内田 37本です。1年春からベンチ入りさせてもらったんですけど、最初は軟式あがりということで芯に当てるのが難しかったですね。というのも、軟式はバットの根っこに当っても飛ぶんです。そういう部分で硬式に対応するのが最初は難しくて。ホームランも全然打てなかったんですけど、慣れてからは徐々に打てるようになって、選抜が終わってから20本以上打ちました。

――コツをつかんだという感じですか?

内田 芯に当る確率が上がりました。自分はどちらかというと強く叩いて飛ばすんじゃなくて、乗せて運ぶ打球が多いんです。

――それはかなり技術的なコツがないと難しいでしょ。例えばポイントは前ですか?後ろですか?

内田 ポイントは皆より前だと思います。

――前だとパーンと弾くようなイメージがありますが。

内田 前を大きくして乗せる感じです。最初の頃にくらべてポイントが近くなっているとは思います。

――ミートポイントもっと近いほうがいいという考え方ですか?

内田 そうですね、近いほうが長くボールが見れますし。そこは少しずつ変えたい部分でもあります。

――18U選手権では、木製バットに見事に対応していたので、日常的に使っていたのですか?

内田 練習では竹バットを使うこともありました。それでも、(18Uでは)ヒットは出ていたんですけど、長打が1本しか出ていないです。あと速い球に対応する力がまだ足りないと感じました。

――でも、韓国戦が4打数3安打。キューバは4打数2安打、アメリカの初戦が4打数1安打3打点、決勝が4打数1安打。この結果は、すごいですよね。それで大会の通算打率が3割1分4厘だから文句なしだと思いますが。他の選手で、興味深いバッティングの選手はいましたか?

内田 友哉大阪桐蔭)です。飛ばす力が凄いなと感じました。音も人と全然違う。一人だけバッティング練習の音も何か違ったんですよね。乾いた音というか、一人だけ強く叩いているというか、そういう音がしました。

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[page_break:U18で対応した木製バットでの打法/捕手としての素質を魅せた甲子園でのプレー]

U18で対応した木製バットでの打法

――内田くん自身は、U18で、金属バットと木のバットの時とでは、打ち方は変わりましたか。

内田 自分の中で外国のピッチャーというのは球が速いイメージがあったので、足を高く上げて打ちにいくとやっぱり詰まると思って、あまり上げないようにちょっとだけ意識したというのはあります。

――甲子園のときも、そんなには上げていなかったでしょう。

内田 そうですね。それよりももっと上げないようにしました。

――上半身で打つイメージがあったんだけど、甲子園を見る限りではうまく足でタイミングを取る選手だなと思いました。

内田 突っ込む傾向があったので、後ろに体重を置くというか、しっかり後ろにためをつくってというか。

高校でのベストホームランは甲子園・福井商戦での2ランだった

――前足より軸足のほうにイメージを置くということですか?でもポイントは前ですよね?ポイントを前に置くというのは、大きいのを打ちたいという気持ちもあったのですか?

内田 そうですね。ツーアウトでランナーがいない場面では狙いました。

――さっきの繰り返しになりますが、タイミングを上半身で取る人と下半身で取る人がいると思うんですが、自分はどちらのタイプだと思いますか?

内田 高校に入ってから色々バッティングフォームを試しました。選抜のときはノーステップで打って、それが終わってもう1回足を上げたり。自分の中ではタイミングを取るのがうまいほうじゃないという感じがしているんで。詰まる傾向もあったし。そこでうまくタイミングを取りたいなというのはありました。

――じゃそこで試行錯誤したんですね。

内田 そうですね。色々な打ち方を試しました。ノーステップをやったり、すり足の時期もありました。

――すり足と1本足ってどうですか。

内田 すり足だと後ろに体重が乗り切らないので、あまり打球が飛ばないというのがあります。

――自分の身体的な特徴というのはどこにあると思いますか。リストとか背筋とか、単純に腕力があるとか色々あると思うんだけど。リストは柔らかくて強いと思っているんだけど。

内田 よくそう言われます。背筋は計ったことがないのでわかりませんが、強いんじゃないかとこれもよく言われます。

――今までのベストホームランは?

内田 完璧というのは今夏の甲子園の福井商業戦のホームランでした(選手権3回戦の2ラン)。最後の打席で、それまで当たっていなかったので監督からは思い切りいけと言われて。

捕手としての素質を魅せた甲子園でのプレー

サードとして、時は捕手として守備でも貢献

――一番聞きたかったのは選手権で座って投げたやつね。あれは凄かった。予備知識がなかったから、ああいうことをやると思わなかった。

内田 中学の最後のほうで、3、4カ月間キャッチャーをやっていました。あの仙台育英戦でキャッチャーをやるというのは前の日から知っていて、部屋がショートの吉澤岳志)と一緒だったので、3、4回あたりの投球練習が終わった後に投げるよと。

[註]仙台育英が4回表の攻撃に入る前のイニング間、座ったままで二塁へ送球し、このときのタイムがあっと驚く1.99秒。

――5回表のニ死二塁のときには座ったままで牽制して1.96秒でした。2秒を切るだけでも凄いのに。2、30年前、日米親善野球で来日したサンティアゴというキャッチャーが座ったまま二塁に投げると評判になったんだけど、そのときは嘘だろみたいな。日本でそういう選手はいなかったしね。今だって、そんなキャッチャーは内田くん以外いないかもしれない。キャッチャー、ファースト、サードとやってきたけど、自分ではどこを一番やりたいですか。

内田 ずっとやってきたサードはやっぱり無難にこなせますし。キャッチャーはリードとかでわからない面があるので、もっと勉強しなければいけないなとは感じます。

――やっぱりサード?

内田 そうですね。プロではその球団によって起用は変わると思うんですけど、どこでも守れるようにしたいと思っているので。どこでもやれれば試合出場は多くなると思うし、そういう意味でもいろいろ試したいと思います。

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[page_break:甲子園でみせたウォーキングバッティング/憧れの選手は小久保裕紀選手]

甲子園でみせたウォーキングバッティング

バッティングを丁寧に語ってくれた内田選手

――甲子園では、打球がスライスするなと思って見ていました。これはとてもいいことで、バットが内側から出ていないとそういう曲線が描けないからね。それは意識していたのですか?

内田 最初、入学した当時は大振りで、外から(バットが)出てくるというのがあったので、素振りをしてしっかりフォームを固めました。

――いきなり内側から出そうと思ってもできないでしょう?

内田 そうですね。鏡を見ながらずっと素振りで振って固めました。

――左手と右手とどっちが主体ですか?

内田 左手からですね。

――引き手か利き手かというのは人によって意見が違っていて、利き手が大事だという人もいる。内田くんみたいな右のスラッガーは右手(利き手)で押し込んでいきたいという人が多いけど違うんですね。

内田 やっぱりインコースを打つにはこっち(引き手=左手)でしっかり捉えたいというのがあるので。左手がちゃんと使えないと詰まってしまいますね。

――仙台育英戦で、打席の中で歩いたでしょう。あれは何?

内田 あれは去年の夏に桐光学園松井くんとやったとき、チームとして立てた対策です。落ちる前に捉えようと。今回も仙台育英のピッチャーはフォークがあるということで、あそこは多分フォークでくるなというのがあったので、それで動きました。

[註]2012年夏の選手権2回戦桐光学園と対戦、5対7で敗れているが、内田は3番三塁で出場し、4打数2安打2打点と攻略している。

――効果はありましたか?

内田 甘い感じでスライダーがきたんですが、打ち損じてしまって(ショートゴロ)。ヘッドが返ったというのがあって、あそこでヘッドを上げていればたぶんレフト方向に上がったと思うんです。

――打席の中で歩くというのはバッティングの形を崩すことにつながりませんか。

内田 練習の中でも自分は歩くというか、トスバッティングのときも後ろから歩いてトップを作ると一番いい感じになるので。

――歩くときはどっち側から歩くの?

内田 左、右と歩いて左でステップです。ちゃんとトップを作って打てるというのがあったので。形を崩して打つというわけではないんです。

――「ウォーキングティー」という呼び名で、10年くらい前、中西太さんという有名な指導者が巨人の若手選手にやらせているのを見たことがあります。やっぱり左、右と歩いて左でステップするとバットが下から出ないで、必ず上から出るんです。練習ではウォーキングティーがいいということはわかるんだけど、実戦でやるのはどうなのかなと思っていたんです。

内田 甲子園のときもバッティング練習で歩きながら打ってホームランも打ちましたし。

――バットが上から出るという感覚はありましたか。

内田 そうですね。疲れてくると右肩が下がるくせもあるので、そういうのをいろいろ試すというのも大切なので。

――グリップの位置を肩周辺で保つのは大変でしょう。

内田 そうですね。疲れてくると下がるんです。自分ではわかっていなくても、周りから見ると下がっていると言われますね。

憧れの選手は小久保裕紀選手

――好きな選手とか球団とかありますか。

内田 球団は特別ないですけど、野球を始めてからずっと小久保(裕紀)選手が好きです。

――やっぱりあの高い放物線のホームラン?自分で目指すのもああいうホームランをイメージしているのですか?

内田 そうですね。あとは中田翔選手のああいう力強いホームランを打ちたいですね。

内田選手、ありがとうございました!1、2年生の球児にとっても、参考になるお話しでした。卒業後の活躍も期待しています!

(インタビュー=小関 順二

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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