Interview

仙台育英学園高等学校 上林 誠知 選手 「神様からプレゼントをもらう準備」

2013.03.04

第134回 仙台育英学園高等学校 上林誠知 選手2013年3月04日

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神様からのプレゼントをもらう準備

仙台育英高校 上林誠知選手

――今日は「準備力」をテーマにお話を伺います。まず、上林選手にとって、準備とは何でしょうか?

上林 誠知選手(以下「上林」) 準備とは、ルーティンだと考えています。いつも、同じようにやる。それが出来るかどうか。練習で出来ないことは、試合で出来ないですから。
 また、私生活から、すべてを普段通りにやることですかね。試合のために合わせるということもせず、試合当日であっても普段と変わりない生活をしています。試合の前日だけ早く寝るということもありません。毎回、同じ時間に寝れば、試合もいつもと同じ状態で臨めるんじゃないかという考えです。

――では、試合本番に臨む時の心構えはありますか?

上林 すべてにおいて、毎回、調子がいいわけじゃないと思うんです。その中でも、(監督の佐々木順一朗)先生に言われるのは、『相手は自分が調子が良いとか悪いとかは分からないんだよ』ということです。調子が悪くても、それを見せないように、その日なりに100%でやろうとしています。

――それも、1つの心の準備ですね。試合の前日は緊張しますか?

上林 しないですね。緊張しすぎて、試合前日に寝られないということはないです。どちらかと言えば、楽しみという気持ちのほうが強いです。

▲明治神宮大会でも活躍をみせた上林選手

――先ほど、調子が悪くても、それを見せないようにしているというお話しがありました。相手に気づかせない中でも、不調の時はどうしますか?

上林 何も考えないです。バッティングって、考えたら負けなんですよ。経験上。しかも、バッティングって紙一重なので、打てなくても『そういう時もある』と考えます。打てなかったら、何かが悪いと思うのではなく、ただ結果が出なかっただけと考えています。

――大事な場面で打てなくて後悔したことはありますか?

上林 覚えていないですね。あまり結果を気にしないというのもある。自分は感情をあまり持たないんですよね。そこを(佐々木)先生に怒られることもあるんですけど。明治神宮大会も優勝しましたけど、嬉しさも一瞬で終わりました。

――好不調でも、気持ちの波がないということなのでしょうか?

上林 ないですね。実は新チームが始まった当初は、全然、打っていないんですよ。その時も気にしなかったですね。そしたら、国体の時に神様からプレゼントが来たんですよ。

――国体の準決勝の最終打席でのホームランですね。

上林 そうです。3年生のお陰ではあるんですが、技術的な調子の悪さから立ち直った時に、『神様からのプレゼントだ』とか、そう考えるようにしています。打てない時はそういうこともあると思って、打った時は苦しんだ分、打てたんだなと。だって、イチロー選手(ヤンキース)だって不調はあるんですよ。

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常に頂点を目指した練習を

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――上林選手は、日頃、どんな意識で野球に取り組んでいるのでしょうか?

上林 常に頂点を目指しています。

――そのためにどういう練習をしていますか?

上林 僕は、人より数をこなすようにしています。例えば、ティーバッティングでも。フリーバッティングは7球×10セットと数が決まっているので、足りない部分はティーバッティングで補っています。

――頂点というのはチームとして?それとも、個人として?

上林 両方ですね。グラブの刺繍に『頂点』と中学時代から入れているんです。中学1年の夏に初めてオーダーでグラブを買ってもらった時です。そしたら、中学3年の春のシニアの全国大会で優勝したんです。

――なぜ、頂点と入れたんですか?

上林 負けず嫌いなんですよね。刺繍の文字は、てっぺんとかも考えたんですけど、それだったら漢字の方がいいかなと思って。高校に入ってから買ったグラブに頂点と入れたのは今回初めてなんですが、中学の時にこの文字を入れて優勝できたので、ゲン担ぎのようなところはあります。

▲グラブには「頂点」の文字

――上林選手は小学1年から野球を始めましたが、これまでの野球人生で影響を受けた人はいますか。

上林 中学の時に、元日本ハムファイターズの矢作公一さんにバッティングを教わりました。矢作さんと、(佐々木)先生に出会えたことは、すごく大きいです。矢作さんからよく言われたのは、『構え遅れをしないように』ということです。当時、僕は構えるのが遅く、タイミングを取るのが下手くそだったんです。『構え遅れするな』というのは、耳にタコができるくらい言われてきました。やっぱり、バッティングはタイミングだと思うんです。

――では、グラウンドを離れた時は、どのように過ごしていますか?

上林 シーズン中はプロ野球中継を見て、今はYouTubeで野球関係の動画をよく見ています。また、最近は情熱大陸を見るのが楽しいです。いろんな人の人生を見て学ぼうかなと。

――自分を高めたいという気持ちが強いんですね。

上林 そうですね。あと、この冬のテーマは『頭をよくする』なんです。チーム全体のテーマでもあるんですけど。それを先生から言われて。
 個人的には、字の練習もしています。先生から『字をきれいに書くことも大事になってくる。すべてにおいてプロになれ』と野球ノートに返信されてからですね。
 確かにそうだなと思って、すべての面においてプロになれるよう準備はしています。本も読みますよ。最近は、松下幸之助さんの本を野球ノートに書き写しています。あとは長谷部誠さんの『心を整える』とか、『アツイコトバ』(杉村太郎著)とか。

――色んな部分からアプローチして、チームで勝つために、主軸として活躍するために、そしてプロに行くために準備をされているのですね。では、この春の選抜大会に向けて、この冬はどんな準備をしてきましたか?

上林 冬場はパワーアップに励みました。(体幹系メニューの)補強は、昨年より意識高く取り組みましたし、室内練習場でロープを登るトレーニングでは、ノルマが2本のところ、調子がいい日は5本とか人より多く上っていました。
 ウエイトは自由なので、自分はやらない派です。今は必要ないと感じています。その分、バットを振りましたね。

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上林選手のルーティーン&自己分析

「野球をしていない自分は想像できない」

――冒頭でルーティンのお話しも出ましたが、毎回、試合で持参したり、使うものは決まっていますか?

上林 同じものは2つ持って行くようにしています。アンダーシャツも同じ物を2枚、ソックスも、パーカーも色違いを買っておいて持って行きます。同じ物がいいんですよ。

――打席に向かう時のルーティンはありますか?

上林 イチロー選手がやっている動作をやっています。中学時代は、打席に入る前に腕立てもやっていました。

――メンタル面では、何か準備はしますか?

上林 試合前はアップテンポな曲を聞きます。決まってはいませんが、湘南乃風が多いですね。

――では、モチベーションを高くもって練習するためにはどうすればいいと考えていますか?

上林 それは、野球が好きなら自然とモチベーションは上がるんじゃないですか。楽しめるとも思います。僕は、野球が好きです。今は野球しかないですし、野球をやっていない自分は想像できないですね。

――上林選手の性格について伺いたいのですが、あまり、みんなでワーッと騒ぐのは好きではないですか?

上林 楽しいことは好きなんですけど、1人の時間も好きかもしれないですね。みんなからの第一印象は静か。それか、怖いと言われます。でも、話してみると優しいって分かってくれるんですけど(笑)

――では、最後に選抜大会に向けてのお話しを伺っていきます。昨年11月から、近隣への砂埃対策としてグラウンドを人工芝にする工事が入りました。2月の3週目からは福島・いわきでの合宿で、土の上での練習も始まりましたね。

上林 ずっと室内練習場で練習していたので、まずは外の感覚を取り戻すことからですね。あとは土。甲子園は土なので、そこに備えないといけないですね。試合観も最初は紅白戦で戻して、あとは沖縄に行って練習試合で本番に合わせていきたいです。

――甲子園では、どのような活躍をみせたいですか?

上林 秋は一度も負けることなく、国体と明治神宮大会で優勝することができましたが、センバツでは秋の成績は関係ないと思っています。1試合1試合、謙虚に挑戦者の気持ちで頑張ります!

上林選手、貴重なお話をどうもありがとうございました。

(インタビュー・高橋昌江

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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