Interview

セガサミー 赤堀 大智 選手

2012.12.23

第121回 セガサミー 赤堀 大智 選手(掛川西高出身)2012年12月26日

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 188cm91kgの大型野手・赤堀大智。公式戦での場外本塁打のパワーだけでなく、高い守備力も評価され、今年のドラフトでは横浜DeNAから4位で指名。打撃と守備のパワー&スピード向上について伝授します!

大型パワーヒッターのバッティング理論

セガサミー 赤堀大智選手

――高い長打力をもつ赤堀選手ですが、まずはバッティング時の軸はどこに置いていますか?

赤堀大智(以下「赤堀」) 僕はあまり前に出たくないんですよね。構えて、後ろにテイクバックを取った時の右のライン。ここが軸ですね。いつも、ここを意識しています。
 右側を軸にして、手と腰とヒザを一緒に出すイメージ。左のラインが開くのを我慢すれば、右のラインが出ますよね。そういう目的で、軸は右に置いていますね。
 というのも、以前はバットが上手く出てこなかったんです。それを体と一緒に全部出そうという意識にすると、前よりもバットが出るようになりました。先輩の十九浦(拓也)さんやコーチから色々とアドバイスを受ける中で、自分はこれが打ちやすいなと、今のフォームを見つけていきました。

――バットの出し方は、大学時代と社会人では変化はありますか?

赤堀 社会人になってから、『バットを最短で出す』ことと、『コンパクトに振る』というのは違うんだと気付きました。

 最短で出すというのは、バットをポンと出すイメージ。そうすると、体が前に前に出て、ヘッドも走らないし、打球も飛ばない。そうではなくて、バットを落とすイメージ。
 それを身に付けるには、後ろの手だけで打つ練習をしました。僕の場合は右手ですね。これは、ヘッドを意識するために右手で打つんですが、片手で打つと、ヘッドがキレイにパチンと走れているかが分かるんです。
 誰かにトスをあげてもらってもいいし、自分でボールを持って打ってもいい。この感覚を少しずつ覚えていくことで、バッティングは良くなっていったかなと思います
 僕は、今まで引っ張っるだけのバッティングがすごく多く、ヘッドが下がって弱い打球になってしまったんですが、これを練習したら前よりも強い打球が打てるようになりました。

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――インパクトの瞬間に力を入れるために、どんな体の使い方をしているのでしょうか?

赤堀 体の力もいると思いますが、やっぱりバットのヘッドが走らないと、強い打球が打てないと思うので、そのヘッドを走らせるためには、体の開きを抑えることだと思うんですよね。体が開くとヘッドが走らないまま、ボールに当たってしまう。つまり、腰の回転の速さよりも、まずはバットが出るか出ないかということを意識していますね。腰から回したらバットは遅れるので、腰が回る勢いはなるべく抑える。
 そのために、体の前で振る練習をします。僕の場合は、引っ張ってしまうことが多いので、そこを矯正するために、下半身は止めて、体の前で振る練習をしたほうが、強いスイングが出来るようになるんじゃないかなと思います。

都市対抗野球大会での赤堀選手

――打球スピードとパワーをつけるための赤堀選手おすすめの練習法はありますか?

赤堀 オススメは『連続ティー』ですね。キレも出ますし、ムダのないスイングが身に付きます。連続なので、変な動きをしていると追いつかなくなるんですよね。
 重いボールや、重いバットにすればパワーもつくので、軸も安定してきます。
 僕の場合は、連ティーで1日1000回。その中でも、いろんなメニューがあって、30球×10セット、20球×10セット。屈伸してジャンプして10球×10セット、片手打ちで10球×10セット。ノーマルに打って100球など。
 これはチームとしての練習ですが、これを『強化ティー』として全員で取り組んでいました。スイングも強くなりますし、バットの出る位置も自然に身に付く。軸も出てくる。本当にオススメです。

[page_break:守備でのスピードを追求せよ]

守備でのスピードを追求せよ

――赤堀選手といえば、バッティングもそうですが、守備でも評価が高かったですね。取ってからの速さ、一歩目の速さなど、スピード感ある守備をみせてくれました。試合ではどんな工夫をされているのでしょうか?

赤堀 守備というのは、一歩目で変わると思っています。そのための一歩目をどう出せばいいのかは常に考えていますね。
 まずは、ピッチャーの球種を見ながら守備位置を変える。変化球や真っ直ぐ、さらにコースによっても打球は違う。例えばピッチャーが真っ直ぐを投げる時に、打者の振り遅れを少しでも意識しながら守っているだけでも、一歩目は絶対に速くなる。それが左バッターであれば、(守備がセンターの場合)ショート・サード寄りに守りますよね。そういうのを頭に入れておくだけでも、普通に守ってるより速いスタートが切れます。

「バッティング練習時の守備が一番大事」

――そこまで準備できるようになるために、どんな練習をされているのでしょうか。

赤堀 バッティング練習中の守備が、自分は一番大事だと思います。追い方とか、取り方とか、そういうのは通常のノックで練習できますが、“打球感”は打ったものじゃないと分からないので、この時間でこそ、集中して取り組んだほうがいいです。もし、人数が多ければ、後ろでスタート切る練習をしているだけでもいい。それが一番うまくなるコツですね。

――赤堀選手は、捕球してから投げるまでの速さも定評がありますよね。

赤堀 捕ってからの速さというのは、球出しの速さのことなので、内野手のクイックをしっかり練習しておいたほうがいいと思いますね。取る形や打球の入り方がよくなかったら、いい球も放れないし、速くも投げられないので、自分の取る形にいかにボールを合わせられるか。その正確さとスピードは練習で追い求めていますね。

――高校時代は投手。大学から野手に転向されて、なぜ社会人でも外野のレギュラーを取れたほど、上達のスピードが速かったのでしょうか?

赤堀 守備というのは、バッティングと違って、やったらやっただけ上手くなるもの。
 バッティングは技術やセンスもあると思いますが、守備は誰でも上手くなる可能性がある。自分の長所が守備だと思う選手は、自分のいいところは、どんどん伸ばしていけばいいと思いますし、苦手だと思う選手も、守備はやればやるだけ上手くなるので、ぜひ前向きに取り組んで欲しいですね。

[page_break:強豪・セガサミーでのトレーニングは?]

強豪・セガサミーでのトレーニングは?

「長打力をつけるなら、冬はウエイトトレーニング」

――現在、体重91kgの赤堀選手ですが、トレーニングはどんな内容を行っているのでしょうか

赤堀 ウエイトトレーニングは大事ですね。体の強さだけでなく、怪我防止にもつながりますし、土台が大きくなることで、その分、技術でも身についていくものが多くなると思います。
 僕の場合は高校時代はピッチャーだったので走っているだけだったんですが、大学の時はウエイトに力を入れました。社会人に入ってからは、機具だけでなく、自重で懸垂や逆立ちなどを主にやっています。
 懸垂であれば、(手の幅を広げて握る)ワイドが10回×3セット、握りを狭くしたもので、10回×3セット。逆立ちはできるだけ倒立して、もし手が動かせたら、動かせる範囲で腕立てですね。そのあと、ウエイトでベンチプレス、デッドリフト、ラットプルなど1時間半程の時間で、週4回はやりますね。

――トレーニングにかなりの時間を費やすんですね。

赤堀 パワーがつけば、野球のパフォーマンスはあがると思いますね。

 もし、長打力をつけたいという選手がいれば、やっぱり冬はウエイトしたほうがいいと思います。僕の場合は、高校時代よりも15キロ増えました。かといって、足が遅くなったわけでもなく、故障があったわけでもありません。体が大きくなることで、プレーヤーとしての可能性は広がると思います。
 ただ、ウエイトも重たいものを持つのがいいわけではなくて、『続ける』ことが大事だと思うんです。最初は3分しかやらなくても、いい。とにかく続けること。僕自身、続けることによって来季、いい結果が出るんじゃないかなと思って日々取り組んでいます。

高校球児へメッセージ

―では最後に、高校生の皆さんに夢を叶えるためにどんな思いを持って、練習に取り組めばいいか、メッセージをお願いします。

赤堀 僕は、思い続けることが一番大事だと思います。自分の場合は、小さい頃からプロいきたいと思っていました。でも、立正大に入学してからも下級生のうちは、全く試合にも出れず、セガサミーに入ってからも1年目は試合に出れませんでした。
 とくに、セガサミー入社直後は、打順1~3番の選手、みんな外野手で、ド主力の選手ばかりでした。『これじゃ、ずっと試合に出れないよ』って思ったんですけど、まずは自分のウリである守備からアピールしていったんです。
 だから、みなさんも自分の強みだと思うことは、どんどんアピールしたほうがいいです。最初は挫折したとしても、『レギュラーになりたい』『プロに行きたい』と、強い気持ちを持ち、それを思い続けることで、力になる。その力を持って、練習に取り組むことで、夢に近づくと僕は思っています。


赤堀大智投手、ありがとうございました。
プロ入り後の活躍も、応援しております!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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