- トップ
- インタビュー
- 2012年インタビュー
- 株式会社アシックス 水田 尚繁 さん
第113回 株式会社アシックス 水田 尚繁 さん2012年11月15日
「新次元のスイングスピード」を企画コンセプトに、「振りやすさ」を追求した硬式用金属製バット「SPEED TECH (スピードテック) 。企画・開発に携わった水田尚繁さんに開発までの経緯、スピードテックの魅力を語っていただきました。
【目次】
[1]「新次元のスイングスピード」スイングスピードが約2.8km/h ※ 速くなる
[2]振り抜きやすさを実現した長年の研究開発
「新次元のスイングスピード」 スイングスピードが約2.8km/h ※ 速くなる

株式会社アシックス 水田 尚繁さん
――今まで金属バットに求めるものといえば、飛距離、打球速度が一般的だと思っていましたが、スイングスピードに拘ったというのは画期的な発想だと思います。スイングスピード向上にテーマにした理由をお願いします
水田 尚繁さん(以下「水田」) ASICS BASEBALLのブランドスローガンである『最新・最速。』それをバットの中に取りこんでいこうと考えたら、「スイングスピード」を求めるべきという考えに至りました。バットはいろいろ規定がありますが、ヘッドスピードが速くなることで、ボールが遠くへ飛ばすことができる。そこにテーマをおいて商品化を実現しました。
――スイングスピードを高めることが、飛距離、打球速度向上につながっていくということですね?
水田 それはもちろんですが、対応力を高められます。投手が投げるボールに対して、打者が速くバットをぶつける、そのスイングスピードが速くなれば、目で捉えたモノに対して、同じ動きをしてくれる。つまり自分がやりたい動きに対して、具現化しやすくなります。
速く打とうとしても、当たらなければ飛ばないので、当てる為にはそこまでのスピードを高めることが重要になる。だからスイングスピード約2.8km/h ※ 速くなることはとても大きなことなのです。
――野球という動きは何コマという差で大きな違いをもたらすので、アシックスさんはその細かなところに拘りを持ったのですね。
水田 野球は紙一重のスポーツですよね。投手であったらボール半個分の違いが試合を大きく左右する。打者であったら芯、根本、先っぽ。それだけで飛距離が違う。このバットにより芯に当てることができる。そしてより速くボールに到達できます。
――軽量化する上で、ヘッドキャップを軽くしたことがとても興味深いです
水田 バランス良く振りやすいバットを設計する上で、ヘッドキャップを軽くすることは難題でした。ヘッドキャップを使う素材は何が良いか、いろいろな樹脂をテストし、形状を変更した結果、バランス良く設計が出来た。そして重量的に一番軽いものとして、超微細発泡プラスチックを採用いたしました。

軽量化でこだわったのは素材選び
――金属バットは「トランポリン効果」によってその力が強いほど、金属バットは強い力で弾き返すという説明を聞いた時は興味深かったです
水田 「トランポリン効果」はボールを遠く飛ばす上で、大事です。ただトランポリン効果が強ければ、強いほどバットは金属疲労しやすいので、繰り返すとバットはすぐに壊れるんです。これは良く言うのですが、バットはいろんなところで打たなければ駄目と。同じ面ばっかりで打つとすぐに割れますから。いろんなところで打ってもらいながら、ぎりぎりまでトランポリン効果が出る材料を選びます。潰れれば、潰れるほど強い反発が出るといったらそうでもないです。潰れっぱなしの材料もあります。でも適度につぶれて、適度な反発を出すのがバットの狙いどころであります。
――このバットにするだけで打球の飛距離が違いますね!
水田 違います。投球に早く到着し、速いスピードでスウィングでき、バランス良く振りぬくバットですから。
※アシックススポーツ工学研究所調べ。10代男性野球実施者の検証結果の平均値。効果には個人差があります。

- 水田 尚繁 (みずた・なおしげ)
- アシックスジャパン本部 ベースボール事業部
シューズ・EQ企画開発生産部
バット・用品チーム
マネジャー - 上記データは掲載時のものとなります。
- アシックスジャパン本部 ベースボール事業部