明治大学 高山 俊 選手
第100回 明治大学 高山 俊 選手2012年07月01日
日大三高時代の3年夏、5番打者として打率5割、9打点と勝負強いバッティングをみせ、全国優勝に貢献。現在は明治大へ進み、この春はルーキーながら、打率リーグ2位の成績を残し、ベストナインにも選出されました。
そんな高山選手に今回は、強打の秘密と、あの夏の甲子園の思い出を語っていただきました。
高打率を残した5番・強打者の思い出
決勝まできたら優勝したい気持ちが強かった
――実は高山選手は、1年からずっとレギュラーでしたが、2年春のセンバツの決勝から夏までスタメンを外されてしまったことがあります。その当時は、どんな思いで野球をされていたのでしょうか?
高山選手(以下「高山」) やっぱり悔しかったですよね。だけど、今、調子が悪くても、そういう波って誰にでもあると思うことが出来たんです。その波がちょうど今、下にあるだけで、あとは上がるだけ。
小倉監督からもよく、『落ちる所まで落ちたら、あとは上がるだけだから』と言われました。自分も実際、2年の夏まで落ちるところまで落ちて、あとは上がることが出来ましたから。
――昨夏の甲子園決勝戦では本塁打も放つなど、大会通じて打率5割をマークしました
「高山」 あのホームランは、正直ホームランになると思っていませんでした。あの時は確か、畔上がデッドボールで出塁して2アウトから、横尾がセカンドに落ちるヒットを打ったんですけど、そういう流れって相手にとって嫌な流れだなと思っていました。だから、じっくりいくよりは、一発目でいった方がいいと思ったので、積極的に振っていこうとは思っていました。
――優勝した瞬間の感情は、いまでもハッキリと覚えていますか?
「高山」 そうですね、とても嬉しかったです。決勝まできたら、優勝したいという気持ちが強かったので。決勝戦の前の日にも、優勝する夢を見たくらいですから(笑)決勝戦の試合前も、みんな緊張することもなく、『ここまできて優勝できなかったら、夏の1回戦で負けたのと同じようなもの。ここまできたら勝つしかない』って、話していました。
――今、振り返ってみて、勝ち進むことが出来た要因は何ですか?
「高山」 自分たちの代は本当に仲が良くて、チーム力もありました。
ピンチになっても吉永が頑張ってくれましたし、誰かがチャンスで1本を打った。後輩たちも頑張ってくれて、自分たち先輩もしっかりやらなきゃいけないなと思わせてくれたり、そんなチーム力があったから負けなかったんだと思います。負ける気もしなかったですね。
スイングスピードを高めよう!
体に引き付けて打つ、そこを大事にしていました
――続いて、高山選手のバッティングについてお伺いします。高校時代から高い打率を残されている高山選手ですが、打席ではある程度、狙いを決めて打っているのでしょうか?
「高山」 相手によりますね。コントロールが悪いピッチャーはコースを読んでも仕方ないので、球種を読むんです。でも、コントロールが良いピッチャーは、球種を読むよりもコースを読んだほうがある程度、対応出来ますね。
――あれだけパワーのあるバッティングが出来るための秘訣とは?
「高山」 自分のバッティングは、ウエイト(トレーニング)の力じゃないんですよ。ウエイトで持ち上げられる重さは、チームでも下の方でした。
僕の場合は、ウエイトの力は関係なく、リストが強いわけでもないんですけど、スイングスピードは誰にも負けない自信はありました。
スイングスピードを生かすバッティングで、強いスイングをするということを心がけています。強いスイングをするには、最短でバットを出さなければいけない。最短で出すためには、体に引きつけて打つ。とにかく、そこを大事にしていましたね。
――スイングスピードを早くするためには、どんな練習をされていたのですか?
「高山」 自分は細長い、ノックバットみたいなものを振っていました。練習の時はそれを多く振っていましたね。バッティング練習やティーバッティングの時には、そういうバットを使って、体のキレを作っていました。
――逆方向への打球も多いですが、かなり引き付けて打っている印象がありますよね。
「高山」 そうですね、バッティング練習でも『強く振ろう』と思ったら近くで打てないじゃないですか。だから強く振ろうと思うよりは、ボールを引き付けて振る方が強く振れる。それを意識することだと思います。
自分はミートポイントが近いって言われますが、引きつけて打っているのはいいことですがアダになることもあるので、練習して対応出来るようにしていかなきゃいけないと思っています。
練習して対応できるようにしたい
――高校2年生の時は、ボール球に手を出してしまうということを1つの課題としてお話しされていた高山選手ですが、それはどうやって克服したのですか?
「高山」 引きつけて、ちょっと後ろの打席に立ったというのもあります。でも、やっぱり変化球は低めにきていたので、ピッチャーに苦手だと思われると、そういうふうに投げられてしまう。
だから、やっぱり変化球はしっかり振るというか、変化球が来たら引きつけて、見逃すところから始めました。そうしたら、変化球のストライクゾーンが分かってくるので、そこから変化球にも手を出すようになってきて、夏までには変化球にも手を出せるようになりました。
――それは、いまの高校生たちも、すぐに習得できるものなのでしょうか。
「高山」 出来ると思いますね。変化球が苦手な人ってストレートに強いと思うんですよ。自分もそうだったんですけど、ストライクばかりに手を出して、変化球が来たら見逃すか、ボール球に手を出してしまっていた。
それでも、夏前で練習試合が多いと思うので、変化球しか振らないと思って打席に入る。もしくは、自分は変化球を見るところから始めました。
もちろん、見ているだけでは打てるようにはならないので、やっぱり振ってみて、タイミングが合っているのか。そうやって、ストライクゾーンを掴んでいくことですね。
明治大での活躍に期待
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――現在は、明治大でプレーされていますが、この春の六大学リーグ戦では、ルーキーながらリーグで打率2位の成績を残しましたね。
「高山」 この春は、結果として、ボールがいいところに転がってくれたヒットが多かったんです。ヒットはヒットなので嬉しかったんですけど、改善する所は多かったですね。
――そんな高山選手の今、現在の課題というのはなんでしょうか?
「高山」 いっぱいあるんですけど、やっぱりタイミングを崩された時の対応力を持つことですね。
高校の時も、タイミングで打つバッターだったので、タイミングが少しでもズレると、ちょっとキツイなっていうのがありました。でも、ピッチャーのタイミングを崩せるようになってきたので、崩された時にちゃんと対応できるようにしたいですね。
あの夏の甲子園での活躍からちょうど一年が経ちました。高山選手の強打は健在です。高山選手の今後の活躍にも注目です!