Interview

オリックスバファローズ T-岡田選手

2012.05.30

第96回 オリックスバファローズ T‐岡田選手2012年05月31日

 2010年、入団5年目のシーズンに33本塁打を放ち、本塁打王に輝いたT―岡田選手。しかし、翌2011年は思うような結果が残せず、本塁打数は16にとどまった。これまで、ノンステップ打法で長打を量産してきたT-岡田選手も、昨年から今年にかけて、もう一つ大きな壁を乗り越えようとしている。
今回は、そんなT-岡田選手が、自分自身の課題にどう向き合い、どんな意識で取り組んでいるのかをお伺いしました。最後に、夏の地方大会間近の球児の皆さんへメッセージもいただきました。

調子が悪い時に、どう修正できるのか?

“実践することが大事”

――まず、去年から今シーズンにかけて、自分自身で感じている課題というのはありますか?

T-岡田選手(以下「T-岡田」)  やっぱりバッティングというのは、『もうこれで完成』というのが無いのでね。今の僕はノンステップをやめて、ステップして打っていますし、バッティングの課題である『確実性の向上』というのは、野球をやっているうちは常にある課題ですね。

――では、プロ入り1年目からの4年間で、最も壁を感じたこととは?

「T-岡田」  一番最初に感じたのは、スピードと変化球への対応力でした。
 ただ、その辺は試合に出て経験しないと克服できないもの。そこで僕は試合では、打席の中で自分が感じたことをどう修正できるか?そこを意識しながらやってきました。
 例えば、ファールを打ったとして、その時『自分が遅れているな』と思ったら、打席の立つ位置を変えてみたり、自分の中で少しポイントを前にしたり、バッドを短く持ったり。打席の中で、自分自身で感じることは何かしらあると思うので、課題を克服していくためには、そういう考えを持って練習でも試合でも、実践することが大事なんじゃないかなと思います。

――T-岡田選手は、高校(履正社)時代にもそういったことが自ら出来る選手だったのでしょうか?

「T-岡田」  高校時代は、そんなに球を速いと感じたことは無かったのですが、なかなか自分のタイミングで自分のスイングをするというのが難しかったので、打席では『自分の良いスイングをする』というのを常に考えていました。
 練習では、例えばティーバッティングであっても、マシンが投げる球であっても、人が投げる球であっても、一球一球しっかり意識を持ってやらないと悪い癖がすぐついてしまうので、一球に対する意識の持ち方を大切にしていました。

――T-岡田選手にとっての『良くないとき』というのは?

「T-岡田」  やっぱり調子が良い時はホームランを打てますし、何でも打てるような感じはあったんですけど、悪い時にはボールを捉えられなくなる。
 そこを修正するためには、良い時のビデオをみたり、自分の良い状態の時のチェックポイントを覚えておいて、悪いときにはそれがクリア出来るような練習をしたり。自分のいい状態のポイントを自分で分かっておくということは、とても重要だと思います。

――T―岡田選手のチェックポイントというのは?

「T-岡田」  自分の『間』をしっかり取るために、僕は右手の使い方をフリーバッティングではパーツごとに確認してから打席に入ります。あとは下半身の意識ですね。
 僕は右の腰がボールに向かっていくというか、右の腰で打ちにいくという感覚があります。また、左手であれば、僕はどちらかというと押し込むバッターなので、左肘が打ちにいくときにお腹の前を通るのじゃなくて、胸の前を通るイメージ。僅かな違いなんですけど、そういったことなどがチェックポイントになってきますね。
 ただ、高校の時はそういったポイントというよりも、バランスやタイミングが主でしたね。不調になるときは、僕はどちらかというと腰で打ちにいけずに、体が開いてしまっていたので。高校時代、家で素振りをするときも、自分の『間』を意識して、下半身と上半身のバランスなど、その辺りを意識してやっていました。

[page_break:.自分に合う打法を見つけるために]

自分に合う打法を見つけるために

“軽量感をコンセプトにしたグローバルエリート”

――どんな打法が自分に合うのか。そこにたどり着くまでに、自分自身でどう振り返りをすればいいのか。また悪い振り返りの仕方、良い振り返りの仕方を教えてください。

「T-岡田」 まずは自分の悪いところを把握することが重要だと思います。そこに対して、悪い振り返りは、練習をせずに結果だけを求めること。逆に(良いのは)僕が一番プロになって思うのは、監督やコーチから言われることも、もちろん大切ですけど、何かしら自分が良い状態ってあると思うので、その良い状態の時の感覚を大事にすること。
「ここがいいから状態が良い」というのがあると思うので、その感覚を大切にして欲しいですね。そこから、自分に合った打法なども見つけていけると思います。

――高校の時から、しっかりと振り返りながら取り組んでいたのですね。

「T-岡田」 そうですね。野球に対しては考えてやっていましたね。また、バッティングはとくに好きだったので、打つことに関してはストイックに考えていましたね。

 

――では、守備に関してはいかがでしょうか。

「T-岡田」 守備は練習すれば上手くなると言われているので、僕も練習では打球を一球でも多く追いかけるようにしています。練習から、一球たりとも雑なプレーをしないように心掛けています。

――守備において、グラブへのこだわりというのは、どんなことがありますか?

「T-岡田」 僕はグラブを選ぶときは、『扱いやすさ』を一番重視しています。はめたときにしっくりきて、扱いやすいかどうかで選んでいますね。
 今は、軽量感をコンセプトにしたミズノのグローバルエリートを使っています。大きくて、重かったら投げるときに邪魔になるので。また、あまり大きすぎるとグラブの先まで指の感覚がいかないんですよね。それで、僕は大きすぎず、軽いものを選んで使っていますね。

――では、これから夏の地方大会を迎える球児たちへメッセージをお願いします。

「T-岡田」 まずは、夏を迎えるまでに、しっかり準備するというのが大事ですよね。僕の場合は当時、甲子園に出たい気持ちがあったけど、大会前は調子があまりよくなかった。だから、毎日練習が終わってから素振りするのは当たり前ですけど、親に無理言ってバッティングセンターにも連れて行ってもらいました。夏の予選前の1か月というのは、本当に野球漬けというか、質の濃い1ヶ月間だったと思いますね。

 T―岡田選手は高校3年生の夏は、大阪大会準決勝(対大阪桐蔭)まで勝ち進みました。甲子園まであと一歩のところで敗れたものの、悔いはなかったと語るT―岡田選手。今回のお話しから、夏の地方大会を迎えるまでに、自分が出来ることを準備し、そこに対して100%の努力し続けてきた姿が見えてきました。
 それはプロ入りした今でも変わりません。どんなに苦しい状況であっても、『確実性の向上』を追い求め、その都度ぶつかる壁を乗り越えるために、T-岡田選手は今日も思考し続けます。球児の皆さんも今、感じている課題に対して、T-岡田選手の言葉を参考にしながら、ぜひ振り返り、実戦してみてください。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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