【目次】
1 どう自分を変えていけばいいのか、分からなかった3年間
2 「俺はマウンドに上がった時の気持ちは、お前には負けない」
3 1人で閉じこもるだけでなく、周りのメンバーと関わり合う
4 キャッチャーとの会話を大事に

「俺はマウンドに上がった時の気持ちは、お前には負けない」

"自分が変われば、周りも変わっていく"

「石」 ある日、門西さんに言われたんです。『お前、もったいな』って。

『俺は、お前より球も遅いし、変化球も少ないし、お前みたいな球投げれねぇよ。でも、お前と違ってマウンドにあがった時の気持ちは、お前には負けない』。

 正直分からなくて『どういうことですか?』って聞き返したら、門西さんは、

『お前は、マウンドに上がったときに、打たれたらどうしようとか、フォアボール出したらどうしようとか、後ろで守ってるベテランの野手たちの存在に圧倒されて、自分のピッチングができてない。自分を生かし切れていないんだよ』って。

 確かに、そうだなって思いました。自分は、これまで辛いことから逃げていたし、グラウンドでも先輩の目につかないところへ行ったり。練習が終わったら、部屋にこもって誰ともしゃべらない。同期とも後輩ともしゃべらない。なるべく1人で過ごそうとしていたんです。嫌なことから逃げていたんですよね。そしたら、門西さんは、『そういうところを克服していけば、何か違うものが見えるんじゃねえの?』って。

――その言葉から、石田投手はどう自分を変えていったのでしょうか。

「石」 予選が終わってからはずっと、毎日欠かさずバッティングピッチャーにいきました。僕は、それまでバッティングピッチャーが大嫌いで、自分からやったことがなかった。コーチに『今日バッティングピッチャー行け』と言われても、嫌がっていたほど。バッティングピッチャーというのは、コーチからは『自分の球を投げろ』と言われるけど、野手からしたらストライクが入ればそれでいい。だから、どちらも目指そうとすると力も入るし、ストライクが入らなくなるんです。2球、3球とボールが続くと野手から怒られるんですよね。それが嫌で避けていたんです。

 この時も、やっぱりストライクが入らなくて怒られました。野手からは『お前、試合投げねぇんだろ。投げねぇやつの練習につきあってる暇はないんだよ』って言われましたが、投げ続けました。

 すると、ある時、「お!いいやないか」っていう声に変わったんです。球やフォームも変わったわけじゃないのに。野次や罵声が、激励の声にある時から変わっていった。ずっと続けていることによって、逃げずに続けることによって、周りからの声が変わっていく。自分が変われば、周りもこうやって変わっていくのかと、その時、気付いたんです。

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