高校時代に特に印象に残っていることは?
「上地」 怪我から復帰した関東大会前橋工戦で松坂(大輔・ボストンレッドソックス)に首を振られたことですね。
――それまでは松坂投手に首を振られる事は無かったのですか?
「上地」 そうですね。うちは基本的に部長がデーターを集めて、叩き込まれるから基本はキャッチャー主導です。だから打たれたらキャッチャーがめちゃめちゃ怒られるんです。
そのときは延長戦に入って均衡した状況、一打同点の場面で絶対スライダーなら討ち取れると思ってサインを出したんですが、首を振ってきたんです。僕も一応先輩だから「駄目、駄目、駄目!スライダー投げなさい!」ってサイン出したんだけど、また首を振るから、キャッチャーも意地になっちゃって。
でも最後は「分かったよ」ってストレートのサイン。それでパコーン!!って打たれたんです。でも凄く嬉しかったです。俺も笑って、あいつも俺見て笑って「スライダーでしたね」って。バッテリーってこういうことだなって。あいつが意思を表したのが嬉しかったし、自分のストレートに自身を持ったなっていうのも嬉しかった。
自分は別にすごく打ったわけでもないし、肩が強いわけでもないし、結構リードとか状況判断とか野球のずるがしこさで2番を捕ったっていうキャッチャーだったので、みんなからリードを信頼されていたのであんまり首を振るピッチャーがいなかったんです。だから余計に嬉しかったですね。僕に首振ったのはあれが最初で最後でしたね。
高校時代の考え方
「上地」 どんな強豪とあたっても勝てると思っていましたね。うちが絶対負けると思ったチームはなかったですね。秋負けたからずっと無敗だったし。絶対どこでも勝てる、でも下手すると負けちゃうかもしれないから気を抜くなみたいな。
――凄いですね。
「上地」 その分、野球を勉強しました。24時間野球ですから。練習だと気づかないけど、他校と練習試合やって気づきますね。この高校は練習やってないから簡単に打てるとか。すぐ癖を見抜けるとか。みんなでこの投手の癖分かるよなとか言いあっていました。簡単に盗塁できたり。うちは基本的に筋トレとかあまりしなくて、ほとんど実践に即した練習をやっていました。
こういう回で、こういうカウントの状況で、ケースバッティングとか。無駄な時間は絶対に使わずにフリーでもネット一杯立てて走塁練習とかバッターもカウントとか状況とかを自分で決めて打つ。だから指導者もフリーのバッティングについてあまりどうだこうだ言わない。それは監督も見ていて分かるから。泳いでいたら「こいつ今自分の中でエンドランの練習しているな」とか。みんなも分かる。勉強頭はさっぱりだけど、野球頭はみんな凄かったですね。