Interview

松戸中央ボーイズ総監督 松崎敦さん

2012.04.20

第8回 松戸中央ボーイズ総監督 松崎敦さん2012年04月24日

 旅行業を主とするジャパンベースボールエージェンシー株式会社の代表取締役であり、日本少年野球千葉県支部に所属している松戸中央ボーイズの総監督である松崎敦さん。
 
徹底した文武両道がモットーの松戸中央ボーイズは、2010年に創設された翌秋の千葉県支部1年生若潮大会で準優勝を収めた。いま、中学野球の熱いチームのひとつとして注目を集めている。松崎さんは、いったいどんな選手を育てようと考えているのか?またその取り組みとは?

社会で通用するかっこいい中学生に

“文武両道をモットーに。”

――まずは、松崎さんの背景からお伺いします。山梨学院大付から山梨学院大に進学。高校・大学と硬式野球に打ち込んできた松崎さんですが、大学卒業後は、野球を続ける道を選ばなかったのですね。

松崎敦総監督(以下「松崎」)  社会人チームで、野球を続ける選択肢はあったのですが、もともと僕は旅行会社などの観光業に興味があったんです。
 それで、大学卒業後は旅行会社に勤めたのち、2006年に自分で旅行業の会社を立ち上げました。

――その4年後に、ここ松戸中央ボーイズの前身となる少年野球のチームを創設された松崎さんですが、なぜまた野球に携わろうと思われたのでしょうか。

「松崎」  最初は、自分の息子を追いかけたいと思ったからですね。もしも、息子2人が野球をやっていなかったら今、こんなふうにチームを立ち上げていなかったと思います。そういう面では、息子が野球を始めてくれたことには感謝していますね。

 あとは、松戸市はもともと中学生の球児たちにとっては、軟式野球のほうが盛んだったんです。また、野球が上手な選手が、松戸市以外のチームで野球をやることも多かったので、それなら私が小学生から中学生までのチームを立ち上げて、高校野球でも通用する選手を育成したいなという思いがありました。

――松戸中央ボーイズのチーム方針とは?

「松崎」  野球と勉強の両立です。文武両道をモットーに、全員が高校野球進学を目標に、一般社会でも通用するかっこいい中学生を育成すること。これが最大の目的です。

――今日も一日練習を見学させていただきましたが、まず学校が終わって、選手たちがグラウンドに来たら全員で夕飯を食べて、練習をして、そのあと勉強の時間を設けているのですね。そこでは、国語・数学・英語の講師が来て、球児のみなさんに勉強を教えていました。文武両道を本当に徹底されているのですね。

「松崎」  そうですね。今の高校野球を見ていて思うのは、野球だけやっている選手はその先で通用しないと思うんです。野球だけ上手ければいい、野球だけやっていればいいというのは良くないと思うんですよね。結局、そういう選手は自分で自分の目標が持てない。
 
学生の本業はやっぱり勉強ですから、その中に野球があるんだよということを中学生の選手たちにも教えたいなと思って指導をしています。
 それに、僕自身が今になって、「小学校の時からもっと勉強をやっておけばよかったな・・・」とか思う時があるんですよ。小学校の勉強は基本じゃないですか。だから、子どもたちには、僕みたいな野球だけの人間になってほしくないなと思ってこのシステムのチームを作っていますね。
 もし僕が中学生だったらこんな厳しいチーム絶対入部したくない!(笑)そんな矛盾がある意味、チーム作りのヒントとなっています。(笑)

[page_break:自分で道を切り開け!]

自分で道を切り開け!

“この瞬間に、最高のプレーをしよう”

――「自分で自分の目標を見つける」高校を卒業後も、それが難しいと感じている人たちも今は多いようですね。そんな中でも、松崎さんは、常に自分がやりたいことを大切にして、道を切り開いてきました。

「松崎」 僕の場合は高校の時、千葉から山梨に行くのも自分で決めましたし、大学も自分の意思で決めました。人に何かを決められるのが嫌だったんですよね(笑)。
 だから進路のことも中学生たちには、「どこの高校に行きたくて、そのために、どうすれば良いかということを常に考えなさい」ということは、1年生の入部してきた時点から言っています。自分で後悔しないように。もしも迷った時には前に出て、それで失敗したら失敗だし、成功だったらそれで良いと思っています。
 僕自身、山梨学院大付に行くときも、「僕のレベルで通用するのかな?」とか色々迷いましたけど、今思えば山梨に行ってよかったと思いますし、山梨に行ったからこそ今があると思える。それは、恩師の鈴木監督に出会ったこともそうですし、寮生活も経験できたこともそうですし。そういった経験があるから、今頑張れるんだと思います。

――山梨学院大付時代の鈴木監督の教えは今も、松崎さんの中で生きているのですね。今でも、忘れられない言葉というのはありますか?

「松崎」 鈴木監督の教えに、「今ここで、ここで今」という言葉があるんです。それは、この瞬間に、最高のプレーをしようよ。じゃあ、そのためにどうするのか?どういう努力をするのか?という意味の言葉です。

――松崎さんも、今を大事に生きてきたからこその『今』ですね。そんな松崎さんだからこそ、松戸中央ボーイズの選手たちに贈りたいメッセージというのは、あるのでしょうか?

「松崎」 『自立しよう』ですね。それだけです。やっぱり、自分のことは、自分で決めて欲しい。もし男だったら「男である以上自分の道を切り開いてくれ」と、それしかないですね。
 ごく単純かもしれませんが、人のいいなりで、例えば親や指導者など周りの大人に「ここのチームに行け」って言われたから、そこに行ったというのは本当にやめてほしい。そうなると、そこに進学してもしレギュラーになれなかったら人のせいにしてしまうんですよね。だから、進路だけじゃなくて、自分のことは自分で決めなさいと言いたいです。

――だからこそ、松戸中央ボーイズの練習や、グラウンド以外の選手たちの取り組みや、1週間の強化合宿の際も父母会の力を頼らず、洗濯、食事、道具の準備などみても、『自立』を大事にされた指導風景がとても多くみられるのですね。松戸中央ボーイズが創設されて今年で3年目に突入しますが、今後は多くの卒団生が出て、高校野球での活躍も楽しみですね。

「松崎」 そうですね。楽しみですね。いずれは社会人のチームも作って、卒団生たちとまた野球が出来ればいいですね。その時は、都市対抗に出られるチームを作りたいと考えています。

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――では最後に、現在経営されている旅行業と、ボーイズチーム運営のやりがいとは?

「松崎」 色々な人に出会えて、それが自分の財産になることです。旅行業のやりがいはお客様が喜んでくれること。チーム運営も、子どもたちの成長を感じる時ですね。将来、社会で通用する人間、そういう選手を育成したいなと思っています。

 現在、グラウンドの横には、新しくサブグラウンド、雨天練習場、クラブハウスを増設中。松崎さんの熱意によって、文武両道に加え、環境もとても充実していく松戸中央ボーイズにこれからも注目です。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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