Interview

読売ジャイアンツ 東野 峻選手

2010.06.21

独占インタビュー 第47回 読売ジャイアンツ 東野峻 選手2010年06月21日


【高校野球情報.com】独占インタビュー第47回 読売ジャイアンツ 東野峻選手

今回の独占インタビューは読売ジャイアンツの東野選手です。今シーズンはすでに9勝(6月29日現在)をあげジャイアンツの主力投手として大活躍の東野選手に、高校時代の野球への取り組みについてお話を伺ってきました。


高校時代の練習の意識について

【高校野球情報.com】独占インタビュー第47回 読売ジャイアンツ 東野峻選手

スタッフ(以下「ス」) プロに入る選手は、いわゆる強豪校出身の選手が多い中、東野選手は普通の公立高校出身です。進学先を決めたきっかけなどは?

東野選手(以下「東」) 僕らの頃は水戸商水戸短大付常総学院が強かった時代です。水戸商に行きたかったのですが、自宅から遠いし、通いだったので、父親の母校でもある鉾田一に行こうと思いました。元々プロ野球選手になりたくて、というわけではなく、学校の先生になりたかたんですね。そこで文武両道である鉾田一に進学しました。進学率は高い高校ですよ。

「ス」 では、その高校時代はどのような意識をもち、野球を取り組んでいたのでしょうか?

「東」 僕は普通の公立高校だったので、強豪私立を倒すことは並大抵のことではありません。上を目指すにはまず基本的なところをこつこつとやっていく。そういう部分を大切にしていました。自分たちの出来ることをしっかりやろうという指導方針で、基礎をしっかりと作っていこうと、取り組んでいましたね。

例えば守備練習だったら、ファインプレーはいらないから取れる球はしっかり取ろうと。やっぱり高校生だったら魅せるプレーもしたいかもしれませんが、しっかりと堅実にやろう、と取り組んでいましたね。

「ス」 高校時代の目標は?

「東」 甲子園というのは目標としてはありました。ただ本当に練習では基礎ばかり。ボール回しを1時間とかやっていたこともありました。
まずは甲子園という大きな目標があってその為にはどうするのかを下から考えていました。

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「1」を大切にしよう

【高校野球情報.com】独占インタビュー第47回 読売ジャイアンツ 東野峻選手

「東」 自分の今年のテーマは「1」を大事にしようということです。
すべての面で「1」を大切にしようと思っています。
投手のフォームで言うと、しっかり立つこと。しっかり足をあげること。
原監督の今年のテーマも原点です。原点に返って「1」を大切にしようということだし、レギュラーの皆さんもなんでも「1」を大切にしていると思います。
高校生の球児のみなさんにも「1」をなんでも大事にしてほしいと思いますね。

「ス」 なるほど。原点「1」というのは大事ですね。大会等で高校生は1球で流れが変わってしまうことがある。

「東」 1球で流れが変わるというのは、理由があるわけです。
高校生の場合、メンタルも大きいと思うのですが、やっぱり流れが行ってしまうというのは、何か例えばエラーから周りが崩れたり、投手が崩れてしまうというのもあると思いますし、いろいろなケースがあります。
流れを戻すためには、「1」に戻すために、みんなで「1」に戻ることを意識する為に、タイムを取ったりしてもいいのでは。

僕もマウンドでピンチの時に考えることは、一旦マウンドを外して1回リセットして「1」に戻もろうと考えています。
高校生もそういうところで発想の転換を図るのもいいと思います。
でも、「1」に戻る為にも、やはりしっかりとした基礎がないと戻れない。
だから基礎を身につけるというのは大切なことだと思いますね。

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上達方法

【高校野球情報.com】独占インタビュー第47回 読売ジャイアンツ 東野峻選手
 

「ス」 ご自身の高校時代で一番伸びたと思う時期は?

「東」 冬ですね。技術練習はそこまでしないので、ボールを使わずに走ったりしたことで凄く伸びたと思います。
朝連が毎日あったのですが、伝統的に朝連で冬になると、技術的なことより体力的な練習になり、300m を10本、150mを 10本、50m10本。これを毎日やっていました。ダッシュですね。タイムを計って。
うちは授業が長かったので技術練習はそんなにできなかったのですが、冬は野手も投手もチーム全員でやっていました。
本当にきつかったです。冬は朝起きたくなかったですね。苦痛でしたね。(笑)
今やったらしんどいと思いますが、高校の時だからできたのかな、って思います。

「ス」 ひと冬超えて、トレーニングの成果が球の力にも反映してきたのですね。やはりスピードを出すには走るのが効果的?

「東」 走りこむしかないと思いますね。投手は投げるか走るかだと僕は思います。投げない時は、走ってばっかりいました。

後は高校生だと力んで球を速く投げようとしますが、そうすると手首(リスト)を殺してしまう。技術的なことになるのですが、力まないことが一番。
球を速く投げることは最後のリストの押しだと思うので、力んでリスト(手首)を殺してしまうのは(もったいない)。。。

「ス」 力まないために必要なことは?

「東」 もう反復練習ですね。シャドウピッチングやピッチン練習でフォームを確立するというのを一番のテーマにして取り組んでほしいです。
僕らでもまだ、場面、場面で力んでしまうので、あまり考えすぎないこともいいかもしれません。いっぱい走って練習して、力まずに投げてほしいですね。

「ス」 なるほど。

「東」 シャドウピッチングはボールを投げることとは違いますが、僕はリリースのポイントを一番重要視して、やっていましたね。「ここで叩く」という感覚を身につけようとしていました。ここで強く降れば力まずいけるとうポイントを探していました。
しっくりくることを探していけばいいと思います。
これは本当に1年生の時から意識高くやるべきだと思いますね。

「ス」 では、東野選手といえばストレートと同じくスライダーも武器の一つですが、どうやって変化球をマスターしていったのですか?

「東」 キャッチボールからいろんな握りを試して、遊び感覚で一番しっくりくるのを探してみるのがいいとおもいます。こう握ったらどうなるのかな、こう握ったらどうなるのかな、と考えながら、キャッチボールで球してみるのがいいと思います。
オフに母校に帰っても、キャッチボールの意識の低い選手をみかけます。
やっぱりキャッチボールは基本ですから、キャッチボールを大切にしてほしいですね。何にでもつながってくると思います。
また僕はいろんな野球選手の真似をしていました。これが合うんじゃないのか?とか思いながら、なんでもいいからとりあえずいろんな人のフォームを真似て、吸収しようと思っていました。(プロに入ってから)なんかの本で「物真似」について書いてあり、プロの選手の物真似をして、それでしっくりきたのが一番上達の為には速いというような内容を読んで、高校時代にやってきたことは間違いではなかったんだなと思いましたね。

「ス」 ちなみに誰の真似をしていたのですか?

「東」 僕は松坂さんの真似をしましたよ。難しくて、出来なかったですが。

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練習は時間じゃない

【高校野球情報.com】独占インタビュー第47回 読売ジャイアンツ 東野峻選手

「東」 内海さんとも話しをするのですが、まあうちの高校は他の強豪校と比べて技術練習はしないチームでした。内海さんとかは10時ぐらいまでやっていたと言いますからね。
特新コースの人間は8時間授業でしたし、普通コースの僕らも7時間授業でした。なので、始まりはバラバラで、だいたい5時半から始まって1時間半ぐらいしか練習をしていなかったです。7時ぐらいにはあがっていましたから。
その中でも効率良くやっていました。でもどっちが良いかは分からないですよね。
高校生は長くやっていると、どこかでだらけてしまうと思います。

「ス」 なるほど。高校時代は短時間で集中して取り組んでいたのですね。

「東」 短い時間ですらだらけてしまう高校はあると思うのですが、1時間半を絶対的に集中してやるというのは大事だと思います。そういう意味ではメンタルが一番大事なのかと思います。僕は凄く集中して練習をしていました。
それに監督さんも凄く厳しい方でしたね。

「ス」 結構、プロの世界に入る選手なんかは野球漬けの生活を送ってきた方が多いと思いますが、すごくメリハリのある高校生活を送っていたのですね。

「東」 そうですね。僕は野球漬けではなかったですね。うちの高校はテスト前とかもしっかりと休みがありました。留年とかがあったので。だからしっかりと勉強もしていましたね。

「ス」 本当に文武両道ですね。

「東」 真面目な高校でした。

「ス」 進学校で野球も強い高校はあります。そういう高校で話を聞くと、進学校の選手は成功体験が多いと。例えば中間試験一つとっても、いつまでに、どのくらい勉強をして試験に臨めばいいのか、逆算ができる。そういう小さな成功体験の積み重ねが野球にも活かせるという話を聞きます。

「東」 確かに、最近強くなってきている水戸桜ノ牧も凄い進学校ですよね。

(少し考えて)

そうですね。やっぱり自信は重要ですよ。普通の高校が強豪校に勝って、そこから一気に実力が伸びることもありますしね。自分の場合も昨年ローテーションを守ったという自信が今シーズンに活きています。
何か一つのきっかけでも自信になることがあれば、高校生は凄く変わる気がしますね。

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自分で決めたことをしっかりとこなす

【高校野球情報.com】独占インタビュー第47回 読売ジャイアンツ 東野峻選手
 

「東」 僕は選手には2タイプあると思います。自分で出来る生徒と上からやれと言われてやる生徒と。逆に僕はどちらというと上からちゃんとやれと言われると嫌なタイプでした。自分のことは自分でしっかりやりたいと思っていた生徒でした。言われたことよりも自分で考えたメニューをこなしていく方が伸びるというのはあるかもしれませんね。

「ス」 そういう意味では東野選手は高校時代からご自身をマネージメントできていたのかもしれませんね。

「東」 僕はそうですね。言われたメニューはちょっと手を抜いたりしたこともありましが、自分で決めたメニューはしっかりとコツコツ毎日やっていました。その方が身につく気がしましたね。自分でやろうと思ってやったことなので。
プロに入った今もそうです。自分でやろうと思った事は普段の練習メニューの他にもやっていますし。そういう積み重ねがマウンド上でピンチになっても「僕は人よりしっかりやってきた!」という自信にもなる。

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高校生にメッセージ

「ス」 3年間は短いですよね。

「東」 本当にあっという間ですよ。3年間は!

「ス」 実際に2年半ですもんね。

「東」 その時にしか味わえない感動がありますからね。やっぱり僕は思うんですよ。僕は高校からプロに入りましたが、チームで仲良くしてというのは高校まで。上の世界は蹴落としの世界ですから。やっぱり周りはライバルです。
高校生もライバルはいると思いますが、やはりチーム力というのは大事になってくると思うし、高校野球でしかできないことを2年半しっかりやってほしいですね。

「ス」 チーム一体になった時の爆発力は凄いですよね。

「東」 プロじゃ考えられない力が出る時がありますからね。高校野球は。やはりまとまった力は強いのかなと思いますね。

「ス」 夏にかける球児達にメッセージを。

「東」 まずは体調を崩さないこと。つまらない怪我をしないためにも練習に集中すること。後1ヵ月というのは、実力を伸ばすことも大事ですが、今持っている力を最大限に出せるように取り組んで行ければいいのではないかと思います。

「ス」 ありがとうございました。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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