甲子園で東海大相模と対戦したい
東海大星翔は、今年の春季熊本大会の2回戦で有明に敗れ、5月に行われるRKK旗争奪選抜大会も出場を逃した。百崎に残されたチャンスは夏のみだ。
1年秋までに11本放った本塁打は、転入後28本まで伸び、また守備でも大きな手応えを感じている。1年前は遠回りとさえ思った高校野球生活だが、改めて振り返ると、東海大相模での出会いはかけがえのない大きな財産となっていた。
「守備では、大塚 瑠晏さん(東海大2年)と深谷 謙志郎さん(法政大1年)の2人がショートの先輩にいて、その後ろでノックを受けたことが大きかったです。見て学ぶこともたくさんあったし、直接教えていただくこともあり本当に勉強になりました。
東海大相模を辞めた後も、 笹田 海風さん(東海大1年)に島根のご自宅まで呼んでいただき、中学野球指導者のお父さんから、泊まり込みで打撃を教えていただきました。ただ体重をぶつけるだけだった打撃が、下半身を使った打撃に変わり、打球も一気に変わったんです。東海大相模での出会いがあったからこそ、成長できたと思っています」
高卒プロ入りを目指す百崎だが、まずは一発勝負の夏が控えている。
チームメートとして受け入れてくれた東海大星翔の仲間たちや、お世話になったすべての人たちへの恩返しの場と位置づけ、夏に向けて練習に励んでいる。
「1度高校を中退した自分でも、応援してくれる方々がいて本当に感謝しかありません。母もそうですし、熊本泗水ボーイズの有田代表、松崎監督、東海大相模の指導者の方々、今まで支えてくださった方々に『あいつ楽しんで野球やってるな』って思ってもらいたい。
そして、もし叶うなら、甲子園に出場して東海大相模と対戦したいです。同級生には迷惑かけたけど、熊本で反省して成長したんだって姿を夢の舞台で見せたいです」
挫折や過ちは、成長で洗い流すしかない。それを知っただけでも、百崎は神奈川までいった甲斐があっただろう。
満面の笑みで野球を楽しむ百崎が、もうすぐ表舞台に帰ってくる。
(取材=栗崎 祐太朗)