源田壮亮などを担当するエージェント・栄枝慶樹が推し進めるアマチュア界への改革
球界を代表する名手として多くの野球人が憧れる埼玉西武ライオンズ・源田壮亮内野手(大分商出身)。華麗な守備を見せる度にSNS上では「#源田たまらん」など大きな話題を呼ぶ人気ぶり。
今回のWBCは大会途中に指を骨折するアクシデントに襲われたが、強行出場で日本の内野陣を支え続け優勝に貢献。準決勝・メキシコ戦で「#源田の1ミリ」がトレンドに入ったことも話題になった。
日本球界が誇るトッププレイヤーだが、現在、源田のエージェントでありマネジメントをしている株式会社 DIAMOND ALLIANSで代表を務めている栄枝 慶樹さんの存在が大きな支えになっているという。
そんな栄枝さんの球歴やマネジメントをするうえでの考えなどを前回紹介したが、今回は栄枝さんが取り組む新たな一手について迫った。
少年野球をはじめアマチュア界に、改革の一手を
栄枝 慶樹さん
そんな栄枝さんは、プロ野球選手のマネジメントだけではなく、ディーエーアカデミーと呼ばれるスクールを、都内を中心に全国に展開している。
自身がマネジメントしているプロ選手のサポートの時に蓄積したデータ分析や映像解析を駆使して、科学に基づいて本質的に良いフォームなどを具体的に指導して、選手それぞれが目指すプレーへサポートする。己を高めることを考え続ける選手たちを中心にマネジメントしている栄枝さんだからこそ、アマチュア選手たちに有益なトレーニング法を伝えられるわけだ。
「プロとアマチュアで一番違うのは、ノウハウだと感じています。決して根性論ではなくて、身体の仕組みに基づくなど本質や原理原則、理論に従ったメニューです。そのために、映像などでより具体的に課題や現状を可視化させています」
まさに恩師・田辺さんから教わった野球の「本質」に基づいて、練習「環境」を整えるところが、ディーエーアカデミーというわけだ。
全国で10店舗構えるほどの人気ぶりで、「トレーニングの時間が長くて飽きちゃうんですけど、次第に考えることを覚えると、練習が楽しくなる。玄人がわかるメニューだと思います」と人気の理由を分析。実際に「チームの練習よりも、スクールの方が楽しい」という声も多くもらっているという。
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栄枝 慶樹さん
栄枝さんは、そのエピソードについて語ると、少年野球に対する自論を話しだす。
「色んなカテゴリーで指導者をやってきましたが、少年野球は経験が少ない分、選手たちはまっさらですけど、野球の本質を教えられる指導者が減っている。それでも勝ちたいと思って、勝利至上主義を貫くから軍隊式のチーム作りが始まると思うんです。
そうすると、いつも選手はグラウンドで怒られて、プレッシャーがかかって野球が楽しくない。保護者もお茶当番などの負担が多いので、結果的に10年前に比べると野球人口が50%近く減っていると思うんです」
だからこそ栄枝さんはプロ選手のマネジメントを通じて学んだ最新のノウハウを、ディーエーアカデミーと杉並中野GALAXYで子どもたちに落とし込み、正しく野球を覚えて、楽しさを伝えようとしている。
学童野球監督としての直近の戦績では、同じ小学校の選手たちがほとんどを占めるチームにて、小学3年生までほとんど勝ったことが無く、小学5年生まではタイトルを獲ったことがなかったチームを、最後の1年、東京3位まで勝ち上がるなど、中野区で4回の優勝を飾る急成長ぶりを見せる。いかに栄枝さんが教え込んでいることが、子どもたちにとって大きいものなのか。その成果が伺い知れる戦績だ。
真のプロ野球選手を支えているからこそ、あらゆる形で野球界に還元している栄枝さん。これからも源田をはじめとした選手たちを支えつつ、アマチュア球界の変革の一手を打ち続ける。
(取材:田中 裕毅)