Interview

ドラ1候補に挙がる152キロ左腕・東松快征(享栄)を成長させたヤクルト・ドラ5位右腕とライバル・前田悠伍の存在 vol.1

2023.01.05

ドラ1候補に挙がる152キロ左腕・東松快征(享栄)を成長させたヤクルト・ドラ5位右腕とライバル・前田悠伍の存在 vol.1 | 高校野球ドットコム
東松 快征投手(享栄)

 2023年の高校生左腕を代表する左腕、享栄(愛知)の東松 快征投手(2年)。最速152キロの速球と、多彩な変化球で勝負するパワーピッチャーだ。

 東松は同じくドラフト1位候補に挙がっている大阪桐蔭(大阪)の前田 悠伍投手(2年)に強烈な対抗意識を持っている。それでいながらストイックな姿勢で伸びていく姿勢の良さもある。そんな東松の成長の歩みを紹介していきたい。

 とてつもない剛速球だった。

 享栄高校の室内練習場で投げ込む東松の速球は、まさに剛速球だった。コーチの方から「ネットをはずしましょうか。そのほうが勢いが伝わる球筋が撮影できますよね」と提案を受けて、ネットがなく、捕手のやや後ろから動画撮影したが、恐怖感しかなかった。投球練習を見て、実感した。

「これはドラ1」だと。

 剛速球だけではない。取材した22年7月と比べると変化球の精度も高まっていた。しっかりとレベルアップしている様子が伝わってきた。東松はいかにして成長してきたのか。

 東海中央ボーイズ時代から評判だった。

「大藤先生(監督)と日本一になりたい思い一つで来ました。」

 享栄に入学。2学年上には多くの好投手がいた。最も憧れたのが、2021年ドラフト5位の速球派右腕・竹山 日向投手(ヤクルト)の姿だった。竹山の投球だけではなく、取り組む姿勢にも大きな影響を受けることになる。

「竹山さんの連投の取り組み方とか、自分と比べてみると、全然、自分は未熟だなと感じました。竹山さんを目標にして、練習の取り組み方が変わって、球の勢いやコントロールが良くなりました。」

 確かに21年のドラフト前に竹山を取材した時、基礎トレーニングをしっかりとこなしている姿があり、大藤監督からも取り組む姿勢が他の投手とは違うと絶賛していた。東松は竹山の姿勢を学び、レベルアップに努めていた。

 また、同時にライバル視する投手も現れた。それが大阪桐蔭の前田だ。明治神宮大会で快投を見せる前田についてこう語る。


ドラ1候補に挙がる152キロ左腕・東松快征(享栄)を成長させたヤクルト・ドラ5位右腕とライバル・前田悠伍の存在 vol.1 | 高校野球ドットコム
東松 快征投手(享栄)

「明治神宮大会から前田選手を見ていて、絶対に負けないぞという思いで、ライバルとして見るようになりました」

 ライバルと認めつつ、前田の凄さをこう語る。

「マウンドでの冷静さや試合作りやフィールドやコントロールなど、投げること以外でも冷静にできているので、学ぶところがたくさんあります。尊敬もしています。」

 1年冬は体幹トレーニングを中心に行い、筋力アップのためにウエートトレーニングを欠かさずに行い、2年夏までには最速148キロをマークするまでになる。

 夏の大会前のブルペン投球を見たが、勢いのある剛速球を投げ込んでいた。投球を受けた関 颯太捕手(3年)は「レベルが高い球です。球速も力強く、秋に比べてコントロールが良くなってきました。また変化球で三振を取れる球もあるので良くなってきました。」と高評価した。

 東松自身も手応えをつかんでいた。

「体が軽くて良い感じで投げられていました。ダイナミックに投げているので、威圧感や迫力が出せるように意識しています」

 享栄のエースとして夏の甲子園出場に導くつもりで予選に臨んだが、準決勝で東邦に敗れた。

「夏の大会でスタミナが厳しいと感じました。準々決勝で完投してその疲労があって、思うようなコンディションで臨めなかったのですが、夏の大会は先輩の最後の大会だったので、申し訳ないというか、夏の大会の恐ろしさや厳しさを学びました」

 初めて主力投手で臨んだ夏の反省を生かして、新チームに入ったが、秋でも悔しい敗戦を味わうことになる。それが成長の起点となった。

(取材:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

「無欲すぎて就職希望だったところを……」紅林弘太郎(オリックス)、恩師が明かす高校3年間

2024.04.23

波乱の春季千葉大会!木更津総合、習志野、市立船橋、成田の強豪が夏ノーシードに回る事態に!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.21

【神奈川春季大会】慶応義塾が快勝でベスト8入り! 敗れた川崎総合科学も創部初シード権獲得で実りのある春に

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!