目次

[1]投手として何かが欠けていた
[2]あいつで負けたら仕方ない投手に


 2023年はセンバツは記念大会になる。いまだ新型コロナウイルスの脅威と付き合いながらだが、少しずつこれまでの当たり前だった高校野球に戻り始めている。

 1人でも多くの球児が、甲子園で活躍してほしいと願うばかりだが、その中の1人が滝川第二(兵庫)にいた。

投手として何かが欠けていた



坂井 陽翔(滝川第二)

 入学時は最速129キロ。ずば抜けた数字ではないが、現在は最速149キロを計測している。わずか2年足らずで20キロもスピードアップしている逸材が滝川第二にいるのだ。

 坂井 陽翔投手(2年)。186センチ、83キロとすらりとした体型から、角度を付けた直球で打者を圧倒する。まだ甲子園には手が届いていないが、その素質の高さに既にスカウトのチェックも入っている。

「小学生の時から投げる力はありました。ただ受けていて『何かがかみ合っていない。投手として何かが欠けている』と感じていました。ここまで成長するとは思いませんでした」

 小学生の時からチームメートだった田村 武琉捕手(2年)は相棒の急成長ぶりに驚きを隠せない。もちろん、球速が大幅に変わったこともあるが、投手を本格的に始めたのが、滝川第二に入学してからだということもあるだろう。

 播磨ボーイズ時代は登板希望はあったというが、「当時は絶対的なエースがいましたし、自分の能力も足りていなかった」と実力が伴わず、強肩外野手として活躍していた。そのときのフラストレーションを爆発させるためにも、「入学時には投手を志願しました」と迷わず投手の道を選んだ。

 ただ、田村が指摘したように、「投手として何かが欠けている」の「何か」を見つけて、自分のモノにしなければ、坂井の現在はない。その答えを、坂井は少しずつ出してきたという。

「自分の体に合った投球フォームを見つけて、再現性を高めることができたこと。あとは入学時は72、73キロくらいだった体重が、83キロまで増量したことが球速20キロアップに繋がっていると思います」

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