目次

[1]2年目に140キロ台に到達もケガもあり、投げられない時期も…
[2]体が小さくても勝負ができる、球速も速くすることができる

体が小さくても勝負ができる、球速も速くすることができる



西濃運輸・林優樹

 社会人に入ってからの球速アップに注目が集まるが、「コントロール良く、バッターを見て投げられるのが彼の良さ」と佐伯監督が言うように本来は技巧派投手である。今年の春先は制球に苦しんでいる印象を受けたが、「都市対抗以降の彼のピッチングを見ていると、少しずつ戻りつつあるのではないかなと見ていて思います」(佐伯監督)とドラフトを前に本来の投球を取り戻した。

 3年間の集大成となったのが9月に行われた日本選手権東海最終予選の日本製鉄東海REX戦だ。負ければ敗退が決まるこの試合で林は先発を任され、6回1失点の好投。チームの勝利に貢献し、自らの評価を上げることに成功した。

「3年目にしてようやく自分らしいピッチングができるようになってきました。あの試合は3年間やってきたことが全部出たかなと思います」と振り返った。紆余曲折を経ながらもプロ入りという夢には確実に近づくことはできていた。

 ドラフト会議が目前に迫り、「不安の方が大きくて、1日が長く感じます」と本音を漏らすが、それは指名される可能性が高校時代以上に高いことの裏返しでもあると言えるだろう。林のもとには11球団から調査書が届いたそうだ。

「3年間プロ野球で活躍するために頑張ってきましたし、野球を始めた頃からの夢でもあったので、その夢は捨てきれなかったですし、願うことしかできないですけど、信じて待ちたいなと思います」と運命の日を待ち構えている。

 高校時代からスケールアップしたとはいえ、174センチ、75キロと野球選手としては決して大きくはない。近年は林の投球フォームを真似る高校生投手も増えており、小柄な高校球児の希望になっている。こうした選手に向けて林は次のようにメッセージを送ってくれた。

「野球は体が大きな選手が注目を浴びがちですけど、僕は野球を始めた頃から体が小さくて、大きな選手には負けたくなくて、勝つためにはどうしたら良いか常に考えて野球をやってきました。体が小さいから球速が出ないとか、体が小さいから良いバッターを抑えられないとか、絶対にないと思います。常に考えながら練習もそうですし、マウンドの上に立っていれば大丈夫だと思います」

 小さな体で強敵に立ち向かってきた林だからこそいえる言葉だろう。社会人に入ってからは食事やトレーニングを貪欲に勉強して第一線で戦えるだけの体を作りあげた。「まだプロになるイメージができない」というが、プロ野球選手になるという現実はすぐそこまで来ている。

「1日でも長く、1年でも長くプロ野球選手でいたいです。自分はプロ野球選手に夢をもらったので、夢を与えられるような選手になりたいと思います」と今後の目標を語ってくれた林。10月20日はこれまでの努力が報われる日となるだろうか。

(取材=馬場 遼)

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