Interview

今年の高校生最速の152キロ右腕・赤羽蓮(霞ヶ浦)の剛速球が凄まじい。才能を大きく伸ばした霞ヶ浦での取り組み

2022.10.17

 今年、高校生投手の中ではトップレベルの才能を秘めたのが、霞ヶ浦赤羽 蓮(あかば れん)投手ではないだろうか。

 189センチ78キロと長身から繰り出す直球の最速は152キロを計測する。夏の茨城大会はわずか2試合のみ。しかもリリーフだったが、才能はドラフト上位クラスだ。ブルペンでみた剛速球は凄まじいの一言であった。そんな赤羽はどのような成長を見せてきたのだろうか。

素質を伸ばすことができたサイクル

今年の高校生最速の152キロ右腕・赤羽蓮(霞ヶ浦)の剛速球が凄まじい。才能を大きく伸ばした霞ヶ浦での取り組み | 高校野球ドットコム
赤羽蓮(霞ヶ浦)

 赤羽が野球を始めたのが小学校1年生の頃。竜ヶ崎リトルでプレーし、小学校3年生の時から投手を始めるが主に捕手としてプレーしていた。1学年下には151キロ右腕・平野 大地投手(専大松戸)がおり、平野とはバッテリーを組んでいた。

「平野とはバッテリーを組んでいました。やっぱり肩は強かったです。たまにピッチャーもやっていましたが、キャッチャーがメインでしたね」

 そして江戸崎ボーイズに進むと、投手専門コーチのもとで、投手としての才能を伸ばし、中学3年には最速138キロをマークするまでに成長した。ボーイズの春季全国大会ではベスト4入りを果たす。多くの学校が赤羽の才能に注目する中、選んだのが霞ヶ浦だった。県内屈指の名門校への決め手は憧れの投手の存在だった。

「中3の時に、霞ヶ浦が甲子園に出ていて、エースの鈴木 寛人さんがすごく良いピッチャーだと思いましたし、あんな風な投手になりたいと思い、入学を決めました」

 赤羽が大きな故障をすることなく、順調に才能を伸ばすことができたのは、霞ヶ浦の確かな練習プログラムがある。

 日々のアップでは肩甲骨や胸郭の柔軟性を意識したエクササイズなどを行っている。赤羽はこうしたエクササイズが大きいと語る。

「毎日やっているので、しっかりやっています。可動域が広がって、しっかり投げれるようになります。最初は腰を痛めてしまいましたが、そこからは故障はしていないです」

 また30メートルのキャッチボールも日々の練習メニューに取り入れている。投手陣は週2~3回くらい、立ち投げを含めて、本人の考えで60~80球を投げる。そこで球が真っ直ぐ伸びるストレートを投げることを意識していきます。こうした積み重ねが素質を伸ばすことができた。

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覚悟を決めてプロ志望

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赤羽蓮(霞ヶ浦)

 1年秋からベンチ入りし、140キロ台の速球を投げ込むなど、才能の高さを示す一方で、実戦では思うように結果を残せなかった。春季県大会では、春準優勝のつくば秀英に打ち込まれた。赤羽はどのように課題を見据えたのか?

「まずは体重移動の仕方だったり、胸の張りだったりをトレーニングして覚えて、夏の大会前くらいから少しずつ良くなっていきました」

 フォームを見直し、ストレート、変化球の精度強化の時間にも企てた。改めてどういう意識で行っているのか、聞いてみた。

【ストレート】

「自分の場合、軽く投げるイメージです。指はあまり開かず、指一本分開けて握っています。この意識は中学時代から変わっていません」

「ボールを最後まで指にかけて、指先でボールを潰すイメージで投げています。結構、マメはできやすいタイプですので、しっかりケアをしないとすぐに潰れてしまったりします。自分の場合、結構、球数を投げて、感覚を掴んでいきます」

【スプリット】

「手首を返さないというか、そのまま抜くイメージです」

【カーブ】

「カーブが一番得意です。深めに握るイメージです。パワーカーブ系で、スピンをかけてバッターの顔を目掛けて投げます」

 高橋監督にはメンタル面も指摘されてきた。

「気持ちの部分で、相手のバッターに向かっていけるかどうかをずっと言われていたので、そこを意識して投げていました」

 こうして夏へ向けて準備していた赤羽だったが、直前の練習試合で調子を崩してしまい、この夏はリリーフ登板の2試合に終わった。

「投げたかったというのもありますけど、大会前に調子を落としてしまい、そこで信頼を失ってしまったと思います。これは自分の責任だと実感しています。個人的にはチームが負けてしまった悔しさが大きいです」

 夏の大会ではトレーニング、ブルペンに入るだけではなく、下級生相手に投げるなどレベルアップを目指してきた。そして取材日では自慢の剛速球、切れ味抜群の変化球を披露。リードしていたプロ志望の日渡 騰輝捕手も「最近、受けてきた中では、かなり良かった方だと思います」と語る。

 そして、高橋監督と相談の上、プロ志望を決めた。両親からは「よく考えて決めたらいい」と赤羽の意志を尊重してもらえた。現在、高卒でも結果を残せなければ早期退団もある。赤羽はそういった厳しい世界であるという話を踏まえながら、覚悟を決めてプロ志望届を提出した。

 取材したのは悩んでいる9月であった。目標はこう語っていた。

「プロ野球選手は小さい頃からの夢でした。どの道に進むにしてもしっかり頑張って、良い選手になりたいです」

 試合やブルペンの投球を見れば、類まれな素質を持った投手であることは明らか。ぜひ一流投手へ成長することを期待したい。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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