Interview

静岡大会打率8割、甲子園バックスクリーン弾も。大学生屈指の遊撃手・奈良間大己(立正大)が振り返る「驚きの連続だった18年夏」【前編】

2022.04.16

 今年の大学野球を代表する遊撃手として注目されるのが、立正大・奈良間 大己内野手(4年=常葉大菊川)ではないだろうか。

 常葉大菊川時代、3年夏の静岡大会で打率.818、2本塁打、9盗塁をマークし、一気に評価を高めた。甲子園での益田東(島根)戦ではバックスクリーン左へ特大弾を放ち、高校野球ファンの度肝を抜く打撃を見せた。U-18代表にも選ばれ、人気選手の仲間入りを果たした奈良間は、東都の強豪・立正大へ進学。3年間で大きく成長を見せ、大学生トップクラスの遊撃手へと成長した。

軽快な守備もパワフルな打撃も憧れの先輩をお手本にした

静岡大会打率8割、甲子園バックスクリーン弾も。大学生屈指の遊撃手・奈良間大己(立正大)が振り返る「驚きの連続だった18年夏」【前編】 | 高校野球ドットコム
高校時代の奈良間 大己(常葉大菊川)

 奈良間が常葉大菊川に憧れを持ったのは、2007年、センバツで優勝したことがきっかけだ。

「ちょうど常葉大菊川が甲子園で優勝した時が、小学校低学年の時でした。その時から野球が好きで、常葉大菊川に憧れていました」

 そうした流れで野球を始め、中学校では菊川市で活動する小笠浜岡シニアでプレー。当時は捕手だった。

「肩には自信はありましたし、スローイングタイムも良かったと思います」と振り返る。小学校時代に憧れを抱いた地元の強豪・常葉大菊川へ進学する。

 遊撃手転向は自分から志願した。

「やはり内野をやりたかったというのが一番大きいです。そのためショートに行きました」。初心者の奈良間が遊撃手をこなせるようになるのは容易ではなかったが、当時、指導したのが主将で遊撃手だった赤井啓輔内野手(亜細亜大)だった。

 赤井主将は抜群の守備力を誇る16年度の静岡を代表する遊撃手。奈良間にとって、大きな手本となった。

「赤井さんは本当にうまくて、常に教えてもらいました。僕はショートの守備について何も分からなかった状況なので、一から教えてもらいました」

 一番印象的だったのは、打球に対する入り方。ここをしっかりと覚えたことで、赤井主将の教えをしっかりモノにすることができ、少しずつ上達をしていった。

 

 入学当初、長打力もあまりない選手だった。

「中学時代は全然、打球を飛ばせなかったんです。そんなにバッティングはいい方ではなかったです。まず振る力がなかったというのもあって、振る力をつけたら、その次にミートできるようになったので、段階をうまく踏めました」

 常葉大菊川には、良き打撃のお手本がいた。2学年上の先輩に高校通算48本塁打を放ったスラッガー・栗原 健外野手(亜細亜大ーHonda鈴鹿)がいた。フルスイングで豪快な打球を見せる栗原は大きな憧れとなった。

「栗原さんをはじめとして、先輩たちはみんな良かったです。見てても凄かったですし、憧れはありました」

 自分が目指す打者像、遊撃手像というのが、先輩たちを見て、学ぶなかで定まっていった。そして高校3年生を迎えた。

[page_break:夏前は絶不調だった]

夏前は絶不調だった

静岡大会打率8割、甲子園バックスクリーン弾も。大学生屈指の遊撃手・奈良間大己(立正大)が振り返る「驚きの連続だった18年夏」【前編】 | 高校野球ドットコム
奈良間大己(立正大)

 3年夏の静岡大会で打率8割超えを記録したが、実は大会前、絶不調だった。「夏の1週間前まで不調で全然打てなかったので、どうなるか心配ではありました」。

 しかし、初戦の清水桜が丘戦では、4打数3安打1打点の活躍。ここから勢いに乗る。その後の試合では快打を飛ばし、浜松城北工戦では、5打数5安打1本塁打2打点の大活躍。決勝戦の島田商戦では5打数1安打に終わったが、それでも静岡大会では打率.818、2本塁打、9盗塁をマーク。一気に評価を高めた。今、振り返っても、自分でも、驚きの活躍だったと振り返る。

「最後の夏の大会は、自分のタイミングで全てボールが来ていたというか、自分の思うような打撃ができて、さらに好きなコースによく来るなという感じでした。こんなことはなかなかないので、びっくりしました」

 甲子園でも快打は続く。初戦の益田東戦で、バックスクリーン横へ特大弾。172センチと決して上背は大きくない中、どこにそんなパワーがあるのかと多くの高校野球ファンを驚かせたが、奈良間自身も驚きであった。

「あの球を打てたのは奇跡かなと思います。打球もあんなに飛んだのかと」

 静岡大会、そして夏の甲子園の猛打。3年間磨き続けてきた軽快な遊撃守備も評価され、高校日本代表に選出された。夏前、絶不調だった奈良間は自身も驚くパフォーマンスで、球児が憧れるステージに立った。

 夏の大会での活躍に高卒プロ志望の思いを強くした奈良間にとって代表入りは絶好のアピールチャンスだったが、自分の立ち位置を見直す機会となった。まずチームメイトには根尾 昂外野手(大阪桐蔭ー中日)、小園 海斗内野手(報徳学園ー広島)といった高卒ドラ1でプロ入りした野手のパフォーマンスに圧倒された。そしてアジア大会の前に開催された大学日本代表との対抗試合で大学生のレベルの高さを目の当たりにして、進路を見直すきっかけとなった。

「甲子園が終わって、プロに行きたい思いが強くなりましたが、ジャパンに入って、周りの選手と比べた時に、まだまだ劣っているなと感じたので、そこで大学進学を決めて、大卒でプロに行こうという強い意志になりました。周りの選手と比べたら、劣っていたので。

 あと大学生との試合は衝撃的なイメージを持ちました。大学生の強さ、スピード感というか、衝撃的でした」。

 東都の名門・立正大に進学。大卒プロ入りを目指して、攻守を磨き直した。

(取材:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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