守備力は東京六大学トップクラス。2季連続打率3割6分超えの明治大・村松が考えた「自分が生きる道」
逸材内野手が多い東京六大学の中でも、守備力はNo.1として評価が高いのが明治大の村松 開人内野手だ。静岡高校時代は2度甲子園に出場。明治大では3年生になって、打撃が開花した。
3年春 41打数15安打 打率.366
3年秋 36打数13安打 打率.361
好成績を残し、ドラフト候補として大きく注目される存在となった。そんな村松の成長の歩みや今年にかける意気込みについて迫っていきたい。
2度の甲子園の舞台は自分を大きく成長させた
明治大・村松 開人
小学校2年生から野球を始めた。兄の遼太朗投手は静岡高校OBで、立正大、京葉ガスと活躍をしている左投手だ。島田ボーイズ出身の村松は静岡高校に進学することを決断する。
「静岡高校の進学の際に、兄がいたことは多少の影響はありましたが、県内では一番甲子園に近いと思っていたので静岡高校を選びました」
中学3年の時、当時の静岡には堀内 謙伍捕手(楽天)、鈴木 将平外野手(西武)、安本竜二内野手(ENEOS)といったスラッガーたちが揃っていた。村松はそんな静岡打線に憧れていた。
入学すると、質を重視した静岡の環境は村松にマッチした。そこまで長いわけではなく、短時間の中で質が高い練習をやり抜けるかにこだわっていた。村松は下級生からレギュラーを獲得。2017年センバツでは2年生ながら出場を果たす。初の甲子園は2回戦敗退となったが、計2試合で7打数3安打をマークした。初のセンバツは楽しいの一言だった。
さらに17年秋は2年続けて明治神宮大会に出場。18年センバツにも出場し、2回目の甲子園出場を果たした。2回戦の駒大苫小牧(北海道)戦では、マルチヒットを記録したものの、3回戦で東海大相模(神奈川)の投手陣に抑え込まれ、無安打に終わった。明治神宮大会2回、センバツ2回を経験したことは大きな経験となった。
「大勢の人がいる大舞台で、結果を出すにはどうすればいいのか考えました。甲子園で活躍することを目指した結果が、メンタル面も野球の技術も鍛えられたので、そこに関しては甲子園はいいところだなと思います」
卓越したバットコントロールに、安定した守備を見せ、ドラフト候補となっていた村松だったが、大学進学を決断する。最終学年は怪我をしていた。
「最初から進学というわけではなく、自分の中で高卒プロを目指して、練習をしてきました。肉離れをしてしまって、さらには、足首の骨折です。自分は体が硬かったのでそういう影響もあり、怪我しやすい体だったと思います」
卒業後は明治大へ。高校に続いて名門チームでプレーすることになる。
[page_break:「確実性」をテーマに、技術と肉体も強化。3年春から大躍進]「確実性」をテーマに、技術と肉体も強化。3年春から大躍進
明治大・村松 開人
明治大では上級生、同級生のレベルの高さを発揮しつつも、どうすれば生き残ることができるか、いろいろなことが見えてきた。
「最初はレベルが高かったので、やっていけるのかなと不安に思ったのですが、プレーをすれば、自分が足りないもの、自分は何で勝負するべきなのかに気付いて取り組めたので、こうしてやれてるのかなと思います」
村松は自分が生きる道は「確実性」と考えた。
「東京六大学で活躍するのは、安定して結果を残せることが大事だと思っていて、自分のような選手には、安定的な守備を見せたり、打撃でも打率を残したりすることが、大事だと思っています。明治大では、どういう選手になるべきなのかを想像して取り組んできました」
とはいえ、高い打率を残し、安定した守備を魅せる。ハイレベルな東京六大学で、そう印象付けるのは、非常に難しい。村松はパワーをつけるために、地道に励んだ。高校から体重も10キロ増。さらに柔軟性を高めるためのトレーニングを行った。そして守備では、確実性を意識し、捕球練習、守備練習では形を意識した。守備練習を見たが、持ち替えも非常に速く、一連の流れが速いだけでなく、1つ1つの動作を大事にこなしているので、精度の高さを感じる。
「プレーの質というか、強さという部分に関しては、高校よりはだいぶ出てきたと思います。持ち替えのスピードとかに関しては、いかに試合でアウトを取れるのかという部分にこだわっています」
打撃、守備、体作りと意識を換えて取り組んだ結果、3年生になってから、高打率を残し、3年春にはベストナインを獲得。守備でも安定した守備を見せ、ドラフト候補として大きく注目される存在となった。好成績の裏には日頃の地道な取り組みに加え、メンタル面の成長も大きかった。
「ある程度、自分の中でやるべきことはやろうと決めて、練習を行い、試合に入ったら、吹っ切れてやる。その結果、春季リーグではいい感じにできて、秋も同じような感覚で、いい結果を残すことができました。
3年生のリーグ戦で、自分の中の基準というか、ベースができたので、ラストシーズンでは、これをさらに上乗せして、より質の高いものにしたいです」
明治大は昨年まで12年連続でドラフト指名が続いているが、13年目は、村松に対する期待が高い。明治大に進んだのは大卒プロにいくため。それでも主将としてまずチームを勝たせるかを考えている。
「自分も先輩たちのプロ入りに続きたいと思いますし、そういった意味でも頑張ろうと思いますが、まずは個人の前に、チームを優勝させたいので、そこにも重点を置いてやりたいなと思います」
目指すは自身が主力選手になってから経験していないリーグ優勝と日本一。目標達成へ、村松は今日も地道に練習に励む。
(記事:河嶋 宗一)