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名将から一番学んだのは勝負勘。球界屈指の守備型捕手・伊藤光が語った明徳義塾時代【前編】

2022.02.14

 球界屈指の守備型捕手として注目される伊藤光捕手。明徳義塾からオリックスに入団し、2014年には2位に貢献。18年シーズン途中、DeNAに移籍後も存在感を示してきた。19年には自己最多の8本塁打を放つなど、厳しいNPBの世界で、14年もプレーしてきた。15年目を迎える伊藤へ、高校時代やパフォーマンスを支えるスパイクなどについて迫っていく。まずは明徳義塾時代のエピソードだ。

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横浜DeNA・伊藤光選手

 愛知県岡崎市出身で、中学時代は東名古屋スターズでプレーしたが、明徳義塾の縦縞ユニホームに憧れた。
 「春夏の甲子園をテレビでよく見ていて、常連校としていつも甲子園に登場するのが明徳義塾でした。ユニホームがタテジマの明徳義塾に憧れを持ったのが1つの理由です」

 伊藤の先輩が明徳義塾にいたのも大きなきっかけだった。2002年夏から2004年夏まで5季連続で甲子園出場した梅田大喜氏は中学のチームの先輩で、さらに1学年上の先輩が明徳義塾にいたことも決め手になった。

 「5季連続出場の先輩がいたことも憧れになりましたし、1学年上の先輩からも、明徳義塾の寮生活のリアルな話も聞いていて、校則の厳しさも知っていました。それも覚悟した上で、明徳義塾に行こうと思っていました」

 校則が厳しく、野球漬けの寮生活。選手によっては、相性もあると思うが、伊藤にとっては絶好の環境だった。

 「校則の厳しさが想像以上だったことは間違いないです。やはり山の中にありますので、自由がない環境だと思います。ただ、野球するには最高な環境です。
 高校生らしい生活は送れないと思います。山の中にあって、外食にいけるわけではなく、外出にも制限がかかる。普通の高校生にとってはきついことだと思います。ただ、僕の高校時代、やることは野球をすることでしたので、野球を集中するには、最高な環境だったと思います」

 伊藤の成長に欠かせなかったのが名将であり恩師の馬淵史郎監督の存在だ。特に学んだのが勝負勘だ。
 「馬淵監督からは、野球観もですけど、僕が一番学ばさせていただいたのは勝負勘ですね。
物事の先を読んで、逆算して、対策を練る。試合中は状況が変化して、すぐ対応していくことが大事ですが、馬淵監督はその対応力の凄さを高校3年間体感しました。
 強いチームと対戦した時、作戦や、次に起こりうるプレーを予測した上で、指示をもらうのですが、言っていることは当たることが多かったです」

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横浜DeNA・伊藤光選手

 馬淵監督から学んだ勝負勘については、プロの世界で生きることが多かった。

 「当時は、馬淵監督から言われていたことを全力でやっていただけだったのですが、あとあと振り返ると、馬淵監督の意図は明確で、すごかったなと思うことがたくさんあります。プロになると、一発勝負の世界だった高校野球と違ってリーグ戦。同じ相手と年間20回以上も戦うのですが、逆算して、どう試合運びをするのかを考えることが必要になります。そのために今をどうするのか、すごく馬淵監督から勉強になりましたし、今でも基礎になっていることが多いです」

 高卒プロ入りした伊藤だが、高校時代の目標はあくまで甲子園に出場することだった。5季連続甲子園出場を果たした先輩がいて、その先輩に憧れて、甲子園を狙えるチームということで明徳義塾を選んだ。ただ伊藤は在学中、甲子園に出場することができなかった。

 伊藤は試合中における対応力が欠けていたと当時を振り返る。
 「高校野球は一発勝負なので、どの相手にも、事前にミーティングをして、どう戦うのかを分析して臨むのですが、僕達に欠けていたのは、その日に起きる状況に対して予測できなかったことです。 
 何か不利なことがあっても、なんとかなるんじゃないかと思っていたところがあり、試合前の準備することに対しては、しっかりとやっていたのですが、その場での対応力が僕らの世代は薄かったと思っています。だから甲子園に届かなかったと思いますし、今、振り返っても、そこが原因だと思っていますし、それだけ力がなかったと思います」

 最大目標の甲子園には届かなかったが、野球人生の最終的な目標であるプロ入りは高卒で叶えることができた。パンチ力ある打撃、高校生としては一級品のスローイング、馬淵監督から学んだ勝負勘、インサイドワーク。それらを評価され、オリックスからドラフト指名を受け、プロの世界に飛び込んだ伊藤は長くプロ野球選手を続けるために新たな気づきを得ることになる。

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(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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