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敦賀気比の「3役」担う元U-15代表・上加世田頼希 大阪桐蔭戦でみせた執念【後編】

2022.01.09

 北信越大会を制した敦賀気比においてエースで4番、さらに主将を務めている上加世田 頼希投手(2年)。7年ぶりの優勝を目指すセンバツでは大車輪の活躍が期待されている。小学生時代から全国区の活躍をみせ、中学時代は軟式U-15日本代表にも選出された経験を持つ上加世田のこれまでの歩みと2022年の抱負を聞いた。

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再び頂点へ、7年ぶりセンバツV目指す敦賀気比は投打に手応え

悔しさ残る聖地の経験をバネに

敦賀気比の「3役」担う元U-15代表・上加世田頼希 大阪桐蔭戦でみせた執念【後編】 | 高校野球ドットコム
明治神宮大会 大阪桐蔭戦で力投する上加世田頼希(敦賀気比)

 コロナ禍の影響で練習の合流は6月と遅れたが、寮生活にも徐々に順応し、秋からは主力投手の一角として活躍。北信越大会優勝の原動力となり、「満足のいく1年間を過ごせたのかなと思います」と順調な高校1年目を送った。

 初めての甲子園となった昨春のセンバツは1回戦の常総学院戦に6番一塁手でスタメン出場。中学時代に日の丸を背負った上加世田だが、「凄く緊張して足も震えた」という。その中でも1安打を放ち、投手としても3番手として1回を投げた。試合は延長13回の末に5対9で敗戦。「いい経験ができた」と感じながらも力不足を痛感したと振り返る。

「まず、自分のスイングができなかったというのが、自分の中で一番ありました。投手としても1イニング投げさせていただきましたが、不甲斐ないピッチングをしてしまって、自分のレベルがまだまだ全国に通用しないということを感じました」

 夏の大会ではチーム方針で野手に専念。4番三塁手として打線の中核を担い、打率.545の大活躍で甲子園8強入りに大きく貢献した。「チームが勝つために自分のバットで何とかしようという思いがあったので、それが結果に繋がったかなと思います」と上加世田。これまでは投手のイメージが強い選手だったが、打者としても確かな存在感を示した。

[page_break:骨折しながら戦った明治神宮大会]

骨折しながら戦った明治神宮大会

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上加世田頼希(敦賀気比)

 甲子園から敦賀に戻った際に「お前がキャプテンやからな」と東監督から指名を受け、新チームの主将になることが決定。「初めは凄く嬉しかったのですが、日が経つにつれて勝つためにどうしたらいいか不安が凄く芽生えてきました」と戸惑いもあったが、前主将の大島 正樹外野手(3年)にアドバイスをもらいながら主将として必要なことを学んできた。

 だが、夏の甲子園でベンチ入りしていたのは上加世田と渡辺だけと経験不足は否めず、秋の県大会は準決勝で敗退。何とか3位決定戦で勝利して北信越大会の出場は手にしたが、「自分たちが弱いことを再確認した」と現実を突きつけられた。

 気持ちを入れ直して挑んだ北信越大会では見事に優勝。投手としては全4試合に先発、打者としても14打数6安打2打点とエースで4番に相応しい活躍を見せた。

 明治神宮大会では大阪桐蔭(近畿・大阪)と対戦。死球で左肋骨にヒビが入るアクシデントに見舞われたが、「自分はエースとしての自覚が少しはあると思っているので、何としてもマウンドに立ち続けようという思いが強かったです」と7回までマウンドに立ち続けた。しかし、力及ばず、4対8で敗戦。全国トップレベルの強さの前に屈する形となった。

 大阪桐蔭と対戦したことで投打ともに物足りなさを感じたという上加世田。「まずは体作りから基本に戻ってやっていけたらと思っています」とこの冬でスケールアップを狙っている。センバツの目標については次のように語った。

「チームとしては日本一が目標で、個人としてはU-18に選ばれたいので、自分のできるアピール全てを出せたらいいなとは思います」

 上加世田は投打両面で高校上位レベルの実力を持つ。投手としては最速144キロの速球を投げ、マウンド捌きも巧み。打者としてもコンタクト能力が高く、ここぞという場面で頼りになる。将来的にはどちらでも勝負できる素材だが、「バッティングで見てもらいたい」と野手として活躍したい気持ちの方が強いようだ。

吉田 正尚選手(オリックス)のようなフルスイングの中で三振が少ないバッターになりたいと思います」と敦賀気比の先輩である大打者を目標に掲げており、確実性と長打力を兼ね備えた打者を目指している。

 また、人間性の面で尊敬していると話すのが、高知高からドラフト1位で阪神に指名された森木 大智投手だという。中学時代に何度も練習試合で対戦したことがあり、「ずっと仲良くしていただいていて、その中でアドバイスをたくさんいただいたりしました」と多くのことを学ばせてもらった。

 選ばれれば3季連続出場となる今春の甲子園に向けて、「自分たちらしい野球をして、死に物狂いで一戦一戦、戦い抜けたら」と語る上加世田。大黒柱として、チームを頂点に導く。

(取材:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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