Interview

「U-15に選ばれたい」楽天1位の吉野を輩出した東京城南ボーイズで野球センスを磨く2年生左腕の挑戦

2022.01.03

 2021年のドラフトで昌平(埼玉)の吉野 創士外野手(3年)が楽天に1位指名を受け、プロ入りを果たした。吉野は中学時代、強豪・東京城南ボーイズでプレー。吉野とともに昌平のクリーンアップを務めた古賀 智己外野手(3年)だけでなく、横浜に進んだ金井 慎之介投手(3年)、杉山 遙希投手(1年)、山崎 隆之介内野手(1年)などは昨夏、激戦区・神奈川を勝ち上がり甲子園出場を果たすなど、これまで多くのOB選手が高校野球やその上の舞台でも活躍を見せている。

 現在のチームにも、これから活躍が楽しみな選手がいる。それが投手・外野手を兼務する佐藤 龍月選手(2年)だ。171センチ、65キロと体格は周りの中学2年生と変わらない。しかしチームを率いる大枝茂明監督は「過去、見てきた中では一番力がある選手」と大きな期待を寄せる。

 その非凡な野球センスに、すでに全国各地の多くの強豪校から声がかかっているという佐藤は、これまでどんな野球人生を歩んできたのか。そして彼が語った自分自身の持ち味を紹介していきたい。

ジャイアンツジュニアに選出

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佐藤 龍月(東京城南ボーイズ)

 野球を始めたのは小学1年生のころ。神奈川の陣屋少年野球部に3年生まで所属したのち、4、5年生時は父の転勤で長崎のセインツジュニアでプレーした。その後、神奈川に戻り、今井西町少年野球部に入った。当初から投手を中心にその他のポジションも務めいていたが「プレーの中心となる選手で自分で試合を動かすことができる」という理由で投手が一番好きだった。当時から120キロ近い速球を投げ込む左腕として、6年時にはジャイアンツジュニアに選出されNPBジュニアトーナメント出場を果たした。「ジャビットカップ」加盟チームの各連盟から推薦された120人の中から選考会で16人に絞られる「狭き門」を通過し、札幌ドームで躍動した。

 東京城南ボーイズには兄(佐藤 志龍健大高崎1年)も所属しており、「投手を大事にしてくれるチームと聞いていた」ことで入団を決めた。佐藤だけでなくNPBジュニアを経験した選手も多く、選手層も厚いチームで酷使されることなくのびのびできる環境を選んだ。

 入団後、佐藤は投打で頭角を現す。打者としては主に1、3番を務め、昨年長野で行われた試合では本塁打、二塁打、三塁打、三塁打の「サイクル超え」を記録。俊足、長打力を兼ね備える魅力的な打者だ。打撃フォームも頭がぶれず、常に自分のスイングができており、中学2年生とは思えない完成されたスイングが印象的だった。打撃については「アベレージヒッターを目指している」という。「ホームランを意識しずぎると、まだスイングがブレてミスショットが増えるので、力を抜いて、インパクトの時だけ力を入れるように意識しています」。

[page_break:すでに最速134キロ。今年の目標は「U-15日本代表に」]

すでに最速134キロ。今年の目標は「U-15日本代表に」

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佐藤 龍月(東京城南ボーイズ)

 そして投手としては最速134キロを誇り、持ち前の速球は健在。球速以上に球の伸びも素晴らしく、対戦した相手チームの指導者からも「この時期にこんな球、打てませんよ!」と脱帽されたこともあったそうだ。投手としてもすでに同世代から頭ひとつ抜けた成長ぶりをみせている。

 投球については「足を上げた時に棒立ちでそのまま投げていたのですが、軸足にためを作って投げることを意識しています。DeNAの今永投手のフォームを参考に、ためを作って、のびのある直球を投げるように」と現在フォームの改良に取り組んでいる。体格は大きい方ではないが、そこから繰り出される速球のギャップに驚かされた。大枝監督も「桐光学園で活躍した松井裕樹投手のようにバンバン三振を取って甲子園で活躍してほしい」と大きな期待を寄せる。

 現在、最上級生となり、チームを率いる存在となった佐藤。「エースとして期待されているので、それに応えられるように。打線でも自分が引っ張っていけるように」と投打でチーム牽引を誓う。そして「夏はU-15日本代表に選ばれたい」と力強く語った。中学野球の集大成の1年間となるか。

 すでに全国各地の強豪校から声がかかっているという。「どんな高校に行ってもチームカラーに合う、器用な選手になりたい」。目標としては「体ができるまでは無理せず、高校3年生にピークをもっていき、プロ野球選手として活躍したい」と口にした。佐藤が高校3年生となる2025年に再びその名を聞けることができるか。類稀なる野球センスに磨きをかけ、野球選手として躍動する姿を期待したい。

(記事:藤木 拓弥

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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