Interview

「4球団競合」の答案が返ってきた西武1位・隅田、ここまでの苦しみとここからの楽しみ

2021.10.12

 11日、ドラフト会議で4球団の競合の末、最速150キロ左腕、隅田 知一郎投手(4年=長崎・波佐見)が西武1位指名が決まった。高校時代は甲子園を経験しながら、ケガに苦しみ、それでも直球のスピードアップ、変化球の精度などを上げて、今年ドラフトでNO・1の評価を勝ち取った。ドラフト当日に、その喜びと苦しみ、そしてプロでの楽しみを、隅田の言葉で語っていた。会見を中心に一問一答で振り返る。

「4球団競合」の答案が返ってきた西武1位・隅田、ここまでの苦しみとここからの楽しみ | 高校野球ドットコム
ガッツポーズする隅田

――まず、隅田投手から、ひとことお願いします。

隅田 埼玉西武ライオンズから指名しただきまして、3日前から公言してもらい、満場一致の評価だと言われて、うれしかた。これからはプロ野球世界に飛び込み、日本を代表をするような左腕になって、日の丸を背負える投手になっていきたいです。

――今の気持ちは

隅田 この4年間、やり残したことがないくらい頑張ってきたつもりで、今日を迎えた。これから次のステージで頑張りたい。

――どんな気持ちで待っていた

隅田 楽しみにしていたし、もし指名がなくても悔いないという感じで今日を迎えていた。

――自分の名前が次々に呼ばれた時はどんな気持ちでした

隅田 本当にできすぎというくらい。

――クジを待つ時の気持ちは

隅田 4球団ともに評価してもらった球団だった。もともと12球団OKでどこでも頑張れる気持ちだったので、どこでも頑張ろうと思っていました。

――西武が引いた時は

隅田 九州担当スカウトの方からも非常に熱いエールをいただいていた。さきほど電話もあった。非常にうれしいという言葉もいただいたので、期待に応えられるように頑張りたい。

――電話の内容は

隅田 緊張してて忘れました(笑い)

――西武の印象は

隅田 打撃がすごく強いチームで、前回優勝した時もほんとに打力がすごいなあと思ってました。自分も西武ライオンズにお世話になるので、即戦力として打者の方を信じて、腕を振って頑張りたい。

――即戦力の自信は

隅田 いろんな球種を持っていますが、すべてが通用すると思ってないので、ひとつひとつの課題をクリアしていきながら、自信に変えていけたらと思っています。

――アピールポイント、強みは

隅田 ひとつひとつの変化球にこだわりをもってやってきて、カウント、つり球、ウイニングショット、すべての変化球が投げられて、三振が狙えるところだと思います。

――1年目の目標は

隅田 いずれは新人王を狙える投手になりたい

――長期的な目標は

隅田 今年五輪があって、すごい憧れも抱いていたので、いつかは日の丸を背負って投げられるような投手になりたい

――4年間、大学生活で一番取り組んだところは

隅田 入学したときに、同学年で全国優勝するという言葉を監督が言われて、スタートした代だった。きつい練習もありましたし、コロナ禍でうまくいかない中で、みんなでやってこれた。同級生に感謝したいと思ってますし、これから長いキャリアにしたいと思ってますので、結果だったり、自分の姿だったりで、恩返しできたらなと思っています。


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隅田が西武のマスコットを手に喜ぶ

――イメージとしてこんな投手になりたいというのはありますか

隅田 今、現役でやられている方だと、ソフトバンクの和田投手です。ほんとに20年間やられている、自分も腕が振れる限り、腕を振っていきたい。

――対戦してみたい打者は

隅田 パ・リーグなので、オリックスの吉田正選手と対戦してみたい。球界を代表するような左打者ですし、規格外のスイングされる方なので、目の前で対戦してみたいなと思います。

――残された大学での時間はどう使いますか

隅田 即戦力として、そこに向けてしっかり体作りをして新人合同合宿、春季キャンプへ、そこからでられるようになりたいと思います。

――この指名を伝えたいとしたら誰に伝えますか

隅田 ここまで野球をやらせてくれた両親にありがとうございましたと伝えたい。

――4球団、最多の評価については

隅田 今年は高校ビッグ3の投手もいましたし、佐藤投手だったり、比較される投手が多かったので、4球団というのは考えてなかった。

――出来のいいテストが返ってくる感じだと言ってましたが「4球団競合」の答案が返ってきて、今の心境は

隅田 100点以上だと思います。

――隅田投手にとっては10割の直球とは

隅田 この4年間、自分は変化球の精度がいいという評価をいただいていますが、自分としては直球にこだわって、課題に取り組んできた。常に階段を上って、合格という直球はないし、どんどん上を目指していける直球を目指していきたい。

――高校時代ケガに苦しんだと思いますが、今の高校生にメッセージがあれば

隅田 大学に入ったときにはプロを目指すというつもりで入ってきて、同級生と優勝するという目標を目指しながら、練習に取り組んできた。同級生の頑張る姿を見て頑張る時期もありましたし、同級生が頑張れないときに自分が頑張るというときもあった。自分はほんとに同級生と一緒に頑張ってこれた。自分だけじゃなくて周りに目を配りながら取り組んでいったらいいと思います。

――具体的な目標の数字ありますか

隅田 10勝できれば上出来。貯金ができる投手になりたい。

――ヤクルト村上、同年代の活躍を見てどう思いますか

隅田 若いながら強い気持ちをもってプレーしていると思いますし、その気持ちが強い選手だと思う。自分もそこに負けないようにしっかり自分を持って、強い気持ちを持っていきたい。高校時代、2年秋に九州大会を想定して、大分の球場で九州学院と練習試合をしたときに対戦して、6対1で勝ちました。2三振を取りました。ヒットは打たれてないです。でもあっちは不調だと聞いていたので…。

――肘の故障を詳しく教えてください

隅田 剥離骨折です。ボルトで止める手術と、骨がくっついてから(ボルトを)抜く手術をしました。その時はプロのことは考えずに、仲間と甲子園に行きたい気持ちともう一回マウンドに戻りたい気持ちで頑張っていました。

――日本代表への憧れについて

隅田 東京五輪は全試合見ました。もともと、今永投手を参考にしてたんですけど、プレミア12で直球がバットに当たらないというのに衝撃を受けて、そこから日本代表はカッコいいなと思うようになった。憧れも持ちましたし、こういう舞台に立てるんで、そこの高い目標を目指して頑張りたい。今回の五輪は、村上選手の決勝アーチが印象に残っている。ほんとに強い気持ち持ってるんだなと思った。村上とは機会があれば対戦したい。

――筑波大の佐藤選手と同じ球団になりますが

隅田 一緒に切磋琢磨して、西武の二枚看板といわれるくらいに成長していけたらと思います。

――変化球が多いけど、技巧派には思われたくないと言っていましたが、直球にこだわりがあるからですか

隅田 こだわりというより、現段階ではまだ全然プロでは通用しない。変化球もそうですし、完成度を求めて、やりたいと思っている。アマチュアでは本格左腕と言われますけど、プロにいったら、左の150キロ投げる投手はどこでもいます。スピードも平均球速も上げないといけないと思う。直球で勝負できる投手にならないといけない。

――監督と握手した時はどういう思いでしたか

隅田 ありがとうございますという気持ち。いろんな言葉のかけ方をしていただいて、厳しく指導してもらったので、これからもずっと見ていただけると思いますし、期待以上のものを出せるように努力していければと思います。

――関東のチームになりますが

隅田 高校から寮に入っているので、新しい環境になるというのは慣れている。気にせずにいけると思います。スカウトの方が来てても、試合中はあまり気にすることなく投げられているので、自分は試合に入っていける選手だと思います。西武、応援がカッコいい。ユニフォームがカッコいいと思っているので、自分も似合う選手になれたらと思います。。

――西武の投手と言われてパッと浮かぶのは

隅田 高橋投手と今井投手です。プロにいって、二人とも体が大きくなっているので、自分もしっかりパワーをつけて背中を追っていけたらと思います。

――コロナ禍で集中して練習できたのを改めて振り返ると

隅田 考えていく力もそうですし、有意義に過ごせた時間だった。全部よくなった。

――数日前に西武が1位公表した時はどう思いましたか

隅田 震えました。おおって感じで。びっくりしました。昨晩は良く寝ました。今日も昼寝しました。

(取材=浦田由紀夫)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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