ドラフト前も追求し続けるBIG3の一角・小園健太が見据えるは、「球界のエース」【後編】
今年のドラフト会議で1位指名が有力視されている市立和歌山の小園 健太投手。7月下旬に高校野球を引退してからも、プロ入りを見据えてトレーニングを続けている。今回は小園に今年の高校野球生活の振り返りやドラフトに向けての心境などについて伺った。
夏へ、智辯和歌山戦
小園 健太(市立和歌山)
センバツで出た課題を明確にして、着実に改善を重ねていった小園。春の和歌山県大会ではリリーフでのショートイニング登板が多かったが、球場のスピードガンで150キロを計測することもあり、ストレートの質がセンバツよりも明らかに向上していることが見て取れた。
この勢いで夏の大会に挑みたいところだったが、新型コロナウイルスの感染が拡大した影響により、春季大会後は練習試合を行うことができなかった。
「実戦勘は全然なかったんですけど、最後の大会ということで、気持ちを入れてやろうと思っていました」と、こうした中でも気持ちを切らすことなく、日々の練習に打ち込んだ。6月からは練習試合が解禁となり、5試合ほどに登板。満を持して最後の大会に臨んだ。
夏の和歌山大会では初戦の県立和歌山戦で初回に1点を失うが、準々決勝の耐久戦、準決勝の高野山戦は先発してそれぞれ無失点。勝ち進むごとに本来の投球を見せつけた。
「初戦は少し硬さがあって、自分本来のピッチングができなかったと思いますが、試合を重ねていくごとにつれて、自分の持ち味であるテンポの良さを出して、変化球で打ち取ることができたと思います」
準々決勝、準決勝と5回コールドで勝てたこともあり、体への負担も少ない状態で決勝に進むことができた。決勝の相手は智辯和歌山。秋に3連勝したが、春の決勝では敗れており、文字通り真のチャンピオンを決める試合となった。
「5回まではバックに助けられながら、打たせて取るピッチングができていました」と前半はいつも通りのテンポの良い投球を見せ、無失点投球。5回を終えて0対0と決勝に相応しいハイレベルな投手戦を繰り広げた。
しかし、6回以降は毎回失点。「どこか甘く入ってしまったりだとか、カウントを悪くして取りに行く変化球を打たれたりとか、悪いところが見られたかなと思います」と自身の納得のいく投球ができず、1対4で敗れて甲子園の道は閉ざされてしまった。
負けた瞬間は悔し涙に暮れたが、やり切ったという思いが強かったため、気持ちはすぐに切り替えられたという。市立和歌山での3年間を次のように振り返ってくれた。
「日本一にはなれなかったんですけど、一緒にやってきた2年半は無駄じゃなかったと思います。本当に良い経験もさせてもらいましたし、このみんなと甲子園に行けて本当によかったと思っています」
また、貝塚ヤング時代からバッテリーを組んできた松川にも感謝の言葉を述べていた。
「中学校から6年間バッテリーを組ませてもらったんですけど、支え続けてくれたので、ありがとうという気持ちでいっぱいです。虎生が受けてくれることによって、自分もワンバウンドを気にせず思い切って投げられていました」
[page_break:自分を支えた向上心を忘れず]自分を支えた向上心を忘れず
小園健太(右)と松川虎生の市立和歌山バッテリー
高校野球を引退してからも市立和歌山のほぼ毎日グラウンドに通って練習を行っている。「股関節や下半身のトレーニングを重点的にやってきたので、キャッチボールから土台の安定感が出てきました」とこの2ヶ月間でも成長を実感できているようだ。
さらにSNSを通じて同じドラフト1位候補の森木 大智(高知)と連絡を取り合った。「森木君はトレーニングに対する意識が高い。色んなものを吸収して、もっと自分も上手くなりたいので」と体幹トレーニングのメニューを教わり、実際に取り入れている。
「もっと体について深く知りたいですし、知識がまだまだ足りないと思うので、吸収していきたいと思っています」と探求心が強いところも小園の長所と言えるだろう。
目前に迫ったドラフト会議に向けては、「いよいよだなとドキドキしています」と率直な気持ちを話してくれた。半田 真一監督によると、全12球団から調査書が届いており、ドラフト1位指名は確実な情勢。複数球団で競合する可能性も高いが、何球団が最初に名前を挙げるだろうか。
「いずれは球界を代表するようなエースになりたいです」と将来の目標を語る小園。ドラフトの目玉になるであろう男の運命はどのようになるだろうか。
(記事=馬場 遼)