Interview

4スタンス理論の確立で最速148キロ&ドラフト候補に躍り出た時澤健斗(神戸弘陵)

2021.09.06

 近年、躍進著しい神戸弘陵。OBには、山井 大介(中日)、飯田 優也(オリックス)、東 晃平(オリックス育成)と3投手が現役でプレーしている。そして4年ぶりに高卒プロ入りに期待がかかる投手がいる。それが時澤 健斗投手だ。最速148キロのストレートと7種類の変化球を武器にする速球派右腕で、今年の兵庫県で最もプロ入りが近いといわれている。さらにスイッチヒッターの一面もある。

 そんな時澤の進化のターニングポイントに迫る。

4スタンスの確立で球質アップ

4スタンス理論の確立で最速148キロ&ドラフト候補に躍り出た時澤健斗(神戸弘陵) | 高校野球ドットコム
時澤健斗(神戸弘陵)

 取材したのは7月下旬。まだ夏の兵庫大会を終えたばかりだった。

 神戸弘陵の室内練習場のブルペンに立った時澤の速球は実に威力があった。さらに変化球の精度も素晴らしく、さすがドラフト候補と思わせる内容だった。

 そんな時澤の歩みを振り返る。兵庫県三木市出身。自由が丘中時代は遠投98メートルを武器とする強肩捕手として活躍し、軟式の選抜チームであるメジャー兵庫に選出され、全国大会を経験する。その時、高知選抜に選ばれた森木 大智高知)の投球を球場で見る機会があった。
「ちょうど試合の入れ替わりだったのですが、その凄さを実感しました。また選抜チームにも凄い選手がいて、自分自身、刺激となった大会でした」

 さらに自主練習にも力が入る時澤。
 高校では、自分で考えて、どんどん実行ができる神戸弘陵の練習環境に惹かれて入学を決断した。

 入学当初は捕手だったが、志願する形で投手へ転向。自慢の強肩を活かし、2年生にはストレートも140キロ台に達した。十分に好投手の域に達していたが、時澤自身、投球内容に満足をしていなかった。

 そこでカギとなったのが、廣戸聡一氏が提唱した4スタンス理論だ。トレーナーのアドバイスで、自身の有効的な身体の使い方に気づいた。これは、A1・A2・B1・B2で4つのタイプで分けられ、二刀流の大谷 翔平はB2タイプ、イチローさんはA1タイプだ。

 時澤の場合はA1タイプだった。
 このタイプはあらゆる動作を無意識のうちに手足の指先かつ、内側でバランスをとる。今まで時澤の場合、軸足に体重を乗せて投げることを意識していたようだが、踏み出す足に力を溜める意識で投げることができるようになった。これによって、以前と比べて違うストレートが投げられる手応えがあった。
「同じ140キロでも明らかに違う手応えはありました。伸びのあるストレートを投げられるようになったと思います」

[page_break:球速も最速148キロにアップ]

球速も最速148キロにアップ

4スタンス理論の確立で最速148キロ&ドラフト候補に躍り出た時澤健斗(神戸弘陵) | 高校野球ドットコム
時澤健斗(神戸弘陵)

 この手応えを掴んだのが2年秋の県大会前。注目の報徳学園戦では強打者を次々と抑え、2失点完投勝利。さらに当時の自己最速となる144キロをマークし、評価を大きく高めた。自分の力を発揮できる身体の使い方を知ると、「足のコンディションをより重視するようになりました」と語る。

 その後は6月の練習試合で自己最速を更新する148キロをマークし、大会へ向けて準備を進めていたが、最後の夏は左の股関節を痛めてしまう。踏み出し足を重視して投げる時澤にとっては、かなり痛い故障。中継を見れば、140キロ台のストレートを投げられているように見えたが、全く思い通りの投球はできなかった。明石商戦では、
「自分の特徴である足を大きく上げるフォームができず、悔しかったですね」

 最後の夏は悔しい形に終わったが、好投手からドラフト候補として県を代表する好投手に化けたのは「4スタンス理論」の確立だったことは間違いない。

 7種類の変化球を投げるコツについてのコメントからも、探究心の高さが伺えた。それは後編で紹介をしていきたい。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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