Interview

「え、自分が捕手に?」捕手経験0から5年間で大学を代表する捕手となった古賀悠斗(中央大)の決意

2021.09.03

「え、自分が捕手に?」捕手経験0から5年間で大学を代表する捕手となった古賀悠斗(中央大)の決意 | 高校野球ドットコム
古賀 悠斗(中央大)

 今年の大学生を代表する捕手・古賀 悠斗(中央大)。東都通算4本塁打を記録し、スローイングタイム1.8秒〜1.9秒台の強肩を見せる。

 福岡大大濠時代は、高校通算52本塁打の強打の捕手として注目され、侍ジャパンU-18代表にも選出。2017年の第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップに出場し、正捕手として3位入賞に貢献した。

 ドラフト候補に挙がる捕手は、中学時代から実績があったり、高校から捕手を始めて長いキャリを誇る選手が多い。ただ古賀は2年夏の大会が終わってから捕手となり、キャリアとしては約5年と、他の大学生捕手と比べると短い。とはいえ、その5年分のキャリアは誰よりも濃い。そんな古賀の野球人生を振り返る。

経験0から捕手。自信を掴んだ2年秋の3試合連続完封演出

「え、自分が捕手に?」捕手経験0から5年間で大学を代表する捕手となった古賀悠斗(中央大)の決意 | 高校野球ドットコム
古賀 悠斗(中央大)

 筑紫野市出身の古賀は中学時代、オール筑紫BBCでプレーした。
 福岡大大濠の関係者から熱心な誘いを受け、福岡大大濠に進学した。当初は遊撃手としてプレーしていたが、2年夏の大会が終わって、八木監督に捕手転向と言い渡される。もちろん捕手の経験はゼロ。古賀も不安でたまらなかった。

「あの時は『何で自分が…』という感じでした。できるのかなという気持ちでした」
 それからは1学年上の先輩捕手・松本 敦輝(駒大卒業)のアドバイスを受けながら、レベルアップを果たした。

 その中で自分がレベルアップできたと実感できたのは2年秋の九州大会でエース・三浦 銀二の3試合連続完封に貢献したことだ。
 「三浦は本当にコントロールが良くて要求通りに投げてくれる投手です。だから打たれた時は自分の責任というぐらい、それぐらいプレッシャーを感じながら受けていましたので結果として出たことは嬉しかったですね」

 そしてセンバツでは再試合を含め4試合もマスクをかぶった。捕手という重労働にきつさを感じながらも甲子園のグラウンドに立ったことに充実感を得ていた。

 「高校に入れば、目指すのは甲子園。やはり甲子園に立てるチームは限られます。まず甲子園に入って空気を吸って、みんなが頑張っていられる、目指している場所なんだなと思ってグラウンドに入りました」

 最後の夏こそ福岡大会準優勝に終わったが、U-18代表に選ばれ、2017年の第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップに出場し、正捕手として活躍。3位入賞に貢献した。

 「その時は(物事が)うまく捉えられなくて、高校生だったので甘かったのかなと思うのですが国を背負って行っていたので、その重圧はありました。最初はこの投手がどの球に自信を持ってて、どういうリードをしたらいいのか、難しかったです」

 国の代表として戦う難しさ、短期間で他校の投手の特徴を掴み、リードする難しさを感じながらも勝利に貢献し、評価を高めた古賀は、大学進学を決断する。高卒プロ入りしたい気持ちはあったが、周囲の勧めもあり、中央大進学となった。

[page_break:中大4年間で確かな自信をつけて]

中大4年間で確かな自信をつけて

「え、自分が捕手に?」捕手経験0から5年間で大学を代表する捕手となった古賀悠斗(中央大)の決意 | 高校野球ドットコム
古賀 悠斗(中央大)

 「高校3年生の時、あの時、結構過信していたところもあって、何の根拠もなく、プロに行きたいと思っていたんです。ただ、いざ冷静に自分の実力を振り返ってみたら、まだ捕手をやって1年。プロに通用するのかを冷静になって考えたら、大学進学となりました」

 今となれば、この決断は正解だったといえる。1年生から大学生トップレベルの東都大学野球リーグの公式戦に出場。ハイレベルな投手との対戦を重ねていくが、木製バットの対応にも苦労し、思うように成績が伸びない時期が続いた。

 「壁にぶち当たりまくって、プロに行かなくて正解だったと思いました」
 この春では打率.341、3本塁打、8打点の活躍を見せ、評価を高めた。
 「心の余裕が下級生の時に出てきたのが大きいです。打撃フォームは高校時代から大きな変化がないのですが、打ち込んで打ち込んで自分なりに合う感覚を掴んだのが大きいです」

 3年秋から主将となった。主将の悩みについて、こう打ち明ける。
 「大学野球には、まだ18歳の一年生がいて、一番上は21歳〜22歳と大人の思考を持った選手がいて、間には成人となったばかりの20歳の若い選手もいます。だから、物事の捉え方が全く違うんですよね。やはり18歳と21歳の考え方(物事の捉え方)は違うと思いますし一年生にかける言葉使いなど気を使っています。それを踏まえてチーム作りをしないといけないので、難しいです」

 プロ入りを目指す古賀。社会人、プロの二軍ともオープン戦をしながら、自分の力量を客観視し、日々レベルアップに励んでいる。特に二軍との試合では、自分のレベルを知るいい機会となっている。
 「自分が入ったら、こういうレベルが高い人たちと一緒にプレーしないといけないと感じますので、より練習をしっかりとやらないといけないと思います」

 9月13日から始まる秋季リーグ戦へ、意気込みを語った。
 「4年間の集大成ですし、ここぞという場面では、古賀に任せれば安心。守備面でそういう選手を目指しています」

 大学ラストシーズン。過去最高のパフォーマンスを発揮し、今度は自信を持ってプロ入りの夢を叶える。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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