高校通算57本塁打・森下翔太(東海大相模-中央大)が語った門馬監督への思い
この夏限りで退任した名将・門馬敬治監督(東海大相模)。その門馬監督に「感謝の言葉しかない」と話す若きスラッガーがいる。それが中央大の森下 翔太だ。
東海大相模時代、1年夏から4番を任され、高校通算57本塁打をマークし、プロからも注目を浴びていたスラッガーだ。中央大進学後は東都一部通算5本塁打。大学1年生で侍ジャパン入りと、高い能力を発揮している。そんな森下が語る門馬監督への思いとは。
プレッシャーはあったが、1年4番は良い経験に
森下翔太(東海大相模)
横浜市出身の森下は中学時代、強豪・戸塚シニアでプレー。高校野球で活躍するために、早めに硬式に触れておきたい思いがあった。当時の戸塚シニアには1学年上に福永 奨(横浜-國學院大)、同期には、横浜で活躍した斉藤 大輝がいた。
最終学年では1番斉藤、3番森下という打順で活躍を見せた。その中で熱心の誘いがあった東海大相模でプレーすることを決断する。
東海大相模の練習に加わって、すぐにレベルの高さを実感した。
「パッと見た時、気迫というか、野球に対する熱が伝わって、全国レベルの野球、日本一を目指す野球はこうなんだなと思いました」
最初は自宅から通っていたが、1ヶ月して寮に入った。先輩たちは優しく、特に1学年上の先輩たちと仲良くなり、チームに溶け込むことができた。
また1年生の時から練習試合で起用されることも多く、初本塁打を放ったのは大会直前の練習試合だ。
「八王子高校のグラウンドで三つ巴(変則ダブルヘッダー)だと思ったのですが、その試合でライト方向へ本塁打を放ったんですが、それが自分にとって高校初ホームランとなりました」
結果を残す1年生に門馬監督はある決断をする。2016年夏、初戦のアレセイア戦で4番センターでスタメン出場を果たす。さらに3打数1安打1打点と上々のデビューを飾った。
この抜擢について、森下は驚きを隠せなかった。
「1年生なので、勢いでやっていたところはあったのですが、4番というプレッシャーがあったんです。自分の中でもつらくなってきて、結果的には最終戦は4番で出られなかったんですけど、良い経験だったなと思います」
1年生からの登用は学年を上がるにつれて実を結ぶ。レベルの高い投手陣との対戦を経て、「無駄な動きを省く」ことを重視した結果、本塁打を次々と量産するようになった。
2年秋の大会では打率.512、5本塁打、23打点とハイパフォーマンスを見せ、世代注目の強打者として注目を浴びるようになる。
3年春ではセンバツベスト4入り。甲子園出場の喜びを次のように振り返る。
「甲子園にずっと出ていたい、日本一になりたい思いがあったので嬉しかったですね。小さい時からみていた甲子園だったので、打席に立った時は考えられないですけど、すごい体験ができたんだなと思いました」
門馬監督への感謝の思い
森下翔太(中央大)
3年夏は北神奈川大会ベスト4で敗れ、甲子園出場はならなかったが、大きな経験をすることができた。そして中央大に進学し、東都通算5本塁打を放ち、世代を代表するスラッガーとして注目を浴びている。
森下は今の自分があるのは門馬監督のおかげだと語る。
「やはり現在の自分を作ってくれたのは門馬監督です。1年夏から試合に出させてもらって、さらに4番として使ってもらったり、自分には感謝の言葉しか見つからないぐらい。それぐらい門馬監督は自分を作ってくれたかなと思います」
門馬監督からは1対1で話し合う時、技術的なことよりも打席に入っての心構えなどメンタル的な指導が多かった。特に不調になるとその時間は長くなった。森下にとって最初で最後の甲子園となった3年春のセンバツ前はかなりの不調で、門馬監督にサポートをもらいながら、大会に入った。
結果として15打数4安打、2打点と森下からすれば満足いく結果ではなかったが、甲子園で4試合プレーできたことは大きな財産となっている。
大学進学も門馬監督の勧めから決まった進路だ。自身の進路でずっと悩んでおり、プロ入りしたい思いもあった。
だが、大学野球最高峰の東都大学野球一部リーグのレベルの高さを目の当たりにして、ワンステップおいて良かったと思っている。
「やはり自分自身、悩んでいたので、門馬監督に大学という道を出してくれました。結果として、1年生も出してもらえる環境に行かせて、門馬監督にも、そして中大では、清水監督から親身にアドバイスをいただていて、とても感謝しています」
中大の主将・古賀 悠斗(福岡大大濠出身)は「良いやつで愛されるヤツです。森下が打たないと勝てないぐらいの中心選手になってきました」と全幅の信頼を置く。
名将の4番抜擢から始まった森下のサクセスストーリー。ただ、現在の森下があるのはひたむきに努力する姿勢があるからこそ。そして誰からも愛されるキャラクターも大きな魅力だろう。
自分を育ててくれた恩師への恩返しのために、これから始まる秋のリーグ戦で自慢の長打力を発揮するだけだ。
後編では大学時代の取り組み、打撃の取り組みについて更に詳しく迫ります!!
(記事=河嶋 宗一)