目次

[1]転機となった2年冬のトレーニング
[2]現代っ子らしい投球術習得で東海大相模を撃破


 春から急浮上してきた選手が多いチームほど推進力が強い。そんなチームが山梨の日本航空である。今年の春は東海大相模相手に5対3で勝利した。そんな日本航空の投打を担うキーマンを紹介。まずはヴァデルナ フェルガスだ。

 189センチの長身から繰り出すストレートは140キロ前後だが、今年にかけてマスターしたスラッター(スライダーとカットの中間球)を習得して、レベルアップした投手だ。父がドイツ人、ハンガリー人のハーフで、母が香港出身。基本的に外では日本語だが、家では英語と二ヶ国語を話し、さらに成績も優秀で、一般の難関私学も合格を狙える学力があるという。全体練習が終わり、20時過ぎから学校施設で塾形式の学習に励み、文武両立も目指している。
 そんなヴァデルナの歩みに迫る。

転機となった2年冬のトレーニング


 大阪府阪南市出身のヴァデルナは6歳の時から野球を始める。投手を始めたのは小学校4年生の頃で、中学時代は大阪泉南ボーイズでプレーした。日本航空へ入学した当初はその設備の凄さに驚かされたという。それだけではなく、周りのレベルの高さにも圧倒された。

「最初、入学したとき、みんなうまくて、自信なくしました」

 その中でも同級生の小澤耕介(湖南ボーイズ)の投球を見て、「小澤がずっと上で、自分は出番がないのかなと思いました」と振り返る。2年秋にはベンチ入りするも、主力投手だったのは小澤と同じく速球派左腕の山形一心。立ち位置はずっと控え投手だったが、一気にエース格へ登り詰めることができたのは、冬の練習の取り組みにある。

 自身の課題としてヴァデルナは、回転力が乏しい投球フォームにいきついた。鋭く体を回転できる投球フォームのために、オフシーズンからチームを指導する殖栗正登トレーナーからトレーニングを学び、Youtubeなど動画サイトを見て学びを得た。

 結果、ストレートが10キロ近くスピードアップし、最速138キロまで到達。転機となった3月にセンバツ帰りの上田西相手に完封勝利を挙げ、評価を高めた。豊泉監督の中で、ヴァデルナを戦力として目処が立ったのは春季県大会だったと振り返る。

 「実はいうと、彼はベンチに入れるか、夏も戦力になれるか瀬戸際の投手でした。そこで、県大会で試しに投げさせてみようと思って、初戦2イニングを投げて、『これいけるんじゃないか』と思い、3回戦から決勝まで投げてくれました」

 決勝戦の駿台甲府戦でも先発するなど、信頼されて起用されているのが分かる。豊泉監督は順調にステップアップするヴァデルナに目を細めた。

 「この春の県大会から投げた投手なのですが、場に動じず、堂々と投げる姿を見て、初めて投げた投手なのかなと驚かされましたね」