Interview

個性を生かして才能開花!名投手・岡島秀樹が振り返るノールック投法の原点【前編】

2021.07.04

 7月7日からテレビ東京系列・人気アプリゲーム「八月のシンデレラナイン」原案の完全オリジナルドラマ「八月は夜のバッティングセンターで。」が放映される。このドラマでは1話ごとに、NPB、MLBで活躍したレジェンドが登場する。高校野球ドットコムでは、そんなレジェンドの生き様、野球観にとことん迫った記事をお届けする。ぜひ読者の皆様には放送前にレジェンドの考えを知っていただきたい。

 最初に登場するのがドラマの第1話に登場した岡島 秀樹氏だ。岡島氏は東山高校時代に、92年、93年センバツに甲子園出場。同年にドラフト3位で巨人に入団。その後、日本ハム、MLB・レッドソックス、福岡ソフトバンク、アスレチックス、福岡ソフトバンク、横浜DeNAと渡り歩き、日米通算815試合に登板した。

 岡島氏といえば、リリース時に顔が下を向くノールック投法が有名だが、この独特の投法はいかにして成り立ったのか。いかに貫くことができたのか。その野球人生に迫る。

個性を生かして才能開花!名投手・岡島秀樹が振り返るノールック投法の原点【前編】 | 高校野球ドットコム番組公式ページはこちらから!
八月は夜のバッティングセンターで。

個性的な投球フォームを認めてもらったアマチュア時代

個性を生かして才能開花!名投手・岡島秀樹が振り返るノールック投法の原点【前編】 | 高校野球ドットコム
岡島秀樹さん

 気づいたらこのフォームだった。
 岡島氏は野球を始めた時のエピソードを振り返る。
「自分には2つ上の兄がいましたので、野球をやっている兄についていく形で少年野球の練習場に参加していたんです。そのチームのコーチに、投げてみなさいといわれて、上級生とキャッチボールをして全力投球を投げたら、相手の方が捕れなかったんですよね。コーチの方からチームに入ってみようと誘われたのがきっかけです」

 少年野球に入った岡島氏は投手として台頭。この投法は全力投球時のみに起こる現象で、こうしないと投げられなかった。幸運だったのは、この投げ方を矯正しようとするコーチはいなかったことだ。
「フォームを直しなさいと指摘するコーチもいなかったですし、だんだん投手として慣れるとともにストレートの球速も速くなってバッターを抑えることができたので、指摘はなかったです」

 それは強豪・東山に進んでも同じだった。強豪校はどちらかというと型にはめやすいイメージがあるが、当時の指導者は岡島氏のフォームを尊重した。
「直しなさいと言われたことはなかったですし、自分の個性を活かすことができたと思います」

 岡島氏は東山でも主力投手へ成長し、2年春には小野 晋吾投手(元千葉ロッテ)擁する御殿場西に勝利し、1勝を挙げた。こうした実績を積み重ねにより、岡島氏はスカウトから注目される存在となる。ただ2年秋の近畿大会後に肘を故障。なかなか癒えない日々が続き、岡島氏以外にもダブルエースで活躍した福井 敦投手も台頭してきた。それでもチームは岡島氏に投げさせたい意向が強かった。
 迎えたセンバツ。国士舘戦では制球を乱し、降板。初戦敗退を喫したが、故障が癒え、夏の大会でも好投を重ねるうちに、プロにいきたい希望が強くなっていた。

 こうして1993年のドラフトでは巨人から3位指名を受け、プロの扉を切り開いた。

個性を生かして才能開花!名投手・岡島秀樹が振り返るノールック投法の原点【前編】 | 高校野球ドットコム番組公式ページはこちらから!
八月は夜のバッティングセンターで。

[page_break:結果を出して自分の個性を認めてもらうしかない]

結果を出して自分の個性を認めてもらうしかない

個性を生かして才能開花!名投手・岡島秀樹が振り返るノールック投法の原点【前編】 | 高校野球ドットコム
岡島秀樹さん

 岡島氏の個性的な投球フォームに対して、高校までの指導者は尊重の方針だったが、プロ入りすると、フォームを尊重する意見と矯正すべきという意見に分かれた。
「OBの方にも直しなさい、直さなくていいという意見がありました。コーチの方からは直したほうがいいという意見も聞くべきということで、サイド、アンダーとかで練習をしていた時期があったんです。ただあの投げ方で何が良かったといえば縦に大きく落ちるカーブなんですよね。あのカーブはサイドだと投げられないんです。それをコーチの方も見ていてくれて、そしてこうアドバイスをいただきました。『プロの世界だから、結果を出せば、何も言われなくなる』と」

 そのアドバイスをいただいたのが、高卒1年目の秋季キャンプ時。岡島氏の中で、「自分の軸をしっかりと持って、結果を残すこと」に専念。多くの意見はあったものの、岡島氏は結果を残し、プロ野球投手として地位を高めていく。高卒2年目はプロ初先発で、5回、9奪三振、1失点の好投。そして高卒3年目の1996年には、5試合登板ながら、プロ初勝利をマークし、防御率0.71。高卒4年目には25試合で4勝9敗ながら、キャリア最多となる109.1回を投げた。

 

 2000年には、56試合に登板し、5勝4敗5セーブの好成績を挙げ、日本一に貢献。日本シリーズでは胴上げ投手となった。
「あの年はすごい状態が良くて、すべてが上手くいった年だったと思います」
 その後も2000年から5年続けて40試合登板を達成。巨人には欠かせない中継ぎへ成長した岡島氏は2006年に北海道日本ハムに移籍し、日本一に大きく貢献した。

 個性的な投球フォームを貫くために、自分の中で軸が出来上がった。そこに結果を残すために貪欲に取り組んだことで、超一流の投手への階段へ上り詰めたのだった。

個性を生かして才能開花!名投手・岡島秀樹が振り返るノールック投法の原点【前編】 | 高校野球ドットコム番組公式ページはこちらから!
八月は夜のバッティングセンターで。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.15

【春季東京都大会】日大豊山、注目の好投手を攻略し、コールド勝ち!指揮官「うちが東京を勝ち上がるには機動力しかない」

2024.04.16

社会人野球に復帰した元巨人ドライチ・桜井俊貴「もう一度東京ドームのマウンドに立ちたい」

2024.04.15

【福島】聖光学院は福島明成と「福島北・伊達」連合の勝者と対戦<春季県大会支部予選組み合わせ>

2024.04.15

【鳥取】八頭と倉吉北がサヨナラ勝ち、鳥取東と米子東も8強入り<春季県大会>

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.10

【沖縄】エナジックが初優勝<春季大会の結果>

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.11

【千葉】中央学院は成田と磯辺の勝者と対戦<春季県大会組み合わせ>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>