幕張に現れた規格外の大型捕手・村山亮介。バント中心の打者が名将の打撃指導で才能開花
今年の千葉は大型選手が非常に多い年代だ。その中でもスカウトから注目を浴びているのが村山 亮介(幕張総合)だ。185センチ107キロと明らかに体格差が違う。現在は高校通算36本塁打を放ち、スローイングタイム1.9秒台に強肩も光る。そんな村山の軌跡に迫っていく。
名将のアドバイスでプロ注目投手から本塁打を放つ
村山 亮介(幕張総合)
八千代市出身の村山。現在はスラッガーとして目立つ村山ではあるが、千葉西シニア時代は打順は下位。バントすることも多かったそうで、今の打撃スタイルから想像できない。当時のメンバーにはエースに鎌倉 滉太(関東一)、また主力打者・寺澤 拓生(志学館)など強豪校で活躍する選手が多くいた。そんな村山は幕張総合の柳田 大輔監督に惹かれる形で幕張総合へ進学。八千代市から幕張総合の電車通学は乗り換えの関係上、不便なため。自転車通学で通い始める。
体格に恵まれ、さらに中学時代よりも打撃フォームの改良を進め、一塁手として出場した昨夏の独自大会でも、12打数5安打1本塁打6打点、昨秋の県大会では11打数6安打1本塁打3打点と活躍。その村山の打撃の才能を開花させたのが名将のアドバイスだった。それが明秀日立の金沢 成奉監督だ。2000安打の坂本 勇人をはじめとした多くの強打者を育ててきた金沢監督とは練習試合で交流する機会があり、打撃フォームやティー打撃を教わった。村山は金沢監督から学んだ打撃理論とは。
「投手の着地に合わせて、踏み出していきます。軸足にしっかりと力をためて、トップの距離を取り、ボールのラインに対してバットの軌道を入れることを大事にします」
この打撃理論をもとに日々の打撃練習でフォーム固めを行い、実になったのは昨秋11月、明秀日立との練習試合だった。好左腕・飯田 真渚斗からライトへ本塁打を放った。
「あの試合からスカウトが注目していただけるようになりましたし、プロというものを意識しはじめました」
さらにスローイングも柳田監督の知り合いのトレーナーからスローイングのコツを教わった。
「キャッチャーのスローイングだと下半身を意識するものですが、その方から教わったのは、体幹を意識して投げること。体幹を使って投げると。自然と下半身を使ったスローイングができるようになりました」
実際に取材日の練習試合、県大会のスローイングでは1.9秒台のスローイングを連発。攻守で着実な成長を見せた。こうして分かるのは村山にはコーチングできる方々との出会いに恵まれていることだ。
[page_break:高卒プロを目指して]高卒プロを目指して
村山 亮介(幕張総合)
これも村山の幕張総合入学のきっかけとなった柳田監督が導いたものだ。柳田監督は勉強のために金沢監督をはじめとした強豪校へ赴き、積極的に学んでいく方だという。知識ある方との出会いを大事にし、積極的にアップデートと実践する柳田監督の姿勢が村山にも受け継がれ、現在があるといえる。
迎えた春季地区予選の千葉東戦ではレフトへ特大弾。しかし、県大会では思うようなアピールはできなかった。まず市立松戸戦では相手バッテリーの強い警戒もあり、3四球。この試合ではワンスイング。村山は警戒されている中で、ストライクゾーンに仕留めきれなかったことを悔やんだ。
「避けられることは理解していたのですが、ストライクを取りに行くわずかなボールを仕留めきれなくて本当に悔しかったです」
そして3回戦の中央学院戦では無安打に終わった。注目の150キロ右腕・細谷 怜央の前に、2三振に終わった。この試合について村山は「自分の課題が見つかりました。やはりレベルが高いステージ。プロを目指す自分からすれば、細谷くんぐらいのストレートは当たり前なので、それをしっかりと打ち返せるレベルにならないと通用しない」と振り返った。
それから県大会前まで通算27本塁打だったが、少しずつ積み重ね、通算35本塁打まで到達した。この夏へ向けて、村山はこれまで指導いただいた方の感謝の思いを語った。
「指導していただいた柳田監督や、金沢監督、そしてトレーナーの方々のために甲子園に行きたいですし、チームの勝利を第一に考えて行動していきたいです。高卒プロにいくために毎日練習を重ねて、スカウトの目に留まるような活躍を見せたいです」
今年では数少ない大型捕手。実力でプロの扉を切り開くことができるか注目だ。
(記事=河嶋 宗一)