[1]爪痕残した世界大会
[2]こだわりは豪快なフォロースルー
こだわりは豪快なフォロースルー

五十嵐将斗(川口リトルシニア)
川口リトルシニアでは、入団直後から2つ上の3年生に帯同して公式戦に出場した。当時の五十嵐について、プロ野球での経験もある三好正晴コーチは、「今の雰囲気と一緒で、しっかりバットが振れますし、普通の中1ではないなっていう印象でした」と舌を巻いたという。
それでも2年生の頃に不振に陥った。「『打てない』と気持ちが焦ってしまい自分のスイングが変になったりして、調子が悪くなっていきました」。そこで兄たちにアドバイスをもらい打撃の見直しを図った。それまでは、打席内で考えすぎてしまうことが多かった五十嵐。それを感じていた兄たちから「打席内では『タイミングを合わせてフルスイング』ということだけを考えるように」との指摘をもらい本番では頭の中をシンプルにして臨むようになった。
そして三好コーチも五十嵐の打撃フォームの修正を試みた。
「(以前は)どちらかと言うとミートポイントが体に近かったです。今までの打ち方だと今後の高校野球、大学野球へ向けて厳しいかなという思いがあって、それをもっと体の前に変えるように助言しました。やっとなんとなく馴染んできたかなという感じです」
現在は中学通算20本塁打まで到達。ここ最近では10試合で5、6本記録しており、調子は上々のようだ。打撃練習では両翼90メートルの川口リトルシニアグラウンドで柵越えを連発。最長で推定135メートル、グラウンド奥にあるサブグラウンドまで飛ばしたこともあるそうだ。
そしてなんといっても豪快なフォロースルーが魅力だ。自身も「自分はミートポイントが近いので、当たってからの前(フォロースルー)の大きさを一番意識しています」と意識を語るが、対戦相手としてもスイングを見ただけで脅威に感じるだろう。
打線では3番を打ち、三塁手と一塁手をこなしている。守備においても自分の"型"を持っており、うまく体を使えている印象。柔らかいステップから、自信があるという肩で力強い送球を見せた。
三好コーチも「ああ見えて守備もそこそこできますし、走れるので全てでレベルが高く、確実性のある選手になってもらえたらなと思います」と期待を寄せる。
五十嵐は現在、7月20日に開催予定のMCYSA全米選手権大会の日本代表にも選出されている。開催となれば2度目となる世界の舞台だ。
「小学校の頃はあまりいい成績が残せず、世界の選手たちの凄さは6年生の頃に実感しました。なので、もう一度アメリカでプレーして活躍したいです。全米選手権が開催されたら暴れたいと思います」と鼻息を荒くする。
経験豊富なスラッガー・五十嵐 将斗はどんな活躍を見せてくれるだろうか。これからの成長を楽しみにしたい。
(記事=編集部)