[1]爪痕残した世界大会
[2]こだわりは豪快なフォロースルー
埼玉県に規格外の中学生スラッガーがいる。川口リトルシニアでプレーする五十嵐 将斗は身長180センチ、体重102キロと中学生離れした体格で、いかにも強打者という風格を醸し出していたが、取材日の打撃練習でも期待通りの打棒を披露した。
小学校6年時にリトルリーグの日本代表としてアメリカで行われた世界大会に出場。投手としては3勝、打者としては本塁打1本を記録し、投打でチームの3位入賞に牽引した。それから約3年が経過し、現在中学3年生となった五十嵐は半年後、高校野球生活を控えている。今回は五十嵐のこれまでの野球人生、そして彼の魅力に迫っていく。
爪痕残した世界大会

五十嵐将斗(川口リトルシニア)
小学2年生の頃、12歳、10歳離れた二人の兄に導かれ野球を始めた五十嵐は、兄たちが所属した川口リトルに入団する。身長も小学4年生の頃には7センチ伸びて167センチにまで成長した。そんな五十嵐はリトルリーグでは入団当初から一つの目標を掲げていた。それは世界大会出場。リトルリーグはアメリカ母体の国際的な連盟で、毎年同国で世界選手権(リトルルーグ・ワールドシリーズ)が開催されている。日本のチームは全国12連盟、674チーム(2020年3月時点)が参加する全日本リトルリーグ野球選手権大会で優勝した1チームが日本代表として出場することができる。
小学校6年生となった五十嵐は2018年の全日本選手権で優勝を果たし、世界大会の出場権を得た。
「リトルに入った時からの目標だったので、選ばれた瞬間はすごく嬉しくて、アメリカも初めてだったので楽しみでした」と当時を笑顔で振り返った。
世界大会では3位という堂々の成績を残す。投手としては、パナマ代表戦、プエルトリコ代表戦、アメリカ・ジョージア州代表戦で先発し、いずれも勝利投手となる。そして打者としては3位決定戦のアメリカ・ジョージア州代表戦で本塁打を放った。「なかなか出なくて最後の試合でやっと1本出たので嬉しかったです」。大舞台で日本のスラッガーとしてしっかり爪痕を残した。
投打で日本代表の3位入賞に牽引するも世界のレベルを痛感した大会だったという。
「外国のピッチャーは球も動いたり速いというのは、わかってはいたんですけど、打席に入って改めて実感できました。特にパナマの選手で、同じ小6で130キロ投げる投手がいて、球が見えなかったです。日本では速くても125とかなので、130となると勘じゃないと打てないと思いました」
大きな目標を達成した五十嵐は中学も二人の兄と同じく川口リトルシニアに進んだ。