Interview

柿木、横川、根尾の女房役 小泉航平が大阪桐蔭で感じたこと【前編】

2021.04.12

 大阪桐蔭の正捕手として2018年の甲子園春夏連覇に貢献した小泉航平。卒業後は社会人のNTT西日本に入社し、今年はドラフト解禁の3年目を迎えている。

下級生までは悔しさと壁を感じる日々

柿木、横川、根尾の女房役 小泉航平が大阪桐蔭で感じたこと【前編】 | 高校野球ドットコム
小泉 航平(大阪桐蔭出身)

 和歌山県御坊市出身の小泉は3歳年上の兄を追うような形で、小学1年生の時に塩屋少年野球クラブで野球を始めた。2年生から本格的に捕手を始め、「少年野球の時から肩には自信がありました」と早くから強肩ぶりを見せつけていたそうだ。

 中学では和歌山日高ボーイズでプレー。1学年上には大阪桐蔭でも先輩になる泉口友汰(現・青山学院大)がいた。ボーイズでは捕手以外にも投手や遊撃手もこなし、万能選手として活躍していた。

 中学時代には全国大会の出場もなく、日本代表に選ばれた経験もなかったが、ボーイズの代表を通じて大阪桐蔭の西谷 浩一監督から「ウチに来ないか」と誘いを受ける。それを聞いた小泉は大阪桐蔭への進学を決意。「強いチームでできるんだなと凄くワクワクしていましたね」と胸を躍らせて名門校の門を叩いたが、いきなり周りのレベルの高さに圧倒された。

 「ノックからスピードとか技術にけっこう圧倒された部分があって、レベルの高い練習をしているなと思いました。永廣(知紀/現・明治安田生命)さん、中山(遥斗/現・三菱重工East)さんの二遊間がノックを見て凄いと思いましたし、バッティングも全員凄いなと思いましたね」

 藤原 恭大(現・ロッテ)と根尾 昂(現・中日)が1年夏からベンチ入りする中で、小泉も1年秋の大阪大会で初めてベンチ入りを果たす。しかし、冬場に故障してしまい、センバツのメンバー争いに食い込むことはできなかった。「なかなかアピールする間もなかったので、凄く悔しかったですね」と小泉にとっては試練の時期となった。

 2年生の時には春夏連続で甲子園に出場したが、ともにベンチ入りすることはできず、小泉はボールボーイという役割を与えられた。本人は後から知ったそうだが、大阪桐蔭では将来のレギュラー候補として期待している下級生にボールボーイを任せることが多い。小泉以外には青地斗舞(現・同志社大)と俵藤夏冴(現・天理大)が任命され、3人とも翌年の春夏連覇に貢献している。

 「ベンチでの声掛け、雰囲気、緊張感、観客の声援といったところを一番近くで感じられたのが一番良かったと思います」とボールボーイでの学びを語る小泉。試合には出られなくても甲子園の空気を経験したことは、3年生になってからの甲子園で大きく活かされることになる。

[page_break:恩師から教わったキャッチャーとしての心得]

恩師から教わったキャッチャーとしての心得

柿木、横川、根尾の女房役 小泉航平が大阪桐蔭で感じたこと【前編】 | 高校野球ドットコム
小泉 航平

 最上級生になると、正捕手の座を獲得。柿木 蓮(現・日本ハム)、横川 凱(現・巨人)、根尾ら多くの好投手を巧みにリードして、3季連続甲子園出場の原動力となった。

 捕手出身の西谷監督からはコミュニケーションや試合中での立ち振る舞いについて学ぶことが印象に残っているという。

 「ピッチャーとのコミュニケーションが大事ですし、キャッチャーというのは司令塔で、試合をやっているメンバーの監督になるので、弱いところを見せているとチームの雰囲気も悪くなります。『ハッタリでも良いから、強がってでも良いから』と言われたのが凄く心に残っていますね」

 この代には柿木、横川、根尾と3人の投手がプロに進んだ(根尾はプロで野手に専念)。彼らの当時の印象と現状については次のように語っている。

 「柿木は勢いがあり、コントロールも良く、それでバッターを圧倒していくピッチングでした。最近は球速があまり出ていないとか聞いたりしていたんですけど、全然心配していないです。横川は変化球も真っすぐも角度があるので、それが一番の武器だと思います。今もジャイアンツでしっかりとその武器を活かして投げていると思います。根尾はバッターの表情を見ながら投げられていたので、頭を使って投球してくれていましたし、真っすぐも変化球も凄くキレがありました。投手でも野手でも勝負できると自分は思っていました」

 彼らの良さを引き出すために役立ったのが寮生活だった。全寮制の大阪桐蔭では年末の帰省期間以外は一緒に過ごすため、コミュニケーションをとることができたのが大きかったという。携帯電話の所持禁止など規則は厳しかったが、「野球のことをずっと考えられたという意味では凄く良い環境でやらせてもらっていた」と当時を振り返る。

(記事=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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