U15、大阪桐蔭で主将 西谷監督も舌を巻く池田陵真の闘争心
3月19日に開幕する選抜甲子園。最注目カードの一角に挙げられるのが、大阪桐蔭と智辯学園の近畿大会決勝の再戦だ。秋の近畿王者に相対する大阪桐蔭は、関戸康介、松浦慶斗の投手陣を軸に高い総合力を擁すが、主将の池田陵真の存在は大阪桐蔭にとって何よりも大きいのではないだろうか。
172センチ・85キロのガッチリとした体格から、無駄のないシャープなスイングで長打を量産し、また主将としても西谷監督に「熱すぎる」と言わしめる程の闘争心でチームを牽引。智辯学園とのリベンジマッチにも、熱のこもった口調で意気込みを語る。
福井章吾選手から伝えられた日本一の重み
池田 陵真(大阪桐蔭)
「秋に負けている智辯学園に決まったので、普通の高校と当たるよりも気持ちが上がっています。(決まった時は)『よし』という気持ちと、当たるかなと思っていたので『きた』という気持ちが両方ありました。チームメイトにも良いとこ引いたなと言われました」
池田の口調は闘争心に満ちあふれている。
昨秋は5割を超える打率を残しながらも、近畿大会決勝の智辯学園戦では僅か1安打に押さえ込まれ、チームも3対7で敗戦。ミスから相手に主導権を掴まれる歯がゆい展開となり、この冬は粘り強く戦うことを常に意識しながら練習に打ち込んだ。
「しんどいメニューやトレーニングでも自分たちで声を掛け合って、最後の1本にこだわってやるようにしました。体を強くすることもですが、チームの繋がりやまとまりを良くしていくこと心掛けてきました」
計7度の甲子園優勝経験を持つ西谷監督をして「気持ちの強い選手で、熱さが体からにじみ出ている」と言わしめる程の熱量。池田に感化され、チーム全体に伝染した気持ちの強さが今年の大阪桐蔭の特徴であるが、偉大な先輩から受けた刺激も池田の原動力になっている。
昨年末、2017年の主将である福井章吾選手(慶応大)がグランドに足を運んだ際に、池田は大阪桐蔭の主将としての薫陶を受けた。
「甲子園に出て日本一になれば、自分たちが見る景色は変わると言われました。その景色は日本一になった人にしかわからないので、必ず日本一になろうにと思いました。自分も福井さんのようなキャプテンになれたらと思っています」
[page_break:一球で仕留める執念を持って戦う]一球で仕留める執念を持って戦う
池田 陵真(大阪桐蔭)
主将として「声でも言いつつ、プレーでも見せていきたい」と語るように、選手としての実力も折り紙付きだ。172センチ・85キロ、ベンチプレスは125キロを持ち上げ、握力も両手が70キロを越え。ウエイトトレーニングではすべての項目でチームトップの数字を記録しているという筋肉質な体つきに目を奪われるが、打者としては技術の高さも見せる。
力で飛ばすのではなく、無駄のないシャープなスイングで打球を飛ばし、コースに逆らわない姿勢も徹底している。打席の中では、常に逆方向への意識を持ち続けていると語る。
「ボールの内側を打つような意識でやっています。引っ張る意識を持つとドライブがかかる打球が増えてしまうので、そこはボールの内側を叩く意識で伸ばしていくイメージを持っています
自分は状態が良い時は逆方向にしっかり打てているのですが、秋の結果を見るとレフト方向の打球が多かったので、それが調子が良くなかった原因だと思います」
最終的にはプロの世界で活躍したいと希望は口にするが、卒業後すぐの進路は現段階ではまだ何も考えていない。今は選抜甲子園で活躍し日本一になることだけでを考えており、目の前の結果に飢えている。
秋に押さえ込まれた智辯学園の西村 王雅投手に対しては、「一球で仕留める」ことを意識して迎え撃つ。
「秋に対戦した時は、甘い球を一球で仕留めるということができず、また狙い球を絞ることができなくて負けてしまいました。練習では一球に対する思いや執念を持って取り組んできました」
一塁ベンチに飾られた「日本一」と書かれた色紙は、前主将の藪井 駿之裕(大阪商業大)が書いたものだ。日本一を懸けた戦いが出来なかった先輩たちの思いも背負い、池田は毎日その色紙を見ることで日本一への思いを再確認するという。
熱すぎる主将の日本一への挑戦が間もなく始まろうとしている。
(記事=栗崎 祐太朗)