Interview

世代No.1候補キャッチャー・髙木翔斗が名将から薫陶を受けた打撃論【後編】

2021.03.10

 いよいよ3月19日に選抜が開幕する。東海地区で準優勝に輝いた県立岐阜商市立和歌山との初戦を迎えるが、そこにいる大型捕手・高木 翔斗は世代屈指の選手だ。

 打っては高校通算17本塁打、捕手としては遠投100メートル前後の強肩を活かした二塁送球1.85秒を記録する言葉通りの『打てる大型捕手』だ。プロも注目する高木はここまでどのような道のりを歩んできたのだろうか。

 後編では県立岐阜商の日々、さらには打撃論について迫っていきます。

世代No.1候補キャッチャー・髙木翔斗が名将から薫陶を受けた打撃論【後編】 | 高校野球ドットコム前編はこちらから!
名将も絶賛!プロ注目強肩捕手・高木将斗(県立岐阜商)の捕手論【前編】

17本塁打のポイントは『最短かつ最速』のスイング

世代No.1候補キャッチャー・髙木翔斗が名将から薫陶を受けた打撃論【後編】 | 高校野球ドットコム高木 翔斗(県立岐阜商)

 鍛冶舎巧監督の就任をきっかけに県立岐阜商の門をたたいた高木。「春からレギュラーになるつもりで練習をしていました」という高い志をもって入学すると、ベンチ入りを果たす。すると、東海大会ではスタメン出場を果たすなど、目標を達成してみせる。

 ただ、硬式球に変わったこと。高校野球の世界に飛び込んで、戸惑うことはもちろんあった。
 「少し練習はしていましたが、相手投手のボールは速くて切れも凄い。なので、最初は打てませんでしたが、それは守備でも同じで、対応できずにキャッチングは駄目でした。どちらも次第に慣れてきたので、改善はできましたが」

 ただマイナスばかりではない。軟式特有の『ボールが潰れる』という感覚が硬式から無くなったことで、ボールの捉え方が変わってきた。
 「軟式の時はジャストミートさせることを大事にしてきましたが、ボールの下半分をこすって放物線を描くような打球を飛ばすことをイメージして打つようにしました」

 高木は常にフルスイングするために、構えている段階ではどれだけ脱力できるか。そしてミートした時に100%の力を発揮することをポイントにしているが、より大事にしているのがバットの出し方だ。

 「監督から常に言われているのは『最短かつ最速』でミートポイントまでバットを出すことです。例えば、上からバットを出せば最短になりますが、最速ではないですし力が出せません。だから少し後ろを大きくして反動を使ってあげることで、『最短かつ最速』のスイングを確立しています。なので、レベルかアッパー気味の振りだしになって、結果的にボールの下半分を捉える形になるんです」

 ここまで高校通算17本塁打をマークしている高木だが、その長打力の鍵は『最短かつ最速』のスイングが関係していた。

[page_break:捕手としては甲斐拓也。打者としては鈴木誠也のように]

捕手としては甲斐拓也。打者としては鈴木誠也のように

世代No.1候補キャッチャー・髙木翔斗が名将から薫陶を受けた打撃論【後編】 | 高校野球ドットコム高木 翔斗(県立岐阜商)

 その後、高木はチームの主力選手として活躍し続け、1年生の秋には公式戦初のホームラン。さらに東海大会で準優勝に貢献するが、決勝戦・中京大中京戦で悔しさも残した。

 「あの試合は決勝点に繋がるパスボールをしてしまいました。それで試合に負けてしまいましたので、一番印象深い試合でした」

 悔しさを忘れずに練習を重ねてきたが、新型コロナウイルスの影響で練習自粛。「チームメイトと金華山を登ったり、河川敷などを使って練習しました」と限られた環境で練習を重ねてきた。

 しかし、学校の都合で大会は出場を辞退。2度目の夏は8月に開催された甲子園交流試合のみとなった。「当たり前にできていた野球が出来ないことで『当たり前が当たり前ではない』ことを知りましたし、甲子園で1試合でも出来たのは良かったです」

 明豊には敗れたが、高木は盗塁を1つ刺した。「肩の強さには自信を持っていましたが、より自信を持てるようになりました」

 その後、高木はチームの主将に就任。4番・捕手と大役を担うこととなる。「甲子園での借りは甲子園で返す。日本一を目指す」ことをチームメイトと話し合い、練習を重ねてきた。その結果、岐阜県大会は優勝し、東海大会では2年連続準優勝。中京大中京との同一カードの決勝でリベンジとはならなかったが、選抜の当確ランプを灯した。

 「課題だったリードや4番として信頼されるバッターを目指してきましたが、目指すところはもっと高いので、まだまだだと思います」

 それでも選抜に選出され、2年連続の甲子園へ出場となり、注目スラッガーとしてマークされることは間違いない。最後に意気込みを語ってもらった。
 「憧れの佐々木(泰)さんはホームランを打ったので、自分も甲子園で打って活躍したいですし、ホームラン数も超えたいです。
 理想としては捕手としては甲斐拓也さん。打者としては鈴木誠也さんのようになれればと思っています」

 強打の大型捕手・高木 翔斗は世代を代表する選手として、今後さらに名を広げることが出来るか。春からの活躍が非常に楽しみだ。

(記事=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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